8 / 33
前章 不当な婚約破棄
8 アリア・テイラーの長い一日 〜前編〜
「ど、ど、どうしようマリアぁ……」
「そ、そんな事私に聞かないでよぉ」
レイラとマリアが涙目で震えながら擦り寄っている。
それもそのはず。彼女たちの……いえ、私たちの目の前には大型の熊のような魔獣が鋭い爪を剥き出しにし、鼻息荒く立ち塞がっているのだから。
「わ、私たち絶対絶命ってやつ……?」
「ううぅぅ……」
はあ。
溜め息しか出ない。
なんだってこんな事に――。
●○●○●
私ことアリア・テイラーは、アメリアの頃大親友だったレイラとマリアの二人と再び友人となり、トリニティノーブルズという謎のチームの一員となった。
彼女たちの提案によって私は『アメリア探索隊』に巻き込まれ、北の山へと訪れていた。
アメリアは私なので当然山になどいるわけはないのだが、彼女たちに付き合う約束をしてしまったのが運の尽きだった。
最初は適当に山の中をハイキング気分で散策していたのだが、日も暮れ出したので帰ろうと下山しようとして、今に至る。
「どうしてこんなところに魔獣なんているの……。山賊だけじゃなかったの?」
「そんな事知らないわよぉ。レイラが変な事言い出すからぁ」
「し、仕方ないじゃない! まだこの山の中は誰も捜索してないって言ってたし、アメリアならいる可能性あったし!」
確かに私はこの山にちょくちょく来ていた事がある。
と言ってもそれは殿下と婚約関係になる前までの話だ。昔はそれなりにおてんばだった私は、リセット家に帰りたくない日なんかはよくここで時間を潰して遊んでいた。自分だけの秘密の隠れ家とかも作っていたっけ。
「と、とにかく今はなんとかしてここから逃げないと!」
「で、でもこのままじゃアリアさんが……」
そう、彼女たちが逃げない原因は私のせいだ。
私は不運な事に猟師が仕掛けた罠に掛かってしまい、動けずにいたのである。
頑丈なロープが一気に締まるタイプの罠で、それが両脚に巻きついてしまい解けずにいたところ、魔獣に遭遇してしまったのである。
「私の事はいいからレイラ、マリア、二人だけでも逃げて!」
と、何度も言っているが二人は逃げない。
この魔獣はどう見ても危険すぎる。このまま逃げずにいたら間違いなく私たちはコイツの餌になってしまうだろう。
でもどうすれば……と、悩んでるうちに。
「グルァァァオオオオッ!」
ついに興奮極まった熊型の魔獣がレイラとマリアの二人に対して両腕を大きく広げ、今にも襲いかかろうとしている。
せめてレイラたちだけでも逃げて欲しいのに、彼女らは罠に掛かってしまっている私の前に立って私を守ろうとしてくれているのだ。
でもこのままじゃ真っ先に二人が殺されてしまう。どうしよう、どうすればいい!?
場所は日も暮れだした山奥、救援など期待できるはずもない。もしかしたらクロノス様がこのピンチに駆けつけてくれるかも、なんて甘い妄想を抱くほど私の頭はお花畑ではない。
この状況は私たちが、いえ、私がなんとかしなければならないのだ。
けれどレイラもマリアも戦いなんてできるわけがないし、魔法だって私と同じく不得手。魔獣と戦えるのなんて、王国の騎士様や戦士様、もしくは高位の魔術師様くらいなもの。
私たちにはどうする事も……。
と、そこまで思った瞬間。私は自分の思考を俯瞰して考えてみた。
まさにその直後。
「「キャァァアアアアッ!!」」
ついに魔獣が動き出しレイラたちを襲う。
だったら私がやるしかないッ!
「レイラマリア! 目を閉じて地面に伏せてッ!」
私が声を上げると彼女たちは言われた通り、かがみ込む。
想定通り、魔獣と目が合うのはこの私。
凶暴化した魔獣は普通の獣と同じで目が合った獲物を真っ先に狙う習性がある。
だからそれを利用して――。
「最初から私が死ねば良い話だった。怖い思いさせてごめんね、レイラ、マリア」
「「アリアさん!?」」
私は自身の喉元を魔獣に向ける。
と、同時に魔獣はすでに右腕を振りかぶって私の喉を掻っ切ろうと鋭い爪を剥き出しにしていた。
「縛られていたのが脚だけでよかったわ。次は必ずあなたたちを怖い目になんて合わさせないから」
何故ならボタンを押せるから。
直後、私の目の前にいつものあのボタンが現れてくれた――。
●○●○●
「ねえ、レイラ。こんなに奥深くに進んじゃって大丈夫なの?」
「平気よマリア。前にアメリアと来た時はもっと、渓谷の方まで行った事があるもの」
……ッ!
私の意識が戻ると、太陽が木々の隙間を縫うように差し込んでいる。その位置はほぼ真上。
どうやら無事巻き戻せたみたいだと私はひと安心した。
この段階でかなり山の奥まで進んでしまっている。早く引き返すように促そう。
「レイラ、マリア。帰りましょう」
「え? どうしたのアリアさん?」
「早く戻らないと私たち魔獣に襲われるわ」
「魔獣って……アリアさん、何言ってるの? この辺の山で魔獣が出るなんて聞いた事もないわ。山賊なら出るみたいだけど」
どうして人食い山賊は平気で魔獣はダメなの?
この子たちは馬鹿なの?
そりゃ確かに昔は私もここに遊びに来てたりしてたけど、あくまで日が明るいうちだけだ。日没までには必ず家に帰っていた。
「どっちにしても、もう戻らないと下山する頃には日が暮れてしまうわ。本当に山賊とかに襲われたら大変でしょう?」
「アリアさん、怖いのよね。わかるわ。でも安心して。私たちがアリアさんを守るからっ!」
確かに守ってくれてたけど、あれじゃ駄目なのよぉ!
もう……どうすればわかってくれるの?
「……違うの、レイラ、マリア。私には昔から感知能力があってね。魔物の類いが近くにいるとその気配を感じられるの。だからお願い、私の言う事を信じて欲しいの」
「アリアさん……」
これで駄目なら強引に引っ張ってでも下山させるしかない。
「うん、わかった。アリアさんがそこまで言うんじゃ戻りましょう、マリア」
「ええ、そうねレイラ。アリアさんの目、真剣だものね」
よかった、わかってくれた!
私は安堵して彼女たちの手を引き、来た道を戻ろうと足早に歩き出す。
まだ完全な獣道に入る前の時刻だ。この道ならさすがにあの魔獣と遭遇する事もないだろう。
早く戻って、騎士様たちに北の山に魔獣が出た事をお伝えしないと。
そんな風に考えていた時。
「……う、嘘?」
私は急停止して、目を見開く。
「「あ……あ……」」
レイラとマリアも身体を震わせている。
何故なら私たちが下山した方向には、例のあの魔獣が立ち塞がっていたからである。
「ま、魔獣……!」
「アリアさんの言ってた事、ほ、ほ、本当だった……」
どうして!?
今度はさっきより何時間も早く下山し始めたし、まだ日は明るい。それなのに何故ここで魔獣に遭遇するの!?
「グルァァァオオオオッ!」
今度は私たちに考える余裕など与えてもくれず、熊型の魔獣は勢いよく私たちに向かって突進してきた。
「走りましょう!」
私がそう言うと彼女たちもこくこくと頷き、魔獣から背を向けて走り出す。
「追いつかれちゃうよお!」
「も、もう無理ぃ!」
けれど、魔獣の脚に所詮ただの人間、ましてや貴族令嬢たちが敵うわけがない。
「キャッ!」
「マリア!?」
マリアが足をもつれさせて転倒し、その上に覆い被さるように魔獣が両腕の爪を振りかざしていた。
マリア、レイラ、あなたたちだけは絶対に死なせないッ!
「「アリアさん!?」」
私は咄嗟にマリアの上に被さり、身を挺して守った。
その瞬間、一瞬だけ背中に熱を感じるのと同時に巻き戻しのボタンが現れてくれたのだった。
「そ、そんな事私に聞かないでよぉ」
レイラとマリアが涙目で震えながら擦り寄っている。
それもそのはず。彼女たちの……いえ、私たちの目の前には大型の熊のような魔獣が鋭い爪を剥き出しにし、鼻息荒く立ち塞がっているのだから。
「わ、私たち絶対絶命ってやつ……?」
「ううぅぅ……」
はあ。
溜め息しか出ない。
なんだってこんな事に――。
●○●○●
私ことアリア・テイラーは、アメリアの頃大親友だったレイラとマリアの二人と再び友人となり、トリニティノーブルズという謎のチームの一員となった。
彼女たちの提案によって私は『アメリア探索隊』に巻き込まれ、北の山へと訪れていた。
アメリアは私なので当然山になどいるわけはないのだが、彼女たちに付き合う約束をしてしまったのが運の尽きだった。
最初は適当に山の中をハイキング気分で散策していたのだが、日も暮れ出したので帰ろうと下山しようとして、今に至る。
「どうしてこんなところに魔獣なんているの……。山賊だけじゃなかったの?」
「そんな事知らないわよぉ。レイラが変な事言い出すからぁ」
「し、仕方ないじゃない! まだこの山の中は誰も捜索してないって言ってたし、アメリアならいる可能性あったし!」
確かに私はこの山にちょくちょく来ていた事がある。
と言ってもそれは殿下と婚約関係になる前までの話だ。昔はそれなりにおてんばだった私は、リセット家に帰りたくない日なんかはよくここで時間を潰して遊んでいた。自分だけの秘密の隠れ家とかも作っていたっけ。
「と、とにかく今はなんとかしてここから逃げないと!」
「で、でもこのままじゃアリアさんが……」
そう、彼女たちが逃げない原因は私のせいだ。
私は不運な事に猟師が仕掛けた罠に掛かってしまい、動けずにいたのである。
頑丈なロープが一気に締まるタイプの罠で、それが両脚に巻きついてしまい解けずにいたところ、魔獣に遭遇してしまったのである。
「私の事はいいからレイラ、マリア、二人だけでも逃げて!」
と、何度も言っているが二人は逃げない。
この魔獣はどう見ても危険すぎる。このまま逃げずにいたら間違いなく私たちはコイツの餌になってしまうだろう。
でもどうすれば……と、悩んでるうちに。
「グルァァァオオオオッ!」
ついに興奮極まった熊型の魔獣がレイラとマリアの二人に対して両腕を大きく広げ、今にも襲いかかろうとしている。
せめてレイラたちだけでも逃げて欲しいのに、彼女らは罠に掛かってしまっている私の前に立って私を守ろうとしてくれているのだ。
でもこのままじゃ真っ先に二人が殺されてしまう。どうしよう、どうすればいい!?
場所は日も暮れだした山奥、救援など期待できるはずもない。もしかしたらクロノス様がこのピンチに駆けつけてくれるかも、なんて甘い妄想を抱くほど私の頭はお花畑ではない。
この状況は私たちが、いえ、私がなんとかしなければならないのだ。
けれどレイラもマリアも戦いなんてできるわけがないし、魔法だって私と同じく不得手。魔獣と戦えるのなんて、王国の騎士様や戦士様、もしくは高位の魔術師様くらいなもの。
私たちにはどうする事も……。
と、そこまで思った瞬間。私は自分の思考を俯瞰して考えてみた。
まさにその直後。
「「キャァァアアアアッ!!」」
ついに魔獣が動き出しレイラたちを襲う。
だったら私がやるしかないッ!
「レイラマリア! 目を閉じて地面に伏せてッ!」
私が声を上げると彼女たちは言われた通り、かがみ込む。
想定通り、魔獣と目が合うのはこの私。
凶暴化した魔獣は普通の獣と同じで目が合った獲物を真っ先に狙う習性がある。
だからそれを利用して――。
「最初から私が死ねば良い話だった。怖い思いさせてごめんね、レイラ、マリア」
「「アリアさん!?」」
私は自身の喉元を魔獣に向ける。
と、同時に魔獣はすでに右腕を振りかぶって私の喉を掻っ切ろうと鋭い爪を剥き出しにしていた。
「縛られていたのが脚だけでよかったわ。次は必ずあなたたちを怖い目になんて合わさせないから」
何故ならボタンを押せるから。
直後、私の目の前にいつものあのボタンが現れてくれた――。
●○●○●
「ねえ、レイラ。こんなに奥深くに進んじゃって大丈夫なの?」
「平気よマリア。前にアメリアと来た時はもっと、渓谷の方まで行った事があるもの」
……ッ!
私の意識が戻ると、太陽が木々の隙間を縫うように差し込んでいる。その位置はほぼ真上。
どうやら無事巻き戻せたみたいだと私はひと安心した。
この段階でかなり山の奥まで進んでしまっている。早く引き返すように促そう。
「レイラ、マリア。帰りましょう」
「え? どうしたのアリアさん?」
「早く戻らないと私たち魔獣に襲われるわ」
「魔獣って……アリアさん、何言ってるの? この辺の山で魔獣が出るなんて聞いた事もないわ。山賊なら出るみたいだけど」
どうして人食い山賊は平気で魔獣はダメなの?
この子たちは馬鹿なの?
そりゃ確かに昔は私もここに遊びに来てたりしてたけど、あくまで日が明るいうちだけだ。日没までには必ず家に帰っていた。
「どっちにしても、もう戻らないと下山する頃には日が暮れてしまうわ。本当に山賊とかに襲われたら大変でしょう?」
「アリアさん、怖いのよね。わかるわ。でも安心して。私たちがアリアさんを守るからっ!」
確かに守ってくれてたけど、あれじゃ駄目なのよぉ!
もう……どうすればわかってくれるの?
「……違うの、レイラ、マリア。私には昔から感知能力があってね。魔物の類いが近くにいるとその気配を感じられるの。だからお願い、私の言う事を信じて欲しいの」
「アリアさん……」
これで駄目なら強引に引っ張ってでも下山させるしかない。
「うん、わかった。アリアさんがそこまで言うんじゃ戻りましょう、マリア」
「ええ、そうねレイラ。アリアさんの目、真剣だものね」
よかった、わかってくれた!
私は安堵して彼女たちの手を引き、来た道を戻ろうと足早に歩き出す。
まだ完全な獣道に入る前の時刻だ。この道ならさすがにあの魔獣と遭遇する事もないだろう。
早く戻って、騎士様たちに北の山に魔獣が出た事をお伝えしないと。
そんな風に考えていた時。
「……う、嘘?」
私は急停止して、目を見開く。
「「あ……あ……」」
レイラとマリアも身体を震わせている。
何故なら私たちが下山した方向には、例のあの魔獣が立ち塞がっていたからである。
「ま、魔獣……!」
「アリアさんの言ってた事、ほ、ほ、本当だった……」
どうして!?
今度はさっきより何時間も早く下山し始めたし、まだ日は明るい。それなのに何故ここで魔獣に遭遇するの!?
「グルァァァオオオオッ!」
今度は私たちに考える余裕など与えてもくれず、熊型の魔獣は勢いよく私たちに向かって突進してきた。
「走りましょう!」
私がそう言うと彼女たちもこくこくと頷き、魔獣から背を向けて走り出す。
「追いつかれちゃうよお!」
「も、もう無理ぃ!」
けれど、魔獣の脚に所詮ただの人間、ましてや貴族令嬢たちが敵うわけがない。
「キャッ!」
「マリア!?」
マリアが足をもつれさせて転倒し、その上に覆い被さるように魔獣が両腕の爪を振りかざしていた。
マリア、レイラ、あなたたちだけは絶対に死なせないッ!
「「アリアさん!?」」
私は咄嗟にマリアの上に被さり、身を挺して守った。
その瞬間、一瞬だけ背中に熱を感じるのと同時に巻き戻しのボタンが現れてくれたのだった。
あなたにおすすめの小説
『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた
歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。
亡き姉の身代わりとして嫁いだ私ですが、離縁状を置いた翌朝、夫が私の「真実」に気づいたようです』
まさき
恋愛
「サインはもう、いただきました。あとは私がこの屋敷を出るだけです」
五年間の結婚生活。侯爵令嬢エルゼが演じ続けたのは、亡き姉・ロザリーの「身代わり」という配役だった。
夫であるカイル公爵が愛していたのは、かつて雪の中で自分を救ってくれた初恋の少女・ロザリー。
生き写しの妹であるエルゼを娶りながらも、彼は一度も彼女を「エルゼ」と呼ぶことはなかった。
冷淡な視線、姉と比較される日々。
「君はどこまでいっても、ロザリーの代わりにはなれない」
その言葉を最後に、エルゼは静かに離縁状を置き、屋敷を去る決意をする。
しかし、彼女が消えた翌朝。
カイルは、エルゼが大切に遺していった古い小箱を見つける。
そこにあったのは、十五年前のあの日、彼が「命の恩人」に預けたはずの片方のカフスボタン。
そして、幼いエルゼが綴った、あまりにも切ない真実の日記だった。
――「あの日、雪の中で貴方を抱きしめていたのは、お姉様ではなく、私だったのです」
真実を知り、絶望の中でエルゼを追うカイル。
だが、すべてを捨てて「自分」を取り戻したエルゼは、もう二度と、彼の隣で微笑む仮面の妻には戻らない。
これは、名前を奪われた女が自由を掴み、愚かな夫が真実の愛を失うまでの、静かで鮮やかな再生の物語。
「今更、あなたの娘のふりなどできません」〜ずっと支えていた手を、そっと引っ込めただけです〜
まさき
恋愛
父が死んだ日から、私は屋敷の「異物」になった。
継母は新しい夫に夢中で、義姉たちは私を使用人のように扱い、継父は三年経っても私の名前を覚えない。
気づいていなかったのだ、あの人たちは。
私の「静寂の手」がずっと、この家を守り続けていたことを。
ある夜、私は静かに荷物をまとめた。
怒りもなく、涙もなく、別れの言葉すら残さずに。
三ヶ月後、屋敷に原因不明の病が広がり始める。
「リーナを探せ」
今更、ですか。
私はもう、別の場所で別の名前で——ちゃんと生きています。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
【完結済】王女に夢中な婚約者様、さようなら 〜自分を取り戻したあとの学園生活は幸せです! 〜
鳴宮野々花
恋愛
王立学園への入学をきっかけに、領地の屋敷から王都のタウンハウスへと引っ越した、ハートリー伯爵家の令嬢ロザリンド。婚約者ルパートとともに始まるはずの学園生活を楽しみにしていた。
けれど現実は、王女殿下のご機嫌を取るための、ルパートからの理不尽な命令の連続。
「かつらと黒縁眼鏡の着用必須」「王女殿下より目立つな」「見目の良い男性、高位貴族の子息らと会話をするな」……。
ルパートから渡された「禁止事項一覧表」に縛られ、ロザリンドは期待とは真逆の、暗黒の学園生活を送ることに。
そんな日々の中での唯一の救いとなったのは、友人となってくれた冷静で聡明な公爵令嬢、ノエリスの存在だった。
学期末、ロザリンドはついにルパートの怒りを買い、婚約破棄を言い渡される。
けれど、深く傷つきながら長期休暇を迎えたロザリンドのもとに届いたのは、兄の友人であり王国騎士団に属する公爵令息クライヴからの婚約の申し出だった。
暗黒の一学期が嘘のように、幸せな長期休暇を過ごしたロザリンド。けれど新学期を迎えると、エメライン王女が接触してきて……。
※10万文字超えそうなので長編に変更します。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
静かなる才女は、すべてを見通す
しばゎんゎん
ファンタジー
突然婚約破棄を言い渡される伯爵家の長女エリシア。
理由は、義妹ミレーユを虐げていたという偽りのものだった。
エリシアの社交界における評価は「地味な令嬢」。
だが実際には、婚約者である侯爵家の長男レオナルトを陰で支え続けていた才女だった。
やがて明らかになる「本当に優れていたのは誰か」という事実。
エリシアを失い崩れてゆく、レオナルト。
無知さと我儘で評判を落とす、ミレーユ。
一方で彼女は、第二王子に見出される。
これは、愚かな選択をした者たちがすべてを失い、静かなる才女が正当に評価される物語。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。