《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第4章 夫が真実の愛を捧げる相手はどこにいるのでしょうか?名乗り出てください。

61.『神子様とは何もない。私は、潔白だ。』と公爵は、オレに言いました。オレが聞きたい答えは、それじゃないんです。

オレの質問を聞いた公爵の秘書とオレの秘書は、同時に公爵に厳しい声をかけた。

「「公爵。」」

公爵の秘書とオレの秘書は、王城と王都の公爵の屋敷で起こった、神子様と公爵とオレの三角関係の愛憎劇を知っている。

オレと公爵とヤグルマさんが揃って話をする場には、必ず秘書も控えている。

事情を知らないのは、公爵領の文官。

「神子様?公爵と魔王を討伐した神子様でしょうか?」
文官は、声に出して確認していた。

執事長は、公爵領に来た経緯を知っているようだ。 

静観している。

「神子様に何があったんですか?」
と話し始めた文官を執事長は黙らせた。

「オレは、公爵に、神子様のことを聞きたい。
公爵が話してくれるのを待っていた。
でも、もう待てない。
今、聞きたい。
王都の公爵家の屋敷に戻るなら、オレは、何も知らないままでいたくない。」

オレは、真剣に、公爵の心に響くことを願って、言葉を選んだ。

神子様への懸念を表さず、オレの知りたい気持ちだけを抽出した。

言葉選びは、間違っていなかったと思う。

文官は、シリアスな雰囲気を感じ取って、執事長の隣で静かにしている。

「公爵、今日まで、伴侶に説明しなかったんですか?

私は、説明するために、王都を離れたんだと思っていました。

伴侶が、今日、勇気を出さなかったら、話さないつもりだったんですか?

それは、さすがに、伴侶の健気さを踏みにじる行いでは?」
公爵の秘書が、公爵にお説教している。

オレの健気さ、というより、オレの意思を踏み潰してきたよ、公爵は。

健気さ云々は、ともかく。

公爵には、説明してほしい。

「この件で、ヒサツグ様が責められることがあっても、夫が何にも言わないせいだと弁明できます。」
とオレの秘書。

「二人とも、ありがとう。オレは、神子様についての説明が聞けたら、十分。」

公爵の秘書とオレの秘書の熱意が、公爵を動かしたのか、公爵は、分かった、と返事した。

よし。

オレの聞きたいことを聞いていくぞ!

オレが、姿勢を正して、質問しようとすると。

公爵が先に話し始めた。

「ヒサツグからの質問の前に、これだけは、言っておきたい。
神子様とは何もない。
私は、潔白だ。
私のヒサツグに顔向け出来ないような不実な真似はしていない。
誤解だ。」

そうか。
そうなんだ。
へー。

今さら、それを聞かされてもなー。

オレの聞きたい話じゃないからなー。

オレは、冷めた目で、公爵を見てしまった。
その後、怒りがふつふつと湧いてきた。

王城で、神子様が公爵の腕に絡んでいるときに、さ。

『誤解だ。』
と神子様を振り払っていたら、信憑性はあったよ?

神子様が乗り込んできて、公爵と別れろ、とオレに言ってきた、と、オレが公爵に話したとき、公爵は、何をした?

神子様の望みは、公爵の望みではない、としか言っていない。

神子様に対しで、ヘタレな上に、オレに対して、労りも謝罪もなく、言い訳さえしなかった。

そんな扱いをしているのにさあ。

なぜ、オレと結婚を強行したのかなー?

オレは、公爵にめちゃくちゃ腹が立っていると自覚した。

「この期に及んで、公爵は悪くなくて、オレが悪いって、公爵は言うんだ?」

オレが聞きたいことは、たくさんあったんだ。

聞かなくちゃいけないことも、たくさん。

オレは、さあ。

公爵には、期待するだけ、期待した側が辛くなるボンクラだって、知っていたのに。

無意識に期待したんだな。

情けない。

オレは、公爵と、オレ自身に腹が立った。

オレは、席を立って、部屋を出ていってやろう、と思ったのに、出来なかった。

「ヒサツグは、神子様のことで、もう不安にならなくていい。」
と公爵が言ったから。

期待したら、裏切られる、と頭では分かっていても、期待してしまうんだ。

なぜだろう?
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