《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第2章 ケレメイン公爵家での一週間が始まりました。

11.公爵の友人その三とオレ。公爵の友人は、勝手に公爵の屋敷に上がり込んできます。公爵家に来たからには、オレの役に立つがいい。

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「オレと仲良くしたいなら、オレのために、働くがいい。働きによっては、仲良くしてやらなくもない。」

オレは、ヤグルマさんの仕事を覚えているところだ。
初めてなのと、貴族のしきたりが分からないので、どうしても、もたついてしまう。

オレには、助手、いや、補佐が必要だ。

公爵の友人なら、適任だな。

こき使おう。

「なんで執事の仕事をしようとする。意味がないことは止めろ。」
と友人その三。

「うるさい。ヤグルマさんとオレの邪魔するなら、仲良くしないからな。」

「執事と仲良くした挙げ句、俺に向かって、仲良くしない、とは何様だ?」
と友人その三。

口が減らないやつだな。

「オレ様だけど?何?
構ってほしいか?
オレの補佐をしたら、構ってやるって言っただろう。
オレ様のために働け。」

客人とオレは、手と口を動かしている。

書類を片付けたり、まとめたり。

「意味がわからないなら、意味がわかる仕事をさせてやる。
この文章の意味は何だ?
オレに分かるように、説明して、オレも文章が作れるように、コツを教えろ。」

「おい。この文章の意味がとか、言っているやつが、執事の仕事をやるなんて無謀だ。止めとけ。」
と友人その三。

憐れむような眼差しをオレに寄越すな。

「教えないなら、あっち行け。オレは、優しいヤグルマさんに教えてもらう。」

「待て。教えないとは言っていない。何が分からないんだ?」
と友人その三。

「全部。」

「はあ?」

「見たことがない。そういうのに、興味がなかった。」

オレは、異世界から来た上に、この世界でも、文字を書く仕事はしていない。

この世界の文書を見たのは、公爵家に来て初めて。

異世界文明の初心者だ。

「あ、そうか。なんで、急に、興味が湧いた?」
とその三。

「今も興味はないけど、知らないと仕事ができない。なら、仕事をするために身につける。」

「ふーん。」
とその三。

「だから、解説がいる。早くしろ。
オレは、初心者なんだ。
教えられたことを理解するのに、時間がかかるんだよ。」

「仕事なら、他にあるだろう?
初心者なら、別の仕事をすればいい。」
とその三。

「今は、ヤグルマさんの仕事を覚える。
別の仕事は、ヤグルマさんの仕事を覚えてから、考える。」

「ヤグルマが好きなのか。」

何を言っているんだ、友人その三め。

「聞くけど、ヤグルマさんを好きじゃない人がいるのか?」

「いるだろう。」
呆れたように即答するな、その三め。

オレと友人その三との間に、分かり合う未来は来ないようだ。

「ヤグルマさんだぞ?いないに決まっている。」

「ヤグルマへのその信頼は、なんだ?」

「仕事ができる男への信頼に決まってる。」

「ヤグルマが、憧れなのか?」
とその三。

「優しくて、親切で、仕事ができる男だぞ?
憧れないでどうする。」

主人が放置した主人の客の無茶振りに応えてくれる執事長だぞ?

ヤグルマさんは、公爵家の宝だ。

「憧れ、ねえ。」

「ほら、さっさと解説しろ。」

「あー、はいはい。」

お役所の定型文みたいな、書類の文章を聞いて、解説させたり、教えさせたりしたら、あっという間に、一日が終わった。

「うん。今日はいっぱい働いた。お疲れ様。帰っていいぞ。」

オレが言うと、公爵の友人その三は、はあ?と叫んだ。

「うるさい。」

「うるさい、じゃない。仕事が終わったから、帰れ、は、ないだろう。今から、仲良くするところだろう!」
とその三。

「えー。オレは、今日はたくさん仕事を覚えた。
復習して、明日もたくさん仕事をする。
だから、今からヤグルマさんとご飯タイムにして、風呂に入って寝るんだ。」

「おい、仲良くする時間は、どこにいった?」
とその三。

「オレは、明日も仕事をするんだから、明日も来いよ。
オレが仕事を覚えたら、仲良くしてやってもいい。」

「こいつは!」

公爵の友人その三は、
「このオレ様め!」
と言って帰っていった。


四日目の朝。
七時。
ヤグルマさんと朝食をとっていたら。

「来たぞ。」
公爵の友人、その三が朝からやってきた。

「人んちに来るには、早すぎない?」
オレが文句を言うと。

「仕事を早く覚えたいんだろ。」
と返された。

四日目は、朝からみっちり仕事をした。
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