《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

文字の大きさ
87 / 673
第5章 いつになったら、日本に帰れますか?

87.『公爵を幸せにしたら、日本に帰れますか?』女神様は、英雄の幸せが喜ばしい。『そなたは、妾の民ぞ。』オレ、涙が止まりません。

しおりを挟む
「英雄は、そなたに真実の愛を捧げて結婚しておる。」

「オレと公爵は、結婚が先でした。順番は関係ないんですか?」

順番が、逆なら、ダメになるよなー?

ダメと言ってくれ!

「妾は、英雄の幸せが喜ばしい。」
と女神様。

英雄?

ああ、公爵のことか。

公爵、女神様に愛されていて、良かったなー。

オレは、公爵に心の中で、語りかけていた。

「そなたに祝福を授ける。」

いや、だから、公爵の幸せを望んで、オレに祝福を与える流れに?

ひょっとして?

「オレが、女神様の祝福を授かるのは、公爵が、オレに真実の愛を捧げて結婚しているから、ですか?

オレに女神様の祝福があることで、公爵は幸せになるんですか?」

「ふむ。」

「オレが日本に帰った後に公爵と結婚する人が、女神様の祝福を授かるのは、公爵の幸せに効果がありませんか?」

「そなた。帰る、帰ると話しておるが、そなたはどこに帰ろうとしておる?」
と女神様。

「元の世界のオレが暮らしていた国に、です。」

「そなたは、妾の民であろうに。」
と女神様。

「オレは、生まれも育ちも日本です。
いつの間にか、こちらにおりましたが。

女神様。オレがこちらにいることは、女神様に関係しますか?」

「ふむ。」

「オレは、こちらに来る前に、女神様とお会いした記憶はありません。

女神様は、何かをオレに期待されていますか?

神子様は、こちらに来る前に、女神様と会っていますよね?」

「ふむ。英雄の幸せをな。」
と女神様。

「オレが、日本に帰る条件は、公爵の幸せ、ですか?」

それを達成したら、オレは、日本に帰れる?

公爵を幸せにするのは、オレも願ったりかなったり。

公爵を幸せにすることが条件なら、やる気アップ!

「公爵を幸せ判定する条件は、なんですか?」

曖昧さ回避で、聞いておかないと。

「妾の民は、妾の世界から出ていかぬ。」
と女神様。

「そうですか。」
なんだろうな?

「そなたは、妾の民。」
と女神様。

「オレは、こちらの生まれではありません。」

「そなたは、英雄と結婚して、妾の民となった。」
と女神様。

え?結婚?

異世界人でも、結婚したら、女神様の民になる?

女神様の民は、世界を越えて、行き来しない、と女神様がさっき話をしていた。

だとすれば。

公爵と結婚した時点で、オレは、女神様の民。

オレと日本との縁は切れていることになる。


オレが日本に帰る日は、二度とこない。


知ってしまった事実は、オレには衝撃的過ぎた。

だって、オレが結婚してから、半年。

オレは、日本に帰りたいという目的を胸に、一心不乱に生きてきた。

それが全部、オレの空回りだったんだ?

オレの両目から、涙が溢れてきた。

涙は、次々に溢れてきて、オレの頬と寝間着を濡らしていく。

オレは、ただ突っ立ったまま、静かに涙を流している。

泣くことでしか、今は、もう。

女神様が目の前にいるにも関わらず、オレは、女神様と会話する気力を完全に失った。

女神様は、話さなくなったオレの心臓の上らへんに手を置く。

「そなたに祝福を授ける。」
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

騎士団長の秘密

さねうずる
BL
「俺は、ポラール殿を好いている」 「「「 なんて!?!?!?」」 無口無表情の騎士団長が好きなのは別騎士団のシロクマ獣人副団長 チャラシロクマ×イケメン騎士団長

氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

黄金 
BL
目が覚めたら、ここは読んでたBL漫画の世界。冷静冷淡な氷の騎士団長様の妻になっていた。しかもその役は名前も出ない悪妻! だったら離婚したい! ユンネの野望は離婚、漫画の主人公を見たい、という二つの事。 お供に老侍従ソマルデを伴って、主人公がいる王宮に向かうのだった。 本編61話まで 番外編 なんか長くなってます。お付き合い下されば幸いです。 ※細目キャラが好きなので書いてます。    多くの方に読んでいただき嬉しいです。  コメント、お気に入り、しおり、イイねを沢山有難うございます。    

転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?

米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。 ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。 隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。 「愛してるよ、私のユリタン」 そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。 “最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。 成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。 怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか? ……え、違う?

王様お許しください

nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。 気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。 性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。

2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。

ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。 異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。 二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。 しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。 再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。

【完結】おじさんダンジョン配信者ですが、S級探索者の騎士を助けたら妙に懐かれてしまいました

大河
BL
世界を変えた「ダンジョン」出現から30年── かつて一線で活躍した元探索者・レイジ(42)は、今や東京の片隅で地味な初心者向け配信を続ける"おじさん配信者"。安物機材、スポンサーゼロ、視聴者数も控えめ。華やかな人気配信者とは対照的だが、その真摯な解説は密かに「信頼できる初心者向け動画」として評価されていた。 そんな平穏な日常が一変する。ダンジョン中層に災厄級モンスターが突如出現、人気配信パーティが全滅の危機に!迷わず単身で救助に向かうレイジ。絶体絶命のピンチを救ったのは、国家直属のS級騎士・ソウマだった。 冷静沈着、美形かつ最強。誰もが憧れる騎士の青年は、なぜかレイジを見た瞬間に顔を赤らめて……? 若き美貌の騎士×地味なおじさん配信者のバディが織りなす、年の差、立場の差、すべてを越えて始まる予想外の恋の物語。

処理中です...