《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

文字の大きさ
61 / 673
第4章 夫が真実の愛を捧げる相手はどこにいるのでしょうか?名乗り出てください。

61.『神子様とは何もない。私は、潔白だ。』と公爵は、オレに言いました。オレが聞きたい答えは、それじゃないんです。

しおりを挟む
オレの質問を聞いた公爵の秘書とオレの秘書は、同時に公爵に厳しい声をかけた。

「「公爵。」」

公爵の秘書とオレの秘書は、王城と王都の公爵の屋敷で起こった、神子様と公爵とオレの三角関係の愛憎劇を知っている。

オレと公爵とヤグルマさんが揃って話をする場には、必ず秘書も控えている。

事情を知らないのは、公爵領の文官。

「神子様?公爵と魔王を討伐した神子様でしょうか?」
文官は、声に出して確認していた。

執事長は、公爵領に来た経緯を知っているようだ。 

静観している。

「神子様に何があったんですか?」
と話し始めた文官を執事長は黙らせた。

「オレは、公爵に、神子様のことを聞きたい。
公爵が話してくれるのを待っていた。
でも、もう待てない。
今、聞きたい。
王都の公爵家の屋敷に戻るなら、オレは、何も知らないままでいたくない。」

オレは、真剣に、公爵の心に響くことを願って、言葉を選んだ。

神子様への懸念を表さず、オレの知りたい気持ちだけを抽出した。

言葉選びは、間違っていなかったと思う。

文官は、シリアスな雰囲気を感じ取って、執事長の隣で静かにしている。

「公爵、今日まで、伴侶に説明しなかったんですか?

私は、説明するために、王都を離れたんだと思っていました。

伴侶が、今日、勇気を出さなかったら、話さないつもりだったんですか?

それは、さすがに、伴侶の健気さを踏みにじる行いでは?」
公爵の秘書が、公爵にお説教している。

オレの健気さ、というより、オレの意思を踏み潰してきたよ、公爵は。

健気さ云々は、ともかく。

公爵には、説明してほしい。

「この件で、ヒサツグ様が責められることがあっても、夫が何にも言わないせいだと弁明できます。」
とオレの秘書。

「二人とも、ありがとう。オレは、神子様についての説明が聞けたら、十分。」

公爵の秘書とオレの秘書の熱意が、公爵を動かしたのか、公爵は、分かった、と返事した。

よし。

オレの聞きたいことを聞いていくぞ!

オレが、姿勢を正して、質問しようとすると。

公爵が先に話し始めた。

「ヒサツグからの質問の前に、これだけは、言っておきたい。
神子様とは何もない。
私は、潔白だ。
私のヒサツグに顔向け出来ないような不実な真似はしていない。
誤解だ。」

そうか。
そうなんだ。
へー。

今さら、それを聞かされてもなー。

オレの聞きたい話じゃないからなー。

オレは、冷めた目で、公爵を見てしまった。
その後、怒りがふつふつと湧いてきた。

王城で、神子様が公爵の腕に絡んでいるときに、さ。

『誤解だ。』
と神子様を振り払っていたら、信憑性はあったよ?

神子様が乗り込んできて、公爵と別れろ、とオレに言ってきた、と、オレが公爵に話したとき、公爵は、何をした?

神子様の望みは、公爵の望みではない、としか言っていない。

神子様に対しで、ヘタレな上に、オレに対して、労りも謝罪もなく、言い訳さえしなかった。

そんな扱いをしているのにさあ。

なぜ、オレと結婚を強行したのかなー?

オレは、公爵にめちゃくちゃ腹が立っていると自覚した。

「この期に及んで、公爵は悪くなくて、オレが悪いって、公爵は言うんだ?」

オレが聞きたいことは、たくさんあったんだ。

聞かなくちゃいけないことも、たくさん。

オレは、さあ。

公爵には、期待するだけ、期待した側が辛くなるボンクラだって、知っていたのに。

無意識に期待したんだな。

情けない。

オレは、公爵と、オレ自身に腹が立った。

オレは、席を立って、部屋を出ていってやろう、と思ったのに、出来なかった。

「ヒサツグは、神子様のことで、もう不安にならなくていい。」
と公爵が言ったから。

期待したら、裏切られる、と頭では分かっていても、期待してしまうんだ。

なぜだろう?
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

黄金 
BL
目が覚めたら、ここは読んでたBL漫画の世界。冷静冷淡な氷の騎士団長様の妻になっていた。しかもその役は名前も出ない悪妻! だったら離婚したい! ユンネの野望は離婚、漫画の主人公を見たい、という二つの事。 お供に老侍従ソマルデを伴って、主人公がいる王宮に向かうのだった。 本編61話まで 番外編 なんか長くなってます。お付き合い下されば幸いです。 ※細目キャラが好きなので書いてます。    多くの方に読んでいただき嬉しいです。  コメント、お気に入り、しおり、イイねを沢山有難うございます。    

【完結】伯爵家当主になりますので、お飾りの婚約者の僕は早く捨てて下さいね?

MEIKO
BL
 【完結】伯爵家次男のマリンは、公爵家嫡男のミシェルの婚約者として一緒に過ごしているが実際はお飾りの存在だ。そんなマリンは池に落ちたショックで前世は日本人の男子で今この世界が小説の中なんだと気付いた。マズい!このままだとミシェルから婚約破棄されて路頭に迷う未来しか見えない!  僕はそこから前世の特技を活かしてお金を貯め、ミシェルに愛する人が現れるその日に備えだす。2年後、万全の備えと新たな朗報を得た僕は、もう婚約破棄してもらっていいんですけど?ってミシェルに告げる。なのに対象外のはずの僕に未練たらたらなのどうして? ※R対象話には『*』マーク付けます。

【完】ラスボス(予定)に転生しましたが、家を出て幸せになります

ナナメ
BL
 8歳の頃ここが『光の勇者と救世の御子』の小説、もしくはそれに類似した世界であるという記憶が甦ったウル。  家族に疎まれながら育った自分は囮で偽物の王太子の婚約者である事、同い年の義弟ハガルが本物の婚約者である事、真実を告げられた日に全てを失い絶望して魔王になってしまう事ーーそれを、思い出した。  思い出したからには思いどおりになるものか、そして小説のちょい役である推しの元で幸せになってみせる!と10年かけて下地を築いた卒業パーティーの日ーー ーーさあ、早く来い!僕の10年の努力の成果よ今ここに!  魔王になりたくないラスボス(予定)と、本来超脇役のおっさんとの物語。 ※体調次第で書いておりますのでかなりの鈍足更新になっております。ご了承頂ければ幸いです。 ※表紙はAI作成です

転生したら嫌われ者No.01のザコキャラだった 〜引き篭もりニートは落ちぶれ王族に転生しました〜

隍沸喰(隍沸かゆ)
BL
引き篭もりニートの俺は大人にも子供にも人気の話題のゲーム『WoRLD oF SHiSUTo』の次回作を遂に手に入れたが、その直後に死亡してしまった。 目覚めたらその世界で最も嫌われ、前世でも嫌われ続けていたあの落ちぶれた元王族《ヴァントリア・オルテイル》になっていた。 同じ檻に入っていた子供を看病したのに殺されかけ、王である兄には冷たくされ…………それでもめげずに頑張ります! 俺を襲ったことで連れて行かれた子供を助けるために、まずは脱獄からだ! 重複投稿:小説家になろう(ムーンライトノベルズ) 注意: 残酷な描写あり 表紙は力不足な自作イラスト 誤字脱字が多いです! お気に入り・感想ありがとうございます。 皆さんありがとうございました! BLランキング1位(2021/8/1 20:02) HOTランキング15位(2021/8/1 20:02) 他サイト日間BLランキング2位(2019/2/21 20:00) ツンデレ、執着キャラ、おバカ主人公、魔法、主人公嫌われ→愛されです。 いらないと思いますが感想・ファンアート?などのSNSタグは #嫌01 です。私も宣伝や時々描くイラストに使っています。利用していただいて構いません!

【本編完結】異世界で政略結婚したオレ?!

カヨワイさつき
BL
美少女の中身は32歳の元オトコ。 魔法と剣、そして魔物がいる世界で 年の差12歳の政略結婚?! ある日突然目を覚ましたら前世の記憶が……。 冷酷非道と噂される王子との婚約、そして結婚。 人形のような美少女?になったオレの物語。 オレは何のために生まれたのだろうか? もう一人のとある人物は……。 2022年3月9日の夕方、本編完結 番外編追加完結。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

令嬢に転生したと思ったけどちょっと違った

しそみょうが
BL
前世男子大学生だったが今世では公爵令嬢に転生したアシュリー8歳は、王城の廊下で4歳年下の第2王子イーライに一目惚れされて婚約者になる。なんやかんやで両想いだった2人だが、イーライの留学中にアシュリーに成長期が訪れ立派な青年に成長してしまう。アシュリーが転生したのは女性ではなくカントボーイだったのだ。泣く泣く婚約者を辞するアシュリーは名前を変えて王城の近衛騎士となる。婚約者にフラれて隣国でグレたと噂の殿下が5年ぶりに帰国してーー? という、婚約者大好き年下王子☓元令嬢のカントボーイ騎士のお話です。前半3話目までは子ども時代で、成長した後半にR18がちょこっとあります♡  短編コメディです

処理中です...