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第7話:魔鋼機の誕生

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ヴェールウッド村の朝は、木々の間を抜ける清涼な風と共に訪れた。タクミは村の倉庫に足を踏み入れ、埃っぽい空気に目を細める。傷だらけの体はまだ痛むが、包帯を巻いた腕を動かし、廃材の山を漁り始めた。壊れた農具、錆びた鉄片、折れた木の柄――タクミの目には、それらが「プロトタイピングの素材」に映る。彼は一本の鉄片を手に持ち、指で剛性を確かめる。
「これなら…アクチュエーターのベースに使える。剛性も十分だ。」
タクミの瞳が輝き、疲れた顔に技術者の熱が宿る。倉庫の隅に置かれたガイストのコアが青く光り、低い声が響いた。
「何を作る気だ、タクミ?」  

タクミが地面に膝をつき、折れた農具の先で土に設計図を刻み始める。直線と曲線が交錯し、精密なスケッチが形を成す――ウェアラブル型のエクソスケルトンだ。肩に装着するフレーム、魔脈鉱石を動力源とするマイクロサーボモーター、鉄片で補強された外骨格構造。現時点では材料不足でタクミの体に纏う小型機だが、彼の頭には将来の拡張が描かれていた。
「魔鋼機だ。俺とお前で、この世界を変える武器。今は俺が纏うプロトタイプだが、材料が揃えば…コックピット型の大型機に進化させる。」  

タクミはエリナから預かった魔脈鉱石を手に持つ。黒く輝く表面から、微弱なエネルギーが脈打つように伝わり、彼の手が震えた。鉱山での記憶が蘇る――あの少年の小さな手が、タクミの背をつかんだ瞬間。そして、火球に焼かれ、息絶えた冷たい体。彼は鉱石を握り、エネルギー変換効率を頭で計算する。
「この波長…エネルギー密度は高い。コンバーターを自作すれば、トルクを50ニュートンメートル以上に出せる。あの少年のためにも…もう誰も死なせねえ。」
瞳に燃える決意が宿り、タクミが設計図に最後の線を引く。ガイストのコアが一瞬強く光り、声が響く。
「お前らしいな。無謀だけど、嫌いじゃねえよ。スペックはどうだ?」
タクミが苦笑し、コアを手に握る。
「出力は10キロワット程度だ。サーボの応答速度は0.2秒。今はこれが限界だが、ここからが冒険の始まりだ。」  

村人たちが倉庫の外から怪訝な顔でタクミを見つめる。やせ細った男が槍を握り、呟く。「異邦人が何をしてるんだ?」女が首を振る。「気でも狂ったか…?」だが、タクミは彼らの視線を意に介さず、工具を手に廃材を組み立て始めた。  

タクミの指先が鉄片を削り、木の柄を切り、魔脈鉱石を嵌め込む。彼は手動で「ピニオンギア」を調整し、サーボモーターのプロトタイプを鉄片に固定。汗が額を伝い、包帯の下から血が滲む。指先は擦り切れ、鋭い痛みが走るが、彼の手は止まらない。現代での研究室、災害で失った家族、異世界での少年の死――全てがタクミの内に渦巻き、その熱が魔鋼機に注がれる。
「エネルギー回路を安定させろ…トルクを均等に分配しろ…動け、俺の夢をこの世界で形にしろ!」
呟きが祈りに変わり、タクミが最後のボルトをドライバーで締め込む。ガリガリと金属が軋み、魔脈鉱石が青白く光を放つ。  

そして、魔鋼機が起動した。タクミの肩に装着されるウェアラブル型の外骨格が、倉庫の薄暗い光に照らされる。鉄のフレームが彼の体を包み、魔脈のエネルギーがアクチュエーターを駆動。右腕が上がり、低い振動が地面を震わせた。タクミが拳を握ると、魔鋼機の腕が50ニュートンメートルのトルクで締まり、鉄片が軋む音が響く。彼の息が止まり、瞳が燃える。
「できた…魔鋼機だ! これが俺の第一歩だ!」
ガイストのコアが強く光り、声が響く。
「いい出来だ、タクミ。エネルギー変換効率は70%か。これなら貴族の魔導士ともやり合えるぜ。」  

村人たちが倉庫の入り口に集まり、目を丸くして魔鋼機を見つめる。男が槍を落とし、女が口を押さえる。子供が「おおっ!」と声を上げ、タクミに駆け寄る。タクミは汗と血にまみれた顔を上げ、魔鋼機を纏った腕を掲げる。
「材料が揃えば、こいつはもっとデカくなる。コックピットに乗り込んで、貴族をぶっ潰すロボットに仕立ててやる。ここからが俺たちの冒険だ!」
彼の声に力が宿り、魔鋼機の鉄の腕が力強く拳を握った。ヴェールウッドの森に響く風が、タクミの背を押し、アルテリアの未来を切り開く壮大な第一歩を告げていた。

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