マイ・リトル・プリンセス

松田丹子(まつだにこ)

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.9 新婚生活

50 よぎる不安

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 疲れて眠った礼奈をベッドに残して、俺はそのまま風呂に直行した。
 ギンギンに猛ったソレをそのまま眠れるわけもない。礼奈が起きてる間、傍にいたっただけでも自分のがんばりを褒めたい。
 情けないことやけど、そのつもりになったらそれはまあソッコーで終わった。
 身体を洗い、ぐったりと湯船に沈み込む。

 これは……想像以上にヤバい。

 語彙力がないのはいつものことや。ヤバいって何かって礼奈がかわいい。それもいつものことや。分かってる。分かってるけどもう更新せんやろうと思うてた「かわいい」記録ガンガン更新してくからどうしようもない。今もほら目を閉じればさっきの……エロかわいい姿が……いや待てムスコ、今楽にしたったとこやろ、猛るな!
 はぁあー、と深々息を吐き出して頭を抱える。
 そりゃ、年上の余裕なんちゅうもん、礼奈も今さら俺に期待してへんやろうけど、あんなかわいい姿見たら頭ぱーんてなるやん。頭ぱーんてなってムスコもぱーんてなりそうやん。そんなやったらもうぶっこんだれ、と思うやろ? せやけどイザソノトキになるときっと我に返るねん――あああかんな、あんまり嫌な想像するのはやめとこ。
 濡れた髪から湯が滴った。髪を掻き上げてまたため息。湯船の縁に肘をかけて頬杖をついた。

 こんなで俺、ほんま礼奈とちゃんと……できるんやろか。

 ふっとまた、思考がただよう。まあどうにかなるやろー、と楽天的にいられるほど、メンタル強くも若くもない。礼奈を抱きたい。それは間違いない。けど、うまくできるやろか……それが、今はとにかく不安で。
 いや、不慣れなんやし、うまくやろうと思うのがそもそも、間違いなんや。とにかく礼奈をとろとろに溶かして、もう何も覚えてられへんくらいにしてからすれば、きっとどうにか……その前に破裂せんかなムスコ、大丈夫かな……一度抜いといたらちょうどええかも……いやでもそのとき勃たんようになると困るし……
 こんなんで悩むなんてくだらん、と思うんやけど俺にとっては切実な悩みや。父さんかて真剣に聞いてくれへんかったけど……誰にこんな悩み打ち明けられるっちゅうねん……同士はおらんのか、同士は。……おらんやろな。少なくとも浮かばへんわ。

 礼奈はきっと、想像もしてへんやろうな。俺がこんな……ヘタレやっちゅうこと。
 かっこいい、て言うてくれたのになぁ……ほんとのところはヘタレやねん、堪忍な……いや、たぶんそれも分かってくれてんねやろうけど……礼奈はほんま、俺なんかのどこがいいんやろ……。

 とにかく、俺は俺にできることをやるしかない。礼奈に愛想を尽かされんように……。アレがアレせんでも、とりあえず、気持ちよくさせることはできたはずや。これからもそうやって少しずつ……またあのエロかわいい顔見るのか……心臓鍛えとかなあかんな……。

 思うてるうち、すっかり長湯してもうた。のぼせた俺はふらつく足取りで風呂を出て、倒れるようにリビングのソファで眠りについてしまったらしい。
 翌朝、朝になって礼奈がつついてきたかと思うと、「うりゃっ」と腹に抱きついてくる。
 ふくれっ面で、礼奈は俺を(かわいく)にらみつけた。

「栄太兄ってば、一緒に寝てくれてると思ったのにいないんだもん……がっかりした」

 ……礼奈、待ってな……男のアレっちゅうんは、朝はそういうの……あかんようになっててな……ちょっとその、距離を……。

 じりじりと腰を離したつもりやったけど、どこかで当たってもうたらしい。礼奈が不思議そうに首を傾げて、確認するように視線を下げて――ぱっと顔を赤らめた。

「き、着替えてくる……」
「ああ……」

 ――あああああああ、かわいい!!

 部屋に引っ込んだ礼奈を見ながら、俺はトイレに行くべきか我慢すべきか、真剣に悩んで頭を抱えた。
 ほんま――おひいさまには翻弄されてばっかりや(ま、それも含めて幸せなんやけどな!!)。
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