《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

第2章 ケレメイン公爵家での一週間が始まりました。

15.公爵家六日目。公爵の友人その五が来ました。めちゃ偉そうと思ったら、本当に偉い人らしいです。オレには関係ありませんが。

六日目の朝。
今日と明日で、おさらばするために、今日は一般常識を学ぶことにした。

ヤグルマさんについて回って、屋敷の使用人に顔を売ったので、たくさんいる使用人に、少しずつ質問して不明点をなくしていく。

オレ、天才。

午前中は、食事担当、清掃担当、買付担当をおさえた。

昼食をとったら、庭関係からいこう。

オレは、頭の中で計画を立てていた。

この二日間で、異世界の常識を備えたら、一週間分の給料をヤグルマさんからもらって、オレは、新天地へ飛び立つ。

迷惑な公爵なんて、明日以降は、思い出すこともないちっぽけな存在になる。

ざまあみろ。

オレは、意気揚々と、食事を終えた。

庭に、向かおうと歩いていると、玄関ホールがざわざわしていることに気づいた。

また、公爵の友人か？

顔を合わせないように、いなくなったら、外に出よう。
と、隠れていたら。

一向に、玄関からいなくならない。　

しかも、なんか、今日の友人その五は、人を従えていて、偉そうだ。

早くどっかの部屋に入っていけばいいのに。

玄関ホールを早く明け渡せ。

二日目に、使用人の出入り口を使って出入りしたら、楽だな、と思って、ヤグルマさんに提案したら。
『お客様は使用人の出入り口を使いません。
入ってきた場所から出ます。』
と拒否されて、使用人の出入り口は教えてもらえなかった。

しつこく聞けば良かったなあ。

ん？

しつこく聞くなら、今でもいいじゃん？

よし。

誰か、捕まえて、聞こう。

誰か、通らないかな。

なんで、人待ちしていると誰も来ないんだよ。

ナンパじゃあるまいし。

オレは、諦めて、教えてくれそうな人を探した。

あ、いたいた。

親切な少年を発見。

「あー、あのさ。ちょっと、教えてほしいことが。」

オレは、ささっと少年の側に歩み寄った。

少年は、オレの腕をがしっと掴んだ。
「どちらにいらっしゃったんですか？」
と少年。

え？どうしちゃったの？

「あー、その辺？それで、聞きたいんだけど、使用人の出入り口ってさ、どこに。」

オレは最後まで、言えなかった。

「いらっしゃっいましたー！こちらです。」
少年が、オレの腕を掴んだまま、声を張り上げたからだ。