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第103話「森の北西と次元の咆哮」

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朝焼けが薄れ、ヴェルディアの森に柔らかな日差しが差し込む中、タクミと仲間たちはヴェールウッドを後にした。マグナ・ストライダーが先頭を進み、巨大な足音が地面を軽く震わせる。熔魔鋼と天脈結晶の合金で輝く機体は、森の緑に映え、肩の風切りブレードが風を切り裂く音が響く。タクミはコックピットで魔脈投影結晶を眺め、360度に広がる森の風景に目を凝らす。 

「ガイスト、魔脈ラインの反応はどうだ?」
ガイストが冷静に応じる。
「森の北西、距離約3キロで強い反応だ。PDAが魔脈エネルギーの集中を示してる。そこに何かある」
タクミが制御盤を叩き、風神の眼で遠くを見やる。森の奥に、かすかに青い光が揺らめくのが見えた。
「よし、あそこだ。盗賊の足取りも追えるかもしれねえ」

一行は森を進む。リアが上級魔導書を手にエーテル・ノヴァを掲げ、時折ページをめくる。バルドが双剣を構え、カザンが熔雷槌を肩に担ぐ。セシルがエアリスウィスパーを握り、ジンが竪琴を手に持ち、セリカが短剣を手に軽やかに跳ねる。  

「この森、静かすぎるね…」リアが呟くと、セリカが耳をピクリと動かす。
「猫の勘だけど、何か来るよ。気配が近づいてる」
その直後、ガイストの声がコックピットに鋭く響く。
「下方右15度、北北西から500N・mの衝撃だ、タクミ!距離200メートル、サイズは全長30メートル級!」
タクミが即座に吼える。
「次元獣か!ガイスト、お前がいなけりゃ俺はここまで戦えなかったよ。迎え撃つぞ!」  

地面が激しく震え、木々が裂ける音が響く。魔脈投影結晶に映る森の奥から、次元獣「風噬みの蛇」が姿を現す。風を纏った鱗が鋭く輝き、先の戦いの個体より一回り大きい。タクミがドリルアームを構える。
「1万4000ニュートンでフル稼働だ。リア、弱点を突けるか?」  

リアが上級魔導書を開き、エーテル・ノヴァを掲げる。深呼吸し、詠唱を始める。
「火の精霊よ、我が声に応え、風の鎧を焼き尽くせ——フレア・インフェルノ!」
魔法陣が赤く輝き、炎の渦が森を包む。風噬みの蛇の鱗が火に炙られ、剥がれ落ち、蛇が咆哮して動きが鈍る。ガイストが即座に告げる。
「正面から800N・mの反動だ!弱点が露出した!」
タクミがドリルアームを振り下ろし、蛇の頭を貫く。魔脈の奔流が森を照らし、次元獣が崩れ落ちる。  

だが、息つく間もなく新たな震動が響く。ガイストの声が緊迫して響く。
「左後方30度、西南西から1200N・mの衝撃だ、タクミ!距離150メートル、サイズは全高10メートル級!」
木々が倒れ、次元獣「地裂の巨熊」が現れる。地属性の岩のような毛皮が魔脈の青い光を反射し、咆哮が森を震わせる。タクミが眉を寄せる。
「2体目か…マグナの強化が急務だな」  

リアが再び魔導書を開き、詠唱を準備する。
「風の精霊よ、我が声に応え、大地の枷を切り裂け——ウィンド・トルネード!」
風の刃が魔法陣から放たれ、巨熊の岩の毛皮を削ぎ、弱点の結晶が剥き出しに。ガイストが補足する。
「上方左10度から600N・mの衝撃だ。結晶が剥き出しなったぞ!」
バルドが双剣乱舞で突進し、「隙だ」と低く呟く。カザンが熔雷槌で地面を叩き、「ぶっ潰すぜ!」と吼える。タクミがブースターを短時間噴射し、巨熊に突撃。ドリルアームが結晶を砕き、巨熊が崩れ落ちる。  

戦闘の後、一行は森の北西にたどり着く。エアリスの遺跡「風脈の祠」が姿を現す。石造りの小さな祠は、魔脈の青い光に包まれ、入口が薄く開いている。セリカが近づき、耳を澄ませる。
「盗賊の気配だよ。結晶を持ってここに逃げ込んだっぽいね」
タクミが機体を祠の前に停め、言う。
「よし、中に入るぞ。素材と結晶、両方手に入れるチャンスだ」  

祠の中は薄暗く、壁に魔脈の紋様が刻まれている。中央に小さな台座があり、「風脈結晶」が微かに光る。だが、その横に盗賊団「疾風の爪」の手下が立ち、天脈結晶を手に持つ。リーダーの男が風を操る短剣を構え、タクミを睨む。
「お前ら、しつこいな!結晶は渡さんぞ!」
ガイストが即座に感知する。
「正面から300N・mの風圧だ。風属性の攻撃!来るぞタクミ!」  

リアが詠唱を始める。
「水の精霊よ、我が声に応え、風の刃を鎮めよ——アクア・テンペスタ!」
水の渦が盗賊を包み、風属性の道具を弱らせ、手下が膝をつく。バルドが双剣で一閃し、カザンが熔雷槌で盗賊を吹き飛ばす。タクミが天脈結晶を奪還し、風脈結晶も手に取る。  

戦闘後、祠の外で仲間たちが集まる。タクミが結晶を見ながら言う。
「これでマグナの強化が一歩進む。けど、次元獣が2体同時に来たってことは、もっと強くなる必要があるな」
ガイストが冷静に言う。
「その通りだ、タクミ。1万4000ニュートンでは限界が近い。次の魔脈ラインを追うか?」
セリカが笑う。
「情報屋の私が盗賊の次の動きも追うよ!」 

森の風が一行を包み、次の目的地への決意を静かに後押しする。だが、その時、祠の奥から微かな振動が響き、魔脈投影結晶に異常な波動が映し出される。ガイストが鋭く言う。
「タクミ、祠の地下で何か反応してる。魔脈の乱れだ。次元獣か…それとも別の何かか?」
タクミが目を細め、結晶を握り潰す勢いで手に力を込める。
「何が来ても、俺たちは進むしかねえ。行くぞ!」  

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