リセット令嬢の巻き戻し 〜不当な婚約破棄を覆す為に、時間を巻き戻す魔法で、私は何度でもやり直します〜

ごどめ

文字の大きさ
20 / 33
後章 断罪、真相解明編

20 勝利の余韻×衝撃のラスト

 エルヴィン殿下の言葉を王宮大ホール内にいる人々全員が固唾を飲んで見守っていた。悪女と罵った相手の冤罪が暴かれたその言い訳を皆、待っているのだ。
 国王陛下や宰相カイロス様もジッとエルヴィン殿下を見据えている。

「……更に付け加えましょう」

 痺れを切らして言葉を続けたのはビアンカだった。

「此度、エルヴィン殿下はイリーシャ様との婚約も発表されましたね。それについて、この録音記録も併せてお聞きください」

 そう告げて、彼女は更なる記録を再生する。

『ザ……ザザ……上手くいきましたわね』
『ああ。全てはキミの言う通りだったよ、イリーシャ』

 その音声を聞くと、エルヴィン殿下は更に目を見開いて表情を驚愕させた。

『アメリアの浮気を理由に彼女との婚約を破棄し、イリーシャを新たな婚約者として発表する為の準備がこれで整った』
『はい。やっとこれで私も愛する殿下と結ばれますわ』
『私も嬉しいよ。アメリアみたいな能無しの悪女なんかよりも、キミのように才能溢れる美しき淑女とやっと結ばれるのだから』
『うふふ、ありがとうございますわ。それにしてもお姉様も不憫なお方。殿下の真実の愛はとっくの昔から私の方にあったというのに』
『その通りだ。アメリアとの、もう私はキミの虜だったからね』
『何も知らずに毎日お勉強を頑張られているお姉様の健気さだけは評価しますけれど』
『ふん。センスも才能もない癖に無駄な努力だけは一丁前。そんな必死さを見せつけながらも、あんな堂々と浮気をするような悪女、こちらからお断りだ』
『ご安心ください殿下。あなたの愛は私が全て受け止めて差し上げますからね』
『ああ……可愛い可愛い私のイリーシャ……』

 そこでビアンカの録音魔法レコーダーは一旦解除された。
 これこそが反対に殿下とイリーシャが浮気をしていた証拠である。

「これは数日前、殿下がリセット家にやってきた時の記録です。さすがの殿下もまさかこの会話を忘れているとは仰いませんよね?」
「うく……ぐ……」

 ビアンカの言葉にエルヴィン殿下は何も言い返せずにいる。

「更に言わせてもらえばイリーシャ様はアメリア様を亡き者にしようと画策もされておりました。この紅茶です。これはイリーシャ様からアメリア様にと送られた毒入りの茶葉でございます」

 と、最後にビアンカがその証拠を見せつける。
 これで私たちが出せるカードは全て提示した。もはや十分すぎるだろう。
 唯一引っ掛かる点があるとすれば殿下の言葉だ。
 殿下とイリーシャの会話の記録から見てもわかるが、殿下は
 という事は、浮気のあの映像はでっちあげではないという事になる。
 私はてっきり殿下たちが浮気現場をなんらかの細工をして作り上げたものだと思っていたのだが、それだけがいまだにわからない。
 とはいえ、ここまでエルヴィン殿下の不貞が晒されれば、もはや彼に勝ち目は無いでしょうね。

「さあ、殿下、イリーシャ、お答えください。私の浮気は嘘である事、逆に浮気をしていたのはあなたたちである事。そしてイリーシャ、あなたは私を殺そうとした事を!」

 私が鼻息荒く殿下を指差し、そこまで言ったところで違和感に気づく。

「……あら?」

 イリーシャがいない。

「殿下、イリーシャはどこです?」
「し、知らぬ!」

 そういえば結構前から姿を見ていない。
 イリーシャの行方は気になるけれど、今はまず殿下だ。

「……ひとまず殿下の嘘や浮気、認めてくださいますよね?」
「そ、そんなもの、いくらでも偽造できるかもしれん! 私は信じぬぞ!」

 この後に及んでなんという浅ましさだろうか。録音魔法レコーダーは殿下の記憶具現化魔法リアライゼーションと法的にも同等の信憑性がある事を十分ご存じの癖して。
 と、そんな風に私たちが呆れていると、

「そ、それに私はもう疲れた! 今日のところは部屋に帰らせてもらう!」
「え!? ちょ、ちょっとお待ちください殿下!」

 エルヴィン殿下は私の質問に一切答える事なく、踵を返して大ホールから逃げるように出て行ってしまった。

「おい、待たぬかエルヴィン! 私も聞きたい事が山ほどあるぞ!」

 国王陛下も彼を追いかける。

「私たちも追いかけよう。今、彼を逃しては駄目だ!」

 クロノス様がそう言うと、

「いや、待てクロノス。お前たちは彼の不貞行為に関する内容の証拠をすでに十分押さえた。どのみちエルヴィン殿下の断罪は免れないであろう。あとは私たちに任せなさい」

 お父上であられる宰相、カイロス様が諭すように私たちに言った。

「なぁに、あとは我々大人が対処する問題だ。キミたちの事は悪いようにはしないから安心しておきなさい」

 私とクロノス様はコクンと頷き、今後の全てをカイロス様に委ねる事に決めた。
 


        ●○●○●



 ――王宮の最上階のバルコニーにて。

 パーティは中断され、今日はあのエルヴィン殿下の断罪を最後にお開きとなった。
 私たちは勝利の余韻を王宮のバルコニーで夜風に当たりながら噛み締めていた。
 国王陛下とカイロス様の計らいによって、私たちの殿下への不敬罪は当然無しとなり、更にはエルヴィン殿下との事が落ち着くまで王宮で過ごしても良いとめいが出た。
 私とクロノス様、それにビアンカもこのままうやむやになってしまうのは納得がいかなかったので、陛下たちのご配慮をありがたく頂戴し、今晩は王宮の空室を借りて休む事にしたのである。
 私の父と母は私には一瞥もくれずにそそくさと王宮から出て行った。もうあの人らにとって私は他人なのだろう。でもそれで良い。私ももはや彼らの事など親だとは思っていない。

「少しは落ち着いたか、アメリア」
「ええ。まだ完全に全てが解決したわけではないけれど……」
「そうだな。殿下の真意も気になるし、イリーシャもどこへ雲隠れしてしまったのか」

 あの後、エルヴィン殿下は自室に鍵を掛け引き篭もってしまい、イリーシャは王宮から姿を消してしまっていた。
 国王陛下はイリーシャ捜索の指示を騎士団にくだし、エルヴィン殿下については少し時間を置いてからまた確認する事となったのである。

「殿下はいったいどこで私の浮気現場を見たんでしょう。彼の言い方だと私が浮気をしていたのはまるで事実だと言わんばかりでしたわ」
「うむ、確かに。あの映像は作り物ではないのかもしれない。が、しかしそれでもやはりアメリアが浮気なんてするはずがない。それはこの私が一番よく知っている」
「ありがとう……ございますわ……」

 私はそう返しながらも、残る不安感が拭えずにいた。
 そんな私の気を紛らわそうと彼は次々と話題を変え、これまで話した事のないクロノス様の魔法や夢についてのお話をしてくれた。

「私は父と同じく、この国の宰相になりたいんだ」

 彼のお父様は彼が世界で最も尊敬すべき人で、彼もお父様のようになりたいのだとか。
 しかし彼には宰相向きの魔法を習得できなかった事を悔やんでいる事も語ってくれた。

「私にもビアンカさんのような魔法や、その他執務にとって役立つ魔法が扱えればよかったんだけどね。残念ながら私が習得した魔法は『分析アナライズ』という、なんとも執務的には微妙な魔法を覚えてしまった」

 分析アナライズはその名前の通り、対象について調べる事ができる身体強化サポーター系に属する魔法だ。これを対象に掛けると、その対象が今どういう状態なのかを知る事ができる。
 しかしこれは生物にしか掛ける事ができず、しかも得れる情報はごく当たり前の事しかわからない。
 例えば、クロノス様が私に分析アナライズを掛けた場合、私の性別、年齢、健康状態、精神状態、魔力状態などを知る事ができるが、それぐらいの情報しか得る事はできない。
 諜報活動や未知の魔物討伐、戦争時における斥候などなら非常に役に立つ魔法だが、執務的な職を目指す者にとっては職の面接官か保健医として健診をするぐらいでしか使い道はない。
 おそらく最もこの魔法が役立つ職種はそれこそ医師だろう。
 この世には『魔法医』という職種がある。外科医と内科医よりも遥かに難度の高い職種ゆえ、就く事は非常に難しい。が、クロノス様ほどの頭脳があれば、そっちを目指すべきだと私は思った。

「私にもビアンカさんと同じ録音魔法レコーダーが使えたら、と何度も思った事か。しかし魔法は覚えられる系統が決まっている。分析アナライズ身体強化サポーター系魔法に属しているから、おそらく私は今後も身体強化サポーター系に関する魔法しか覚えられないだろう」
「それでもクロノス様なら、どんなお仕事でも全てそつなくお上手にこなしてしまうと思いますわ!」

 多少のドジは繰り返すでしょうけれどね。と、内心でくすくすと笑った。

「ふふ、ありがとうアメリア。ところで少し喉が渇いただろう? ジュースでも取ってこよう」

 クロノス様が気を使ってそう言ってくれた。
 本当に彼には救われている。

 そうだ。ひとまず私への悪評はこれでほとんど解消されたはずだ。
 これからはクロノス様との将来を考えよう。
 私は勝った。自分の運命を大きく変え、ついにこの未来に辿り着いたのだ。
 そう、勝利の余韻を噛み締める。

 そんな風に私が気持ちを切り替えようとした時。
 カチャン、と物音がして背後に気配を感じる。

「あら? 随分早かったんですのねクロノス様」

 クロノス様が戻られたのだと思い振り返ろうとした瞬間。

「――え?」

 ドンッと、勢いよく背を押され、気づけば私は屋上のバルコニーから落とされていた。

 いったい誰!?

 私は落下しながら私を突き落とした犯人を見上げる。
 闇夜の中、一瞬だけ差した月の光がその顔を半分だけ照らした。

 そして私は最後に信じられないものを見た。
 
「う……そ……」

 その犯人は私を支え続けてくれた銀髪の彼。
 そう、クロノス様だったのである。

 嘘だ嘘だ嘘だ。
 彼が私を手に掛けるなんてそんな事……。
 遠ざかる彼の口元は薄らと笑みを浮かべている。

 そんな……彼がまさか……。
 いや、でもそんな事ありえない。だって彼は……。
 それとも本当に……?

 様々な思惑が頭の中を巡るが、もう思考の海に身を委ねている時間はない。
 地面に激突するまであと僅か。
 そしてそのタイミングで現れた私のとっておき。



 巻き戻しのボタンを間髪入れずに押したのだった。




感想 3

あなたにおすすめの小説

『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた

歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。

亡き姉の身代わりとして嫁いだ私ですが、離縁状を置いた翌朝、夫が私の「真実」に気づいたようです』

まさき
恋愛
「サインはもう、いただきました。あとは私がこの屋敷を出るだけです」 ​五年間の結婚生活。侯爵令嬢エルゼが演じ続けたのは、亡き姉・ロザリーの「身代わり」という配役だった。 夫であるカイル公爵が愛していたのは、かつて雪の中で自分を救ってくれた初恋の少女・ロザリー。 生き写しの妹であるエルゼを娶りながらも、彼は一度も彼女を「エルゼ」と呼ぶことはなかった。 ​冷淡な視線、姉と比較される日々。 「君はどこまでいっても、ロザリーの代わりにはなれない」 その言葉を最後に、エルゼは静かに離縁状を置き、屋敷を去る決意をする。 ​しかし、彼女が消えた翌朝。 カイルは、エルゼが大切に遺していった古い小箱を見つける。 そこにあったのは、十五年前のあの日、彼が「命の恩人」に預けたはずの片方のカフスボタン。 そして、幼いエルゼが綴った、あまりにも切ない真実の日記だった。 ​――「あの日、雪の中で貴方を抱きしめていたのは、お姉様ではなく、私だったのです」 ​真実を知り、絶望の中でエルゼを追うカイル。 だが、すべてを捨てて「自分」を取り戻したエルゼは、もう二度と、彼の隣で微笑む仮面の妻には戻らない。 ​これは、名前を奪われた女が自由を掴み、愚かな夫が真実の愛を失うまでの、静かで鮮やかな再生の物語。

「今更、あなたの娘のふりなどできません」〜ずっと支えていた手を、そっと引っ込めただけです〜

まさき
恋愛
父が死んだ日から、私は屋敷の「異物」になった。 継母は新しい夫に夢中で、義姉たちは私を使用人のように扱い、継父は三年経っても私の名前を覚えない。 気づいていなかったのだ、あの人たちは。 私の「静寂の手」がずっと、この家を守り続けていたことを。 ある夜、私は静かに荷物をまとめた。 怒りもなく、涙もなく、別れの言葉すら残さずに。 三ヶ月後、屋敷に原因不明の病が広がり始める。 「リーナを探せ」 今更、ですか。 私はもう、別の場所で別の名前で——ちゃんと生きています。

『愛人を連れて帰ってきた翌朝、名前すら呼ばれなかった私は離縁状を置いて旅に出ます。これからは幸せになります――そう思っていました。』

まさき
恋愛
夫に名前すら呼ばれず、冷たく扱われ続けた私は、ある朝、ついに限界を迎えた。 決定打は、夫が見知らぬ女性を連れて帰ってきたことだった。 ――もういい。こんな場所に、私の居場所はない。 離縁状を残し、屋敷を飛び出す。 これからは自由に、幸せに生きるのだと信じて。 旅先で出会う優しい人々。 初めて名前を呼ばれ、笑い、温かい食事を囲む日々。 私は少しずつ、“普通の幸せ”を知っていく。 けれど、そのたびに――背中の痣は、静かに増えていた。 やがて知る、自らの家系にかけられた呪い。 それは「幸せを感じるほど、命を削る」という残酷なものだった。 一方その頃、私を追って旅に出た夫は、焦燥の中で彼女を探し続けていた。 あの冷たさも、あの女性も、すべては――。 けれど、すべてを知ったときには、もう遅くて。 これは、愛されていなかったと信じた私が、 最後にようやく“本当の愛”に気づくまでの物語。

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

【完結済】王女に夢中な婚約者様、さようなら 〜自分を取り戻したあとの学園生活は幸せです! 〜

鳴宮野々花
恋愛
王立学園への入学をきっかけに、領地の屋敷から王都のタウンハウスへと引っ越した、ハートリー伯爵家の令嬢ロザリンド。婚約者ルパートとともに始まるはずの学園生活を楽しみにしていた。 けれど現実は、王女殿下のご機嫌を取るための、ルパートからの理不尽な命令の連続。 「かつらと黒縁眼鏡の着用必須」「王女殿下より目立つな」「見目の良い男性、高位貴族の子息らと会話をするな」……。 ルパートから渡された「禁止事項一覧表」に縛られ、ロザリンドは期待とは真逆の、暗黒の学園生活を送ることに。 そんな日々の中での唯一の救いとなったのは、友人となってくれた冷静で聡明な公爵令嬢、ノエリスの存在だった。 学期末、ロザリンドはついにルパートの怒りを買い、婚約破棄を言い渡される。 けれど、深く傷つきながら長期休暇を迎えたロザリンドのもとに届いたのは、兄の友人であり王国騎士団に属する公爵令息クライヴからの婚約の申し出だった。 暗黒の一学期が嘘のように、幸せな長期休暇を過ごしたロザリンド。けれど新学期を迎えると、エメライン王女が接触してきて……。 ※10万文字超えそうなので長編に変更します。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

静かなる才女は、すべてを見通す

しばゎんゎん
ファンタジー
突然婚約破棄を言い渡される伯爵家の長女エリシア。 理由は、義妹ミレーユを虐げていたという偽りのものだった。 エリシアの社交界における評価は「地味な令嬢」。 だが実際には、婚約者である侯爵家の長男レオナルトを陰で支え続けていた才女だった。 やがて明らかになる「本当に優れていたのは誰か」という事実。 エリシアを失い崩れてゆく、レオナルト。 無知さと我儘で評判を落とす、ミレーユ。 一方で彼女は、第二王子に見出される。 これは、愚かな選択をした者たちがすべてを失い、静かなる才女が正当に評価される物語。