《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第6章 異世界で公爵の伴侶やってます。溺愛とは、何でしょうか。

99.公爵とオレ。オープンカーでお手振り。お互いについて、知りたい。『公爵の名前と年齢は?』『え?』『名乗った記憶は、あるのか?』

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公爵とオレは、オープンカーでお手振りしながら、帰った。

「公爵、オレは、公爵のことを知らない。もっとたくさん知りたい。この世で、一番公爵について、詳しくなりたい。

それから、オレのこともたくさん知ってほしい。

オレの考えも、希望も、得意、不得意も、来し方も。」

オレは、オープンカーの中で、公爵側の手を公爵と繋いでいる。

毎日、ナデナデも抱擁もした仲なのに、手を繋ぐだけで、ドキドキする。

掌の方が、抱擁よりも、くっついている面積が少ないのに。

オープンカーで、お手振りにして良かった。

密室で二人、なんていうシチュエーションになったら、あらぬことを口走りそう。

「公爵の誠意が、神子様に届いて良かったな。」

「私のヒサツグは、可愛い。」
と公爵。

「今は、誤魔化さないで、吐き出したらいい。

喧騒が消してくれる。

公爵は、元神子の魔王に気持ちを持っていかれたんだろう?

神子様に気持ちがなかったわけじゃないだろうけど、決定的に違っていたんだよな?」

オレの優しい夫は、自分を殺す代わりに、不幸な神子の連鎖を止めるように、と言った気高い魂の女性に惚れたんだ。

敵同士なのに。

出会ったら最後なのに。

両親の仇でもあったのに。

魔王になった、元神子の女性も、公爵を憎からず思ったんだと思う。

公爵、苦しかったよな。

思いを共有できる人は、自分自身の手で、葬って、二度と会えない。

「私のヒサツグは、本当に。」
と公爵。

「オレは、公爵の夫、旦那様だからなー。公爵?」

公爵は、微妙そうな顔。

なぜ?ありがとう!では?

「私のヒサツグは、私の妻で、嫁。」
と公爵。

「オレの方が、絶対に年上。頼りがいのある旦那様は、オレだろ?」

「ヒサツグは、一生懸命、私の幸せを追求してくれる可愛い奥様。」
と公爵。

オレ達は、お手振りを終了した。

「公爵、オレ達には、話し合いが必要だと常々思っていた。」

「私のヒサツグから。」
と公爵。

「公爵の名前と年を教えろ。」

「私の?」
と公爵。

「めちゃくちゃ驚いているけどなー?
公爵は、オレに名前を名乗ったこともなければ、誰かに紹介させたこともないんだぞ?
年齢もな。

婚姻届出すときも、オレは、公爵の名前を見ていないぞ。」

公爵は、めちゃくちゃ驚いていた。 

そういえば、と思い出したらしい。

「クロード・ケレメイン。24歳。」
と公爵。

「オレの方が年上だなー。オレが旦那様だなー。」

「ヒサツグ。無理は良くない。」
と公爵。

「クロードを甘やかしたり、可愛がったり、守ったりするのは、オレなんだから、オレが旦那様だろう?」

「ヒサツグ。私は、ヒサツグに包まれたい。」
と公爵。

「着いたら、ぎゅうぎゅうしようなー?甘えん坊なクロード。」

「ぎゅうぎゅうも大事だが、私が包まれたいのは、私の分身の話だ。」
と公爵。

「分身?」

分身の術?忍者のかな?

「私の分身をヒサツグの中で温めてほしい。」
と公爵。

「オレの中で。」
温めるもの、なのか?

公爵の手が、オレの腹を愛おしそうにさすってきた。

「この中に、私の分身を余すところ無く、おさめてほしい。」
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