《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

448.クロードが、五人の婚約者候補から誰も選ばなかったのは、選ばせてもらえないと知っていたのでしょうか?オレは、クロードを不幸にしません。

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オレのマウンテン王国の友達四人は、クロードの婚約者候補だっ。

クロードの婚約者候補が五人もいて、なかなか決まらなかったのは、さ。

ケレメイン公爵クロードと王姉殿下スナメリ様が、親密にならないために、手を回した人がいたからじゃないのかな?

宰相が実の娘を、騎士団長が甥を、ケレメイン公爵クロードの婚約者候補に入れたのは、意図があってのことだと思う。

クロードの友人だった、ギリギリ王族の司祭の繋がりで、司祭の従兄弟ムール・ドローが、クロードの婚約者候補になったこと。

クロードの友人だった医者の妹が、平民にもかかわらず、ケレメイン公爵だったクロードの婚約者候補になったこと。

婚約者候補になった五人は、五人とも、婚約者候補になった経緯を知らなかったと思う。

王姉殿下スナメリ様とケレメイン公爵クロードとの婚約を成立させないために、婚約者候補は五人いたんじゃないかな。

ケレメイン公爵クロードの婚約者候補の本命は、宰相の娘である、侯爵令嬢ポーリーン・タチバナ。

現国王陛下と王妃陛下との仲が改善しないので、王妃陛下を交代する案に、名前が上がっている侯爵令嬢ポーリーン・タチバナ。

司祭の従兄弟ムール・ドローと医者の妹がクロードの婚約者候補に入っているのは、賑やかし。

騎士団長の甥イスペル・シャムは、貴族の本命だった侯爵令嬢ポーリーン・タチバナと、国王陛下王姉殿下スナメリ様との直接対決の構図を作らず、視線を分散させるために置かれたデゴイ。

オレは、今さら見えてきたものの多さにのまれないように、一つ一つ飲み込んでいる。

ケレメイン公爵だった頃のクロードは、知っていたのかな?

五人もいた婚約者候補のうち、実際に婚約が成立する可能性がある相手は、最初から一人しかいなかった、ということを。

知っていたから、選ばない姿勢を貫いたのかな?

選ばせてもらえると見せかけて、選べる選択肢が一つだけしかないなんて、選択肢が用意されていないよりも、がっかりしたんじゃないかな。

クロードが、宰相の娘本人を気に入ったとか、気に入らないとか、関係なく。

クロードのことなのに、クロードは、蚊帳の外に置かれていた。

なぜかな?

なぜ、誰も、クロードに伝えなかったんだろう?

クロードのご両親、先代ケレメイン公爵夫妻がいなくなったから?

クロードが領地に帰らなくても、王城に泊まり込んでいるクロードに、誰かが伝える機会はあったはず。

クロードが、忙しすぎて、誰かと話をする時間は、取れなかったのかな?

それとも、クロードを助けて国王陛下を刺激することは、国のためにならない、と判断したのかな?

もしくは。

マウンテン王国の王城内にもスパイがいて、クロードにケレメイン公爵領のことや先代ケレメイン公爵夫妻のしていた役回りを伝えることを邪魔されたのかな?


クロードは、誰からも何の説明もなく、親身になってくれる人もいない状況で、クロードの意思を無視して頭ごなしに決まっていく全てに、嫌気がさしたのかもしれない。

クロードが、女神様に願って、女神様が叶えたのは、クロードだけの味方になってくれる伴侶が、英雄クロードには必要だったから。

クロードだけの味方を作らないと、きっと、クロードは限界だった。

女神様は、クロードに壊れてほしくないから、クロードを一番大事にしてくれる、女神様ではない誰かを探してきて、クロードに伴侶として与えた?

国を思う気持ちも、人を思う気持ちも、どっちも、軽くない。

ベクトルの向きが一致したら、誰も傷つかなくて良かったのにな。

そんな風に考えてしまうオレは、どこに出しても恥ずかしくないくらいに、堂々と未熟者を名乗れると思う。

未熟者だと自覚したオレは、今までよりも、しっかりしたと思う。

クロードとオレの暮らしに、波乱はいらない。

マウンテン王国は、クロードを守らなかった。

ひょっとするて、クロードを守れなかった、が正解かもしれない。

どちらにしろ。

オレは、クロードを守り抜いてやる。

クロードが幸せに生きるために、オレとクロードは、ケレメイン大公国を作った。

オレは、オレのクロードを不幸になんかしないぞ。

やる気がみなぎってきた。
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