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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
612.オレとクロードが、カズラくんと味噌汁が冷めない距離に住む関係になるのはどうでしょう?冷めた味噌汁は温め直せばいいですよね?
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「本妻さんに追い込まれて困ったことになったのは、カズラくんだけだったんだな。
カズラくんのお父さんもお母さんも、カズラくんを助けなかったから。」
不条理過ぎて、オレが泣きたいくらいだ。
「父の思惑通り、ぼくが本妻の子どもより目立たなければ?
本妻の子どもは、ぼくに目くじらを立てずにいたと思う。
本妻の子どもがぼくに気づかないような生き方をぼくがしていれば。
父と母の望み通りでしゃくだけど。
ぼくは、苦しまなくて済んだね、きっと。
ぼくの父と母は、望まれない生き方をしたぼくを持て余すことはあっても。
ぼくを助けようという考えにはならなかった。」
とカズラくん。
カズラくんの目に張っていた膜からポロポロと水滴が溢れていく。
全部、出してしまえばいい。
悔しい気持ちも、悲しい気持ちも。
今まで、強気な態度で隠してきた心の奥に溜め込んできたものを、出せるだけ出してしまえばいい。
カズラくんは、二十年の人生を家族として生きたお父さんとお母さんに、思いを打ち明けなかった。
女神様の世界に来て、色々な人と関わりを作って、女神様の世界で生きていくと決めたカズラくんの思いの丈を打ち明ける相手は、オレ。
カズラくんは、女神様の世界で生きていくために、自分の中にある感情を整理しようとしている。
女神様の世界の住人である大店の商人を恋人にしても、カズラくんが葛藤を打ち明ける相手は恋人じゃない。
オレは、カズラくんの選択が正解だと思っている。
カズラくんが葛藤や苦しみを吐き出した後こそ、恋人の出番だと思うから。
「カズラくんが、日本から持ち込めるものは、カズラくんに思い入れがあるものなんだよな?」
カズラくんがポロポロと流す涙が止まるのを待ってから、オレはカズラくんに尋ねた。
「そうだよ。ぼくが持ち込めるものは、ぼくに関係するものだけだから。」
とカズラくん。
「カズラくんが日本から持ち込めたものは、カズラくんのこれまでに関係するもの。
ということは、オレに見せてくれた花々は、カズラくんにとって幸せな思い出があるものなんだよな?」
「ヒサツグに見せた四季折々の花はね。
ぼくが何も知らないでいたときの幸せな記憶と結びついているものばかりだよ。
ぼくの思い出は、ぼくのもの。
ぼくの思い出の登場人物が、後々、ろくでなしだと判明したとしても。
ぼくの一部になっているぼくの思い出をぼくは否定しない。」
とカズラくん。
泣きやんだはずのカズラくんの目に、再び、涙が盛り上がる。
「カズラくんの思い出が、カズラくんの支えになっているなら、さ。
カズラくんは、思い出を大切に生きていいと思うぞ。
美しい思い出を美しいままにしておくことが、カズラくんの人生を邪魔するようになったら、考え方を変えてみたらどうかな?」
うん、と短く返事したカズラくんは、涙が止まるまで泣いていた。
カズラくんは、追い落としはしても、復讐に執念を燃やす性格じゃない。
カズラくんがカズラくんを追い込んだ人やカズラくんを助けなかった人への復讐を考えるときは。
女神様の世界でのカズラくんの暮らしがうまくいかなくなったとき。
うまくいかなくなった原因が、女神様の世界に来る前にあるとカズラくんが確信しても。
失うものが何も無い状態などでなければ、カズラくんは破れかぶれな行動をしない。
カズラくんには、女神様の世界で幸せになってほしい。
カズラくんとオレは、恋敵だったけれど。
カズラくんの話を聞いていたら、カズラくんの恋が包容力や優しさを相手に求めるものだったことに合点がいった気がする。
カズラくんが、クロードに対する失恋を受け入れた理由も、同じところにある。
「お隣さん同士、大きい波と小さい波をこえながら、これからもやっていこう。」
オレが言うと、泣きやんだカズラくんは、お隣さん?と声に出した。
「味噌汁の冷めない距離に済むお隣さんだぞ?
お隣さんというには、家の場所が多少離れていたとしても。
味噌汁は温め直せるからさ。」
カズラくんは、吹き出した。
カズラくんのお父さんもお母さんも、カズラくんを助けなかったから。」
不条理過ぎて、オレが泣きたいくらいだ。
「父の思惑通り、ぼくが本妻の子どもより目立たなければ?
本妻の子どもは、ぼくに目くじらを立てずにいたと思う。
本妻の子どもがぼくに気づかないような生き方をぼくがしていれば。
父と母の望み通りでしゃくだけど。
ぼくは、苦しまなくて済んだね、きっと。
ぼくの父と母は、望まれない生き方をしたぼくを持て余すことはあっても。
ぼくを助けようという考えにはならなかった。」
とカズラくん。
カズラくんの目に張っていた膜からポロポロと水滴が溢れていく。
全部、出してしまえばいい。
悔しい気持ちも、悲しい気持ちも。
今まで、強気な態度で隠してきた心の奥に溜め込んできたものを、出せるだけ出してしまえばいい。
カズラくんは、二十年の人生を家族として生きたお父さんとお母さんに、思いを打ち明けなかった。
女神様の世界に来て、色々な人と関わりを作って、女神様の世界で生きていくと決めたカズラくんの思いの丈を打ち明ける相手は、オレ。
カズラくんは、女神様の世界で生きていくために、自分の中にある感情を整理しようとしている。
女神様の世界の住人である大店の商人を恋人にしても、カズラくんが葛藤を打ち明ける相手は恋人じゃない。
オレは、カズラくんの選択が正解だと思っている。
カズラくんが葛藤や苦しみを吐き出した後こそ、恋人の出番だと思うから。
「カズラくんが、日本から持ち込めるものは、カズラくんに思い入れがあるものなんだよな?」
カズラくんがポロポロと流す涙が止まるのを待ってから、オレはカズラくんに尋ねた。
「そうだよ。ぼくが持ち込めるものは、ぼくに関係するものだけだから。」
とカズラくん。
「カズラくんが日本から持ち込めたものは、カズラくんのこれまでに関係するもの。
ということは、オレに見せてくれた花々は、カズラくんにとって幸せな思い出があるものなんだよな?」
「ヒサツグに見せた四季折々の花はね。
ぼくが何も知らないでいたときの幸せな記憶と結びついているものばかりだよ。
ぼくの思い出は、ぼくのもの。
ぼくの思い出の登場人物が、後々、ろくでなしだと判明したとしても。
ぼくの一部になっているぼくの思い出をぼくは否定しない。」
とカズラくん。
泣きやんだはずのカズラくんの目に、再び、涙が盛り上がる。
「カズラくんの思い出が、カズラくんの支えになっているなら、さ。
カズラくんは、思い出を大切に生きていいと思うぞ。
美しい思い出を美しいままにしておくことが、カズラくんの人生を邪魔するようになったら、考え方を変えてみたらどうかな?」
うん、と短く返事したカズラくんは、涙が止まるまで泣いていた。
カズラくんは、追い落としはしても、復讐に執念を燃やす性格じゃない。
カズラくんがカズラくんを追い込んだ人やカズラくんを助けなかった人への復讐を考えるときは。
女神様の世界でのカズラくんの暮らしがうまくいかなくなったとき。
うまくいかなくなった原因が、女神様の世界に来る前にあるとカズラくんが確信しても。
失うものが何も無い状態などでなければ、カズラくんは破れかぶれな行動をしない。
カズラくんには、女神様の世界で幸せになってほしい。
カズラくんとオレは、恋敵だったけれど。
カズラくんの話を聞いていたら、カズラくんの恋が包容力や優しさを相手に求めるものだったことに合点がいった気がする。
カズラくんが、クロードに対する失恋を受け入れた理由も、同じところにある。
「お隣さん同士、大きい波と小さい波をこえながら、これからもやっていこう。」
オレが言うと、泣きやんだカズラくんは、お隣さん?と声に出した。
「味噌汁の冷めない距離に済むお隣さんだぞ?
お隣さんというには、家の場所が多少離れていたとしても。
味噌汁は温め直せるからさ。」
カズラくんは、吹き出した。
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