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.9 新婚生活
44 新婚初夜
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そんなこんなで色々あって、その年の六月、俺たちは挙式した。
いろいろ、で省略しすぎやって? 勘弁してや。三十路男の妻請いの話なんてこっぱずかしいだけやん。そこは省略や省略。
――というわけで、式を終えたタクシーの中、礼奈がふぅと息をついてシートに身体を預けた。
俺の視線に気づいて、少し照れ臭そうに「終わったねぇ」と微笑む。「終わったな」とあいづちを返して、そっと手を握った。
交わし合う微笑みも言葉も、なんやいとおしくて照れ臭い。挙式までの準備は結構ハードやったから、その開放感もあってほっとしたのが本音のところや。
タクシーは俺の家に向かってるけど、礼奈はまだ引越してへん。
大学を卒業するまでは実家から通う方が近いし、まだ就活中やしな。必要以上のストレスをかけないためにも、その方がええやろと、政人たちとも相談の上でそうすることにした。
家に着くと、俺はさっさと風呂を張った。
礼奈は疲れからか、ほうっとしてクッションを手に座っている。式までのテキパキした様子もない。その力の抜けた様子がまたかわいくて、抱きしめたい。抱き寄せたい。けどそんなことすればゆっくりできへんのは分かってるから我慢や。自分の家なのにどこかそわそわと、茶を淹れたりなんたりと立ち動く。
「栄太兄……座ったら?」
不思議そうに首を傾げる礼奈が、まん丸な目で俺を見上げる。この無垢な天使を、汗まみれの俺が抱き寄せてええとも思えず、あいまいに答えて荷物を整理したりしているうち、風呂の張れた音がした。
「先、入るか? ……それとも」
何を期待するわけでもないはずやのに、声が上ずる。そこまで言ったくせに、先に何を続けたものか迷ってる内、礼奈ははっとした顔で、わたわたと風呂へ向かった。
……礼奈も、気づいたやろうか。
そうやん、今日はその、いわゆるところの新婚初夜って奴やん。
いや、抱くつもりはないで。礼奈はまだ学生やし、結婚すること自体、母の彩乃さんは反対しててん。妊娠なんかさせたらもう、縁切られるに決まっとる。
家族想いの礼奈に、そんな悲しい経験をさせたらあかん。
……そんなことは、分かっとるんやけど。
風呂場に続くドアから漏れ聞こえる水音に、礼奈のあらぬ姿を想像して首を振った。
あかん、これじゃほんまの変態や。父さんに捕まってまうわ。
あーくそ、こんなん、父さんのせいや。式が終わるや礼奈に「夫婦でも合意がなければ犯罪やで、おっちゃんに相談し」とか言うてたからや。変に意識させんといて。
そりゃ合意がなくて礼奈を羽交い締めにする気なんてあらへん。
けど、じゃあ合意があったらどうなるか――
ぐるぐる考えているうち、礼奈が上がったらしい。がちゃっと開いたドアの音にびくりと肩を震わせると、シャンプーのええ匂いをまとった礼奈が、おずおずと出て来た。
「あの……先、いただきました」
「ああ、うん」
あかん、声が変に高い。
俺は極力笑顔を取り繕いつつも、礼奈の顔を見れないまま、「眠かったら先寝ててええで」と声をかけて風呂場へ行った。それに、
「うん。でも……待ってる」
気恥ずかしそうな、小さな声。
……かわいいが過ぎるやろ!!
あかん、既に俺瀕死や。ほとんど逃げ込むように風呂場に入ると、胸を押さえて荒い息をついた。
今までも、二、三度うちに泊まったことはある。あるけど、それとこれとは話が別や。
もう、礼奈は俺の妻になった。俺と礼奈は夫婦になった。
……俺が求めても、誰も文句は言わん。
けど。
学生である礼奈。転職したばかりの俺。
ためらう理由は、もちろんそれだけやなくて。
……がっかりさせたらどうしよ。
礼奈は俺しか知らへんまま、生きていくんや。
満足させられへんかったら……
湯に身体を浸しつつ、思考はふよふよと漂う。俺に失望する礼奈。他の男に手を伸ばす礼奈。
――あかーーーーん!!
俺は絶望のあまり、湯船に頭を突っ込み、さっきまでこの湯に礼奈が入ってたんやったと思い出して、慌てて顔を外に出した。
……とにかく、今日はせんで。延期や、延期。
まだ、もう少し、心の準備をしてから――
あと、互いの体調とか、タイミングとか――
……いや、でもキスくらいは……濃厚めなやつでも、してええんとちゃう……?
踏ん切りのつかない自分を情けなくも思いながら部屋に戻ると、礼奈は座卓の前でうとうとしてはった。
額にかかった柔らかな髪。静かに上下する小さな肩。半ば閉じたまぶた。優しく閉じられた唇。
エロのことしか考えてへんかった頭が、見る間に浄化されていく気がした。
「寝てるんか?」
手を伸ばして頭を撫でると、心地よさそうに目を閉じる。
「ほんま……可愛えなぁ」
こぼれた本音は、もう包み隠す必要もないんやなと改めて思う。
それだけでも、嬉しくてたまらんわ。
礼奈は重そうに腕を伸ばし、俺の背に手を回した。
「……栄太兄」
「うん?」
呼ばれて、答える声が、自分でも気持ち悪いくらい甘い。
とたんに礼奈が俺にしがみついてきた。
「何や、どうした」
笑って背中を叩く。礼奈は俺の腕の中で、「なんでもない」と首を振る。俺はその髪を撫でて、礼奈、と呼んだ。
「……なぁに?」
甘えたようなその声には、まごうことなき女が含まれている。
心臓が高鳴る。ゆっくりと距離が近づき、どちらからともなく、目を閉じる。
唇が、触れる。かすかに離れた瞬間、あたたかい息が漏れる。目を開くと、視線が絡まる。
礼奈の手が伸びてきて、生乾きの髪を掻き上げるように俺の頭に触れた。俺だけを映した目が細められる。照れくさそうに、満足げに。
その表情が、たまらんくらいかわいくて――色っぽい。
――あかん、好きや。
喉が鳴る。礼奈から目を離せない。
――愛してる。
言葉の代わりに口づける。最初は触れるだけ。足りずにその唇を割る。礼奈がおずおずと答える。身体中に痺れが走る。
ずっとこうしてたい。
思うと同時に、なんや不思議な境地が見えた。
ええやん、別に。
セックスなんてせぇへんでも。
こうして二人でいられたら、もう、充分幸せやん。
舌が絡まる。礼奈が段々と大胆に、俺に身体を重ねてくる。
俺はその肩を撫でる。礼奈の高ぶりが分かる。吐息が荒くなってくる。
「――栄太兄」
呼んだ礼奈の声は、ひどく切実だった。俺ははっとして礼奈を見つめる。その目に、悲痛なほどの覚悟、みたいなものを見て、思わず困惑した。
誰に、ふきこまれたものやろ。
手を取られ、礼奈の腰に押し付けられる。戸惑いながら、ただただ、キスを受け止める。
愛情は当然セックスに行き着くやなんて、そんなことあらへんやろうに。
栄太兄、と礼奈が呼ぶ。泣きそうなその顔に、じわりと胸に愛おしさが広がった。
そうや。――もっと深いところで、俺は礼奈と繋がっていたい。
俺は苦笑して、その身体を引き寄せる。
「……礼奈」
礼奈は素直に俺の胸に寄りかかった。
包み込めるくらい小さな身体に、俺の胸と――その、大きい声では言えんソコが跳ねる。
心を落ち着けようと、数度ため息をついているうち、礼奈は少し冷静さを取り戻したらしい。じぃっと、俺の準備が整うのを待ってはる。
……なんやすまんなぁ、いつもビシッと決められへんで。
けど、これが俺やから仕方ないねん。それを分かって、礼奈も一緒にいてくれる。そう知ってるから、かっこつけんでいられる。
ほんま、俺は幸せもんや。
「……俺は……焦らんでも、ええと思てんねん……その……そういうこと」
下手くそな言葉に突っ込むこともなく、礼奈の丸い目がじぃっと俺を見上げてくる。
「す、少しずつ……慣らしていってもええんちゃうかなーて……」
……いや待てよ。これじゃ、時間をかけて開発したるわ、て言うてるように聞こえへん?
それじゃエロオヤジやん、俺はアホか?
自分に呆れて黙り込む。
が、礼奈はソノコトがないと分かるやほっとしたらしい。
俺の腕の中に収まるように小さくなりはって、すぅすぅと息をたてはじめた。
「……礼奈?」
声をかけても、礼奈はうーん、と答えるだけ。
……天使、やんな。
あまりの尊さに、幸せそうな寝顔を胸に引き寄せ、吐息をつく。
「焦らず行こな」
俺は苦笑を浮かべながら、その頭を撫でる。
ゆっくり、ゆっくり、小さいときよくしたのと同じように――
「……えいたにい……」
寝言やろうか、礼奈が俺を呼ぶ。自然と笑みが浮かぶ。
「いるで、ここに」
抱きしめる。誰よりも近くに、誰よりも愛おしいこの子を。
「……一生、ここにいるで。礼奈」
不意に、何十年と先のことが想われて、思わず泣きそうになった。
俺と礼奈、どっちが先に逝くやろう。礼奈に長生きして欲しい、と思う気持ちもあるけど、寂しい思いはさせたくない、とも思う。
そんなことを思ったのも、たぶん、祖父母の姿を見てるからやろう。
「……愛してる」
俺は礼奈を抱きしめた。幸せやな。俺はほんま、幸せもんや。
この温もりを、腕に抱きしめられることが、ほんまに、ほんまに、幸せや。
いろいろ、で省略しすぎやって? 勘弁してや。三十路男の妻請いの話なんてこっぱずかしいだけやん。そこは省略や省略。
――というわけで、式を終えたタクシーの中、礼奈がふぅと息をついてシートに身体を預けた。
俺の視線に気づいて、少し照れ臭そうに「終わったねぇ」と微笑む。「終わったな」とあいづちを返して、そっと手を握った。
交わし合う微笑みも言葉も、なんやいとおしくて照れ臭い。挙式までの準備は結構ハードやったから、その開放感もあってほっとしたのが本音のところや。
タクシーは俺の家に向かってるけど、礼奈はまだ引越してへん。
大学を卒業するまでは実家から通う方が近いし、まだ就活中やしな。必要以上のストレスをかけないためにも、その方がええやろと、政人たちとも相談の上でそうすることにした。
家に着くと、俺はさっさと風呂を張った。
礼奈は疲れからか、ほうっとしてクッションを手に座っている。式までのテキパキした様子もない。その力の抜けた様子がまたかわいくて、抱きしめたい。抱き寄せたい。けどそんなことすればゆっくりできへんのは分かってるから我慢や。自分の家なのにどこかそわそわと、茶を淹れたりなんたりと立ち動く。
「栄太兄……座ったら?」
不思議そうに首を傾げる礼奈が、まん丸な目で俺を見上げる。この無垢な天使を、汗まみれの俺が抱き寄せてええとも思えず、あいまいに答えて荷物を整理したりしているうち、風呂の張れた音がした。
「先、入るか? ……それとも」
何を期待するわけでもないはずやのに、声が上ずる。そこまで言ったくせに、先に何を続けたものか迷ってる内、礼奈ははっとした顔で、わたわたと風呂へ向かった。
……礼奈も、気づいたやろうか。
そうやん、今日はその、いわゆるところの新婚初夜って奴やん。
いや、抱くつもりはないで。礼奈はまだ学生やし、結婚すること自体、母の彩乃さんは反対しててん。妊娠なんかさせたらもう、縁切られるに決まっとる。
家族想いの礼奈に、そんな悲しい経験をさせたらあかん。
……そんなことは、分かっとるんやけど。
風呂場に続くドアから漏れ聞こえる水音に、礼奈のあらぬ姿を想像して首を振った。
あかん、これじゃほんまの変態や。父さんに捕まってまうわ。
あーくそ、こんなん、父さんのせいや。式が終わるや礼奈に「夫婦でも合意がなければ犯罪やで、おっちゃんに相談し」とか言うてたからや。変に意識させんといて。
そりゃ合意がなくて礼奈を羽交い締めにする気なんてあらへん。
けど、じゃあ合意があったらどうなるか――
ぐるぐる考えているうち、礼奈が上がったらしい。がちゃっと開いたドアの音にびくりと肩を震わせると、シャンプーのええ匂いをまとった礼奈が、おずおずと出て来た。
「あの……先、いただきました」
「ああ、うん」
あかん、声が変に高い。
俺は極力笑顔を取り繕いつつも、礼奈の顔を見れないまま、「眠かったら先寝ててええで」と声をかけて風呂場へ行った。それに、
「うん。でも……待ってる」
気恥ずかしそうな、小さな声。
……かわいいが過ぎるやろ!!
あかん、既に俺瀕死や。ほとんど逃げ込むように風呂場に入ると、胸を押さえて荒い息をついた。
今までも、二、三度うちに泊まったことはある。あるけど、それとこれとは話が別や。
もう、礼奈は俺の妻になった。俺と礼奈は夫婦になった。
……俺が求めても、誰も文句は言わん。
けど。
学生である礼奈。転職したばかりの俺。
ためらう理由は、もちろんそれだけやなくて。
……がっかりさせたらどうしよ。
礼奈は俺しか知らへんまま、生きていくんや。
満足させられへんかったら……
湯に身体を浸しつつ、思考はふよふよと漂う。俺に失望する礼奈。他の男に手を伸ばす礼奈。
――あかーーーーん!!
俺は絶望のあまり、湯船に頭を突っ込み、さっきまでこの湯に礼奈が入ってたんやったと思い出して、慌てて顔を外に出した。
……とにかく、今日はせんで。延期や、延期。
まだ、もう少し、心の準備をしてから――
あと、互いの体調とか、タイミングとか――
……いや、でもキスくらいは……濃厚めなやつでも、してええんとちゃう……?
踏ん切りのつかない自分を情けなくも思いながら部屋に戻ると、礼奈は座卓の前でうとうとしてはった。
額にかかった柔らかな髪。静かに上下する小さな肩。半ば閉じたまぶた。優しく閉じられた唇。
エロのことしか考えてへんかった頭が、見る間に浄化されていく気がした。
「寝てるんか?」
手を伸ばして頭を撫でると、心地よさそうに目を閉じる。
「ほんま……可愛えなぁ」
こぼれた本音は、もう包み隠す必要もないんやなと改めて思う。
それだけでも、嬉しくてたまらんわ。
礼奈は重そうに腕を伸ばし、俺の背に手を回した。
「……栄太兄」
「うん?」
呼ばれて、答える声が、自分でも気持ち悪いくらい甘い。
とたんに礼奈が俺にしがみついてきた。
「何や、どうした」
笑って背中を叩く。礼奈は俺の腕の中で、「なんでもない」と首を振る。俺はその髪を撫でて、礼奈、と呼んだ。
「……なぁに?」
甘えたようなその声には、まごうことなき女が含まれている。
心臓が高鳴る。ゆっくりと距離が近づき、どちらからともなく、目を閉じる。
唇が、触れる。かすかに離れた瞬間、あたたかい息が漏れる。目を開くと、視線が絡まる。
礼奈の手が伸びてきて、生乾きの髪を掻き上げるように俺の頭に触れた。俺だけを映した目が細められる。照れくさそうに、満足げに。
その表情が、たまらんくらいかわいくて――色っぽい。
――あかん、好きや。
喉が鳴る。礼奈から目を離せない。
――愛してる。
言葉の代わりに口づける。最初は触れるだけ。足りずにその唇を割る。礼奈がおずおずと答える。身体中に痺れが走る。
ずっとこうしてたい。
思うと同時に、なんや不思議な境地が見えた。
ええやん、別に。
セックスなんてせぇへんでも。
こうして二人でいられたら、もう、充分幸せやん。
舌が絡まる。礼奈が段々と大胆に、俺に身体を重ねてくる。
俺はその肩を撫でる。礼奈の高ぶりが分かる。吐息が荒くなってくる。
「――栄太兄」
呼んだ礼奈の声は、ひどく切実だった。俺ははっとして礼奈を見つめる。その目に、悲痛なほどの覚悟、みたいなものを見て、思わず困惑した。
誰に、ふきこまれたものやろ。
手を取られ、礼奈の腰に押し付けられる。戸惑いながら、ただただ、キスを受け止める。
愛情は当然セックスに行き着くやなんて、そんなことあらへんやろうに。
栄太兄、と礼奈が呼ぶ。泣きそうなその顔に、じわりと胸に愛おしさが広がった。
そうや。――もっと深いところで、俺は礼奈と繋がっていたい。
俺は苦笑して、その身体を引き寄せる。
「……礼奈」
礼奈は素直に俺の胸に寄りかかった。
包み込めるくらい小さな身体に、俺の胸と――その、大きい声では言えんソコが跳ねる。
心を落ち着けようと、数度ため息をついているうち、礼奈は少し冷静さを取り戻したらしい。じぃっと、俺の準備が整うのを待ってはる。
……なんやすまんなぁ、いつもビシッと決められへんで。
けど、これが俺やから仕方ないねん。それを分かって、礼奈も一緒にいてくれる。そう知ってるから、かっこつけんでいられる。
ほんま、俺は幸せもんや。
「……俺は……焦らんでも、ええと思てんねん……その……そういうこと」
下手くそな言葉に突っ込むこともなく、礼奈の丸い目がじぃっと俺を見上げてくる。
「す、少しずつ……慣らしていってもええんちゃうかなーて……」
……いや待てよ。これじゃ、時間をかけて開発したるわ、て言うてるように聞こえへん?
それじゃエロオヤジやん、俺はアホか?
自分に呆れて黙り込む。
が、礼奈はソノコトがないと分かるやほっとしたらしい。
俺の腕の中に収まるように小さくなりはって、すぅすぅと息をたてはじめた。
「……礼奈?」
声をかけても、礼奈はうーん、と答えるだけ。
……天使、やんな。
あまりの尊さに、幸せそうな寝顔を胸に引き寄せ、吐息をつく。
「焦らず行こな」
俺は苦笑を浮かべながら、その頭を撫でる。
ゆっくり、ゆっくり、小さいときよくしたのと同じように――
「……えいたにい……」
寝言やろうか、礼奈が俺を呼ぶ。自然と笑みが浮かぶ。
「いるで、ここに」
抱きしめる。誰よりも近くに、誰よりも愛おしいこの子を。
「……一生、ここにいるで。礼奈」
不意に、何十年と先のことが想われて、思わず泣きそうになった。
俺と礼奈、どっちが先に逝くやろう。礼奈に長生きして欲しい、と思う気持ちもあるけど、寂しい思いはさせたくない、とも思う。
そんなことを思ったのも、たぶん、祖父母の姿を見てるからやろう。
「……愛してる」
俺は礼奈を抱きしめた。幸せやな。俺はほんま、幸せもんや。
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