【完結】妖の王の継承者は正妻志望で学園1の銀髪美少女と共に最強スキル「異能狩り」で成り上がり復讐する〜

ひらたけなめこ

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3章 学園祭編

21 オン研始動!

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 「えー、それではここが今日から我々陰陽道研究会、略してオン研の部室になります!」

 ゴールデンウィークを終え、また授業が始まった学園で、賀茂が案内したのは文化部室棟の二階にある一室だった。

「まあ……。これはなかなかお掃除し甲斐がありそうですわ」
と柚が京都人らしく若干皮肉めいた言い回しをする。文化部室棟自体が他の校舎と比べて古めの建物であるのに、部屋自体がしばらく使っていないらしく、物置のようになっていた。

「そうだな、この部室は昔写真部が使ってたらしいんだが、今は廃部になってこのありさまだ。でも贅沢は言ってられないぜ。部室が余ってただけ良かったってもんだ」

「これは早急に掃除しないといけないわね」
という姫華はすでに若干ホコリにむせていた。

「よし!柚ちゃんと姫華は掃除を頼む!俺と琥太郎はいらないものをゴミ出しするぞ」

「了解。すでに部長がなかなか板についてるじゃないか、賀茂」
とニヤリと笑う琥太郎に、

「だろ?こう見えて結構張り切ってるんだぜ」
と賀茂はワイシャツ の腕をめくった。

「琥太郎、そこの写真部が使ってた機材は、若菜先生に倉庫にしまうよう言われてるんだ。手分けして運ぼう」

「了解」

 ゴミ捨てが片付いてきた琥太郎は賀茂の指示に従う。

「ところで、もう二週間くらいで文化祭だろ?文化部は出店するみたいだけど、何か出し物は考えてるのか?」

「そうだな。琥太郎は何か良い案ないか?」

「うーん、何が良いだろうなあ」

 そんな話をしながら機材を運び終え、部室に2人で戻る。

「ねえ、柚ちゃん。このちり取りってどうやって使うの?」

「姫華さんは本当にお嬢様なんですわね。ゴミをこうやって取るのですわ」

「だって、うちは全部ロボット掃除機だし……」

 琥太郎らが帰ってきたことに気づいた柚が嬉しそうに近づいてきた。

「二人とも、だいぶきれいになりましたわ!」

「ほんとだな、ありがとう!残りは俺たちも掃除手伝うから、とっとと綺麗にしちゃおう」
と琥太郎と賀茂は雑巾掛けを始めた。

「ところで柚、誘ってたもう一人の部員って誰なんだ?5人揃ったから部活として認められたんだろ?」

「ええ、それは……」
と柚が答えかけたところで、ドアを開ける大きな音がして皆が振り返った。

「遅れちゃったニャー、編入手続きになかなか手間取っちゃってごめんニャ!」

「み、美乃梨?!」

 制服姿で部室にやってきた美乃梨を見て琥太郎は驚きの声を上げる。

「あ、お兄ちゃん!美乃梨もこれからお兄ちゃんと一緒の学校で嬉しいニャ♡」

「美乃梨ちゃんは今日から学園の中等部に編入しましたの。部員に誘ったら喜んでOKしてくれましたわ」
と柚が自慢げに話す。

「よく学園に編入できたな。編入試験は普通より難しいんじゃないのか?」
と尋ねる琥太郎に、

「そのへんは俺の方から理事長に便宜を図っておいたからな」
と賀茂が答えた。いつのまにか理事長にまで伝手を持っている賀茂は何者なのかと琥太郎は不思議に思う。

「ニャ?初めて見た顔がいるニャ?」

「美乃梨ちゃんは初めてですわね。こちら、土御門姫華さん。高等部の私達の同級生ですわ」

「姫華よ。よろしく」
と姫華が握手しようとスッと手を伸ばす。

「つち、みかど……?」
 それまで穏やかにしていた美乃梨の目に暗い光が宿ったのを琥太郎は見逃さなかった。

「やめろ、美乃梨!」
琥太郎が叫んだ時には既に美乃梨の手に握られた小刀が姫華の首元に当てられていた。一筋の血がツーッと流れ落ちる。

「お前、土御門家の人間だニャ?」

 今にでも小刀で首を掻き切る勢いの殺気を放つ美乃梨に動じず、姫華は見下ろすように美乃梨を睨み返した。

「だとしたらなんだって言うの?猫又なんて下等妖怪如きが私を殺せるとでも?」

「この小刀は呪力が込められた特製の暗器ニャ。殺せるかどうか、試してみるニャ?」

 睨み合う両者の間に、琥太郎がなんとか割って入り、美乃梨の小刀を持つ手を抑える。

「二人とも、やめてくれ。妹と友人の殺し合いなんか俺は見たくない」

「だって、こいつら土御門家の人間がパパを殺したんだよ!お兄ちゃんは悔しくないニャ?!」

「落ち着け、美乃梨。父さんを殺したのはあくまで土御門翠流。姫華はむしろ俺たちに手を貸してくれる仲間だ。敵を見誤るな」

 頬を膨らませ、美乃梨は仕方なくと言った仕草で小刀を納める。

「お兄ちゃんがそこまで言うなら……。でも、美乃梨のはこいつのことは認めないニャ」

「認めてもらわなくて結構よ。私は私で好きにやらせてもらうわ」

 バチバチと睨み合う二人を柚がなんとか宥める。オン研の活動はどうやら前途多難なようだ。

「やれやれ、なんでこの界隈は仲良くできないもんかねえ」
と賀茂はため息をついた。

 その頃、一人の女子生徒が夕陽の射す理科準備室に教師から頼まれたプリントの束を運んできていた。

「なんだか今日の理科室はやけに暗いわね。ジメジメしていて、雰囲気が悪いわ」

 彼女は、背後に蠢く闇にまったく気づいていなかった。


 




 




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