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おデブがお好き?
しおりを挟む倒れた巨体を、生徒会長と島田が担架に乗せて運んでくれたという。
そういやあいつも生徒会か。2人は顔見知りなんだな。
保健室で目が覚めた私に付き添ってくれていたミカが教えてくれた。
うーん、会長は置いといて、すまん、島田。
後で飴をあげよう。私の食べられないハッカのやつ。
放課後までぐっすり寝ていたみたいで、昨日乙女ゲームし過ぎて寝不足だったからスッキリした。
「あの後女子が騒いで大変だったんだよー。さくら、王子とどこで知り合ったの?」
「どこも何も…」
記憶にないけど。
「で、結婚すんの?」
キラキラした瞳で詰め寄る。
「なワケないでしょ!」
「えぇ~なんでぇ⁉優良物件だし、本気っぽかったよ!」
「私は女子に目をつけられるのはゴメンなの!せっかくクラスの子達と仲良くなったのに台無しにされたくないもん」
「勿体無いなぁ~」
「いらん!」
ガラッ
保健室の扉が勢いよく開いたかと思うと、ザッザッと医師と看護師らしき人たちが入ってくる。
「失礼します。」
ポカンとしてる間に脈を取られ、体に異常がないか素早く調べられる。
「え、あの…なに?」
「早坂さん、急に倒れたから心配したんだよ。大丈夫かい?」
医師の後ろからキラキラを振りまいてやって来る元凶。
だいじょうぶではない。
なんであなたがここに居る⁉
「…はぁ、ご迷惑をおかけしました。運んで頂いたそうで。」
「迷惑なんかじゃないよ。僕一人でも運べたのに島田くんがどうしても手伝うと言うから二人で運ばせてもらったけど…」
医師が避けたところにスッと座って手を取り、ぷっくりと肉付き過ぎている私の指先をふにふにと弄びながら艶っぽくため息をつく。
「このふくよかな腕や柔らかい体に他の男の手が触れたかと思うと妬けるね。」
「ひっ⁉あぅ、あ、なっ」
「あ、わかった!鳳センパイ、もしかして、太った人が好みなんですか⁉」
「…?太った人って誰のことだい??健康的で元気な子は好きだよ。早坂さんみたいな、ね。だから結婚しよう?もう早坂さん以外考えられないんだ」
そう言いつつ二の腕をふよふよ揉んで微笑んでいる。
おい、セクハラだぞ。
てかマジか。
こいつ………デブ専だったのか!!
それはモテモテなのに彼女もいないわけだ!どんなモデルのような美女が迫ろうとも靡かないわな。
恋は盲目…いやデブには盲目……
しかし、この人がデブ専なことは周りは知らないわけだから、そうなると私への風当たりがキツくなることは必至。
ごめんこうむる。
「お断りします。」
「君のこと誰より大切にするよ?」
「お断りします。」
「なに不自由なく好きなもの食べて暮らしてもらえるよ?」
「…だが断る!」
最後ちょっと迷ってなんていないんだからね!
そう言い捨てて、困った顔をした会長と医師達を残し、ミカを引きずって保健室を飛び出した。
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