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第89話:隠し扉の発見

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風の神殿の大広間に、タクミの声が響いた瞬間、コックピットのスピーカーからガイストの電子音が鋭く割り込んだ。「タクミ、警告! パルス・ディテクター・アレイ(PDA)が反応。半径500メートル内で魔獣15体を確認。方位角180度、後方から接近中。速度約8メートル毎秒、予測攻撃ベクトルはストームライダーの背部装甲、角度15度上方より。対応を急げ!」
タクミはディスプレイの赤いマーカーを一瞥し、即座に操縦桿を引く。ストームライダーのスラスターが唸りを上げ、機体が180度旋回。目の前に広がったのは、入り口を埋め尽くす魔獣の群れだ。鋭い牙と赤く光る目が暗闇で輝き、石の床を叩く爪音が不気味に響く。  

「15体…だと? くそっ、動きが速すぎる!」
タクミの舌打ちに、ガイストが冷静に補足。「魔脈の影響で活性化。敵の筋力出力は通常の1.5倍と推定。ストームライダーの現状:装甲応力分布78%、スラスター推力8900ニュートン、機動トルク320N・m。背部装甲への直撃は耐えられるが、連続攻撃で応力が限界を超えるリスクあり。魔脈ライフル改は直近の使用で充填に30秒必要、エネルギー消費過多で本機出力低下中。戦術を提案するか?」
「ライフルは間に合わねえ! 叩き潰す!」
タクミがガンランチャーを構え、エネルギー弾を連射。炸裂音が響き、前衛の魔獣が血と肉片を撒き散らして吹き飛ぶが、群れの奥から大型の魔獣が突進してきた。ガイストが即反応。「大型個体確認! 質量約2トン、衝突予測まで3秒。右45度に回避推奨!」  

タクミはスラスターを右に傾け、機体を滑らせて回避。魔獣の突進が空を切り、石柱が砕ける轟音が響いた。だが、その隙に別の魔獣が背後から跳びかかる。ガイストの警告が鳴る。「背部攻撃! 角度10度下方、距離2メートル!」
「タクミ、私がやるよ!」リアがエーテル・ノヴァを掲げ、素早く叫ぶ。「オールエレメント・ユニゾン!」
彼女の足元に巨大な魔法陣が広がり、炎がうねり、氷が輝き、雷が迸り、風が唸る全属性魔法が解き放たれる。魔法陣が天井まで広がり、背後の魔獣を包み込み、焼き尽くした。焦げた臭いが漂い、タクミが叫ぶ。「ナイス、リア! ガイスト、次はどこだ?」
「方位角270度、左側から3体接近。攻撃予測まで5秒!」

「熔鉄団、出番だ!」
カザンが熔雷槌を振り上げ、雷を帯びた一撃を地面に叩きつける。衝撃波が魔獣の足を止め、雷光が貫いた。「こいつら、しぶといぜ! タクミ、扉を急げ!」
タクミは操縦桿を握り締め、仲間を見回す。「みんな悪い! 少しだけ持ちこたえてくれ!」
バルドが嵐の双剣を手に飛び出し、風と雷を纏った刃で魔獣を切り裂く。「仲間がやられる前に片付ける!」  

セシルが地の種を手に結界を展開。「みんな、無理しないで! 私が支えるから!」
緑の光が仲間を包み、魔獣の爪を弾く。ジンの竪琴が響き、低い音色が希望を灯す。「風の試練か…エアリスの意志が俺たちを試してる」

タクミはストームライダーを隠し扉前に移動させ、風神の眼を起動。左目に青白い光が走り、壁の古代文字が鮮明に浮かぶ。「ガイスト、扉の解析だ!」
「パルス・ディテクター・アレイでスキャン中。構造解析完了。魔脈エネルギーの共振で封印。単独突破は困難、複数人の協力が必要と推測。機体トルク320N・mでは物理的破壊は非現実的。試練への移行を提案」

その時、魔獣がセシルの結界を突き破り、リアに迫る。彼女が悲鳴を上げた瞬間、タクミがスラスターを全開にして庇おうとするが、バルドが間に割り込んだ。「仲間を見捨てる気か、タクミ! 扉に集中しろ!」
嵐の双剣が魔獣を斬り裂き、血が石床に飛び散る。

「くそっ…わかった!」
タクミは風神の眼を最大出力にし、隠し扉に全神経を集中。壁の奥から風音が響き、古代文字が眩く光を放つ。ガイストが報告。「共振反応確認。だが、封印解除にはさらなる風の魔脈が必要。単独では不十分」
タクミが目を細め、雷の神殿の記憶が閃く。「はっ!確かあの時!」
——雷神トーラスの幻が現れ、低く響く声が耳に蘇る。「風の精霊を従える者よ、調和の鍵を見極めよ。雷神の槍は風の翼と共鳴する力なり」——
「風の精霊が鍵か!」タクミが叫ぶ。「セシル、風の精霊の力を貸してくれ!」  

セシルが地の種を握り締め、息を整える。「私のエアリス・ガーディアンなら…!」
彼女がエアリスウィスパーを掲げると、杖から風が渦を巻き、半透明のエアリス・ガーディアンが現れる。「風の守護者よ、試練の封印を解け!」
ガーディアンが両腕を広げ、風の奔流が隠し扉クラスターを追加しました。風神の眼と共振し、壁が震え、古代文字が一斉に輝いた。ガイストの声が響く。「共振ピーク到達! 試練空間活性化。内部移動準備を」

大広間の床が振動し、隠し扉が開いた。中から吹き出す風がタクミたちを包み、「風の迷路」が現れる。石の回廊が複雑に絡み合い、魔獣の咆哮と罠の気配が漂う。タクミは仲間を見回す。「ここが試練だ。一人じゃ無理だ。全員で行くぞ!」  

だが、迷路に足を踏み入れた瞬間、風が唸り、仲間たちを分断。タクミはリアを庇おうと手を伸ばすが、彼女の姿が風に飲み込まれる。「リア! バルド! カザン!」
叫び声が響き、視界から仲間が次々と消える。ガイストが警告。「空間歪み発生。試練は個別突破を強制。ただし、最終目的は協力と推測。機体推力低下中、現在8700ニュートン。対応を急げ」  

タクミは迷路の奥を見据え、拳を握り締める。「俺だけでいい…。風の翼を手に入れてやる!」
一人で突入したが、背後から仲間のかすかな声が聞こえた。「タクミ、待て!」「一人じゃ無理だぞ!」
迷路の奥で魔獣の咆哮が響き、タクミの決意が試される瞬間が迫っていた——。  

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