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.12 呪いの解き方
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礼奈の周囲の香りも吐息も、すべて俺の中に取り込もうとするように、強く抱きしめて口づけた。
礼奈。――礼奈。
誕生日プレゼント。就職祝いでもなく、卒業祝いでもない。そこに、少なからず独占欲があった。礼奈がこの世に産まれた日を祝う――けれどこれから先の礼奈の人生は、俺に欲しい。俺と一緒に、いてほしい。他の誰でもない、俺とだけ――ずっと一緒に。
角度を変えながらの口づけは今までになく性急で、礼奈も俺も息が上がってるのが分かった。礼奈の身体の力がゆっくり抜けていき、腕だけがすべてを受け止めるように、俺背中に巻き付く。あたたかくて、柔らかな力に包まれて――ゾクゾクする。
「っ……礼奈」
「うん」
呼びかけた俺よりもうなずく礼奈の方が、余裕がありそうや。切迫したこの感覚が、いったい何なのか俺にもよう分からん。なんやもう、爆発しそうなくらい、礼奈への想いでいっぱいいっぱいで、ぎゅうと抱きしめて抱き潰してまいそうや。
ふっ、と、唇を離した隙に、礼奈が俺の首に腕を巻き付けた。視線が合うと、少し荒い息づかいの礼奈は紅潮した頬で微笑んだ。
「ずっと、一緒にいようね」
ああ、通じてたんやな。この喜びも幸せも、同時に感じるよう分からん不安も切なさも、全部全部、通じてたんやな。
その一言でそう分かって、嬉しくてまた唇を重ねる。俺の首に抱きついた礼奈も、同じように応えてくれた。
これだけ俺のことを分かってくれるなら――もっと触れたい、て思うてることも分かってくれてるやろか。
浴衣の足元が乱れるのも構わず、礼奈の膝下と背中に手を添えて抱え上げた。礼奈が一瞬驚いて、口を離そうとするのを追いかけて口づける。キスを交わしながら寝室まで進んで、昨晩、情けない思い出を残したままのベッドにその身体を横たえる。
ムスコはすっかりイキってはるけど、別に無理なら無理でええ。とにかく、礼奈をたっぷり、愛したい。俺がどんだけ、礼奈のことを想うてるか、ちゃんと伝わるように。ちゃんと覚えてもらえるように。この先、何があっても――例えば、仕事の都合でゆっくり話せへんようになっても、すれ違いで喧嘩したとしても――俺が一番大事なのは礼奈やって、礼奈も、俺自身も、ちゃんと覚えてられるように。
「……きれいやで、礼奈」
帯をほどいて、ベッドの上に横たわる白い肢体を、見下ろして微笑む。
ほんま、きれいや。こんなに、きれいで……愛おしい。
温泉のせいか、それとも交わしたキスのせいか、ほんのり紅く色づいた肌に、唇を寄せていく。額、まぶた、頬、耳、首筋、鎖骨……胸元にキスをしながらブラのホックを外して、その下で俺を待ちわびている尖りを舐める。礼奈がぴくんと震えて横を向いて、手で口を押さえた。その動きと表情が、かわいくてかわいくて、思わず笑う。
「かわいい」
囁いた声は、いつもの自分のそれより低い。礼奈の髪を撫でながら浴衣をずらして、剥き出しになった肩に口づける。ぴくんと震えた礼奈に、ふと気づいた。
「寒くないか? ……暖房とか、つけてへんかったけど……」
「さ、寒く……ない……」
恥ずかしそうに、礼奈は答える。横目で俺を見るその目元は色づいていて、何をしたわけでもないのに、薄い胸が浅く早く上下しとるのが見える。
「寒く……ないよ……」
言葉を繰り返して、手が伸びてくる。その手が求めるまま、その内側に収まってやると、礼奈が俺を見上げた。
「むしろ……熱い……」
ふつり、と、何かのタガが外れた音がした。
――そこからは、夢中やった。
指を挿れた礼奈の中は、とろとろに溶けていて、どうしてもそこに入りたくて、ゴムを着けて礼奈の中に沈めた。
下半身にくすぶる熱が、熱くて痛くて必死で、ぎゅうっと礼奈の肩を抱きしめたまま、身体を寄せてった。礼奈の反応をうかがう余裕なんてなかった。自分の息づかいと心臓の音だけが耳の奥で響いて、渇いたみたいに礼奈を求めて、狭くうねる熱の中に俺のムスコを沈めて――
「……はい、った?」
「っ……ん」
こく、とうなずいた俺に、礼奈が微笑む。
その微笑みが、ちょっと引きつって見えて怯んだ。
「い、痛いか?」
「……少し」
礼奈は答えた後、ふわりとほころぶように笑った。
「でも、それ以上に……幸せ」
礼奈の目に浮かんだ涙が、きらりと輝いて見えて。
俺の目にも、じわりと涙が浮かんだ。
――ごちゃごちゃ考えんと、ただ感じればよかったんや。
俺がどんなにかっこ悪くても、下手くそでも、礼奈はこうやって、ちゃんと俺を見て、傍にいてくれるのに。
そう分かってた、はずやのに――かっこいいと思ってもらいたくて、自分でハードル上げて、失敗して、自信なくしてた。
馬鹿やなぁ、俺。
こんなにも簡単なことが、どうして今までできへんかったんやろ。
礼奈への愛おしさが膨れ上がる。どんな俺でも受け止めてくれるひと。長所も短所もぜんぶ……受け止めて、それが俺やからて言うてくれるひと――
「礼奈……」
しんみりしながらぎゅうと抱きしめる。
……と、礼奈が目を丸くした。
「……あれ? 痛くない」
「……そ、か……」
そう……やろな……うん。
まあ、礼奈から、痛い、て聞いたときにそんな気はしたんやけどな……。
俺のムスコは急に賢者になってもうたらしい。「礼奈を痛がらせるやなんてあかん!」てなもんや。
えらい紳士やんか。紳士すぎやで。ったくもう、ほんま言うこと聞かへん奴やな――
「ごめんな、ほんと……こんなんばっかで……」
がっかりしながら腰を引こうとする俺を、礼奈が「待って」と引き寄せた。
「も少し、このままでいて」
「……ええけど」
ムスコも俺の心も、ふにゃんと力を無くしたまま、礼奈の温もりに包まれる。
不思議やなぁ。
礼奈は俺より、一回りも二回りも小さいはずやのに、そうしてるとなんだか、すっぽりくるまれてるみたいな安心感がある。
「ふふ。こうしてられるだけでも、嬉しいよ」
礼奈が囁いて、俺の背中を撫でる。その優しさに、胸が満たされていく。
昨夜の寝不足もたたってか、なんだか眠くなってきて……背中に触れる礼奈の手を感じながら、知らない間にまどろみに飲まれていた。
礼奈。――礼奈。
誕生日プレゼント。就職祝いでもなく、卒業祝いでもない。そこに、少なからず独占欲があった。礼奈がこの世に産まれた日を祝う――けれどこれから先の礼奈の人生は、俺に欲しい。俺と一緒に、いてほしい。他の誰でもない、俺とだけ――ずっと一緒に。
角度を変えながらの口づけは今までになく性急で、礼奈も俺も息が上がってるのが分かった。礼奈の身体の力がゆっくり抜けていき、腕だけがすべてを受け止めるように、俺背中に巻き付く。あたたかくて、柔らかな力に包まれて――ゾクゾクする。
「っ……礼奈」
「うん」
呼びかけた俺よりもうなずく礼奈の方が、余裕がありそうや。切迫したこの感覚が、いったい何なのか俺にもよう分からん。なんやもう、爆発しそうなくらい、礼奈への想いでいっぱいいっぱいで、ぎゅうと抱きしめて抱き潰してまいそうや。
ふっ、と、唇を離した隙に、礼奈が俺の首に腕を巻き付けた。視線が合うと、少し荒い息づかいの礼奈は紅潮した頬で微笑んだ。
「ずっと、一緒にいようね」
ああ、通じてたんやな。この喜びも幸せも、同時に感じるよう分からん不安も切なさも、全部全部、通じてたんやな。
その一言でそう分かって、嬉しくてまた唇を重ねる。俺の首に抱きついた礼奈も、同じように応えてくれた。
これだけ俺のことを分かってくれるなら――もっと触れたい、て思うてることも分かってくれてるやろか。
浴衣の足元が乱れるのも構わず、礼奈の膝下と背中に手を添えて抱え上げた。礼奈が一瞬驚いて、口を離そうとするのを追いかけて口づける。キスを交わしながら寝室まで進んで、昨晩、情けない思い出を残したままのベッドにその身体を横たえる。
ムスコはすっかりイキってはるけど、別に無理なら無理でええ。とにかく、礼奈をたっぷり、愛したい。俺がどんだけ、礼奈のことを想うてるか、ちゃんと伝わるように。ちゃんと覚えてもらえるように。この先、何があっても――例えば、仕事の都合でゆっくり話せへんようになっても、すれ違いで喧嘩したとしても――俺が一番大事なのは礼奈やって、礼奈も、俺自身も、ちゃんと覚えてられるように。
「……きれいやで、礼奈」
帯をほどいて、ベッドの上に横たわる白い肢体を、見下ろして微笑む。
ほんま、きれいや。こんなに、きれいで……愛おしい。
温泉のせいか、それとも交わしたキスのせいか、ほんのり紅く色づいた肌に、唇を寄せていく。額、まぶた、頬、耳、首筋、鎖骨……胸元にキスをしながらブラのホックを外して、その下で俺を待ちわびている尖りを舐める。礼奈がぴくんと震えて横を向いて、手で口を押さえた。その動きと表情が、かわいくてかわいくて、思わず笑う。
「かわいい」
囁いた声は、いつもの自分のそれより低い。礼奈の髪を撫でながら浴衣をずらして、剥き出しになった肩に口づける。ぴくんと震えた礼奈に、ふと気づいた。
「寒くないか? ……暖房とか、つけてへんかったけど……」
「さ、寒く……ない……」
恥ずかしそうに、礼奈は答える。横目で俺を見るその目元は色づいていて、何をしたわけでもないのに、薄い胸が浅く早く上下しとるのが見える。
「寒く……ないよ……」
言葉を繰り返して、手が伸びてくる。その手が求めるまま、その内側に収まってやると、礼奈が俺を見上げた。
「むしろ……熱い……」
ふつり、と、何かのタガが外れた音がした。
――そこからは、夢中やった。
指を挿れた礼奈の中は、とろとろに溶けていて、どうしてもそこに入りたくて、ゴムを着けて礼奈の中に沈めた。
下半身にくすぶる熱が、熱くて痛くて必死で、ぎゅうっと礼奈の肩を抱きしめたまま、身体を寄せてった。礼奈の反応をうかがう余裕なんてなかった。自分の息づかいと心臓の音だけが耳の奥で響いて、渇いたみたいに礼奈を求めて、狭くうねる熱の中に俺のムスコを沈めて――
「……はい、った?」
「っ……ん」
こく、とうなずいた俺に、礼奈が微笑む。
その微笑みが、ちょっと引きつって見えて怯んだ。
「い、痛いか?」
「……少し」
礼奈は答えた後、ふわりとほころぶように笑った。
「でも、それ以上に……幸せ」
礼奈の目に浮かんだ涙が、きらりと輝いて見えて。
俺の目にも、じわりと涙が浮かんだ。
――ごちゃごちゃ考えんと、ただ感じればよかったんや。
俺がどんなにかっこ悪くても、下手くそでも、礼奈はこうやって、ちゃんと俺を見て、傍にいてくれるのに。
そう分かってた、はずやのに――かっこいいと思ってもらいたくて、自分でハードル上げて、失敗して、自信なくしてた。
馬鹿やなぁ、俺。
こんなにも簡単なことが、どうして今までできへんかったんやろ。
礼奈への愛おしさが膨れ上がる。どんな俺でも受け止めてくれるひと。長所も短所もぜんぶ……受け止めて、それが俺やからて言うてくれるひと――
「礼奈……」
しんみりしながらぎゅうと抱きしめる。
……と、礼奈が目を丸くした。
「……あれ? 痛くない」
「……そ、か……」
そう……やろな……うん。
まあ、礼奈から、痛い、て聞いたときにそんな気はしたんやけどな……。
俺のムスコは急に賢者になってもうたらしい。「礼奈を痛がらせるやなんてあかん!」てなもんや。
えらい紳士やんか。紳士すぎやで。ったくもう、ほんま言うこと聞かへん奴やな――
「ごめんな、ほんと……こんなんばっかで……」
がっかりしながら腰を引こうとする俺を、礼奈が「待って」と引き寄せた。
「も少し、このままでいて」
「……ええけど」
ムスコも俺の心も、ふにゃんと力を無くしたまま、礼奈の温もりに包まれる。
不思議やなぁ。
礼奈は俺より、一回りも二回りも小さいはずやのに、そうしてるとなんだか、すっぽりくるまれてるみたいな安心感がある。
「ふふ。こうしてられるだけでも、嬉しいよ」
礼奈が囁いて、俺の背中を撫でる。その優しさに、胸が満たされていく。
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