22 / 33
後章 断罪、真相解明編
22 私を死に追いやるモノ
「では希望通りやってやろう。……ふむ、その辺りが良いか。私の記憶具現化魔法、とくと見よッ」
……戻って、これた。
場面は同じ、三度目のエルヴィン殿下の断罪シーンの冒頭だ。
けれど違うのは今の私の心臓の動機。あんな衝撃的なところを目の当たりにしてしまったのだ。当然と言えば当然だ。
「はっ……はっ……」
荒くなっている呼吸を整える。落ち着け、落ち着け私。大丈夫だ。
ゆっくり息を吸って吐け。もう大丈夫だ。
……少し、落ち着いてきた。
前回のあの場面、私を殺した犯人はクロノス様ではなかった。
前回、バルコニーでクロノス様の胸を突き刺し、私の事も手に掛けようとしていた犯人。それは……。
「グランローズ!? なんだそれは!?」
クロノス様とのやりとりが進行し、エルヴィン殿下の断罪シーンでグランローズの花束について無知なエルヴィン殿下の言葉。
「おいおい、マジか。殿下はそんな常識も知らんのか」
「あの馬鹿殿下が近年、女や賭け事ばかりに遊び呆けているっていうのは本当なんだな。数年前までは神童と持て囃されていたというのに」
「それ以前にこの断罪、見ていてスカっとするな。俺はアメリアさんの事、前々から不憫だなと思っていたし」
「そうそう、それな。俺もあんな馬鹿殿下にはもったいない淑女だと思ってたよ」
そしてそれを聞いた彼らの反応、
そう、彼らだ。
私とクロノス様を殺す犯人は彼ら。
エルヴィン殿下の無知さをヒソヒソ声で嘲笑うように話す彼ら。
彼らはこの王国の剣。そう、つまり王国騎士団である。
私があのバルコニーで見た最後のシーン。あそこでクロノス様の背後に立っていたのはこの王宮に大勢といる王国騎士団のひとりの騎士だったのだ。
この国の騎士は基本的に警備に当たっている時はフルフェイスの鉄仮面で頭を覆っている。なので、その中身を知る事はできなかった。
でも、おそらくきっとあの騎士の中身が私を殺す犯人なのだ。
私はそう考え周囲を見渡す。
そういえばこのシーンもすでに三度目。今更気づいたけれど、やっぱりすでにこの段階からイリーシャの姿は会場内のどこにもない。
イリーシャはエルヴィン殿下が不利になる事を理解して、すぐに行方をくらましていたのね。
本当ならイリーシャの行方を捜す事もしたいけれど、今はまずあの犯人が誰なのかを完全に突き止めなくてはならない。
しかしそうなると、一度目の時、クロノス様が私を殺そうとバルコニーから突き落としたのはいったいどういう事なのだろう。二度目の時はそのクロノス様も殺されてしまいそうだった。
何者かの指示を受けて、クロノス様かもしくは騎士の誰かが私を殺害しようと企んでいる?
いったいどういう指示を出せば必ずそう仕向けられるのかは理解できないが、そう考えると犯人はこの中にいる誰にも可能性がある、という事になる。
そうだ。だからきっと、このまま何もせずあの場面に行きつけばきっと多少展開は違かろうと、結局は私は何者かに殺害されてしまうのだ。
わからない。わからない。
私ひとりじゃこれ以上わからないわッ!
いったい、何をどうすればいいの?
誰が、これから私を殺す犯人なの!?
「此度、エルヴィン殿下はイリーシャ様との婚約も発表されましたね。それについて、この録音記録も併せてお聞きください」
エルヴィン殿下の断罪シーンの後半。ビアンカによる録音魔法の再生の続きだ。この後、エルヴィン殿下とイリーシャの浮気の決定的証拠の録音内容のシーンである。
変わらない。ここまでは何も。
殿下とイリーシャの会話が流され、騒然とする。
断罪は進み、そして。
「更に言わせてもらえば、イリーシャ様はアメリア様を亡き者にしようと画策もされておりました。この紅茶です」
ビアンカが毒入り紅茶を提示するシーン。
そうだ。
私を直接殺害しようと試みているのは、これまででイリーシャしかいない。
そうだ。
私は彼女の狂気をすでに知っていた。
そうだ。そうだ。そうだ!
何を考える事があったのか。何故犯人捜しなどする必要があったのか。犯人など、最初から一人しかいないし、そんな事は決まりきっている。
そう、イリーシャしかいない!
今、姿を消しているイリーシャがなんらかの方法で私を亡き者にしようと画策しているのだ。
その為にこうやって早くから姿を消していたんだ。
そう考えついた時、全てに納得する。
果たしていったいイリーシャがどうやってクロノス様や王国騎士を唆したのかまではわからないが、彼女が全ての真相だとするならこれほどわかりやすい答えはない。
ああ、そうか。だから……。
だから、もう……。
「ア、アメリアお嬢様!? どこへ行かれるのですか!?」
私は駆け出した。ビアンカの静止も聞かずに。
まだエルヴィン殿下の断罪は終わりきっていないが、すでにもう手遅れなのだ。
この段階では。
だから、私の巻き戻しは必ずあのエルヴィン殿下の断罪シーンの開幕にまで、巻き戻してくれていたのだ。
あの段階で私がやらなくてはならない事。
それはイリーシャを探し出す事なのだとようやく理解した。
つまりすでに彼女が行方をくらましてしまった現段階では圧倒的に手遅れなのだ。
私は走る。
王宮の最上階、バルコニーへ。
手遅れなら巻き戻す。
何度だってやり直してやる。
私にはそれしか……ううん、私にはそんな奇跡が起こせるのだから!
そしてこの身を投げる。バルコニーの縁から。
「……イリーシャ。必ずあなたを見つけてみせる」
次の巻き戻しに賭けて――。
●○●○●
「では希望通りやってやろう。……ふむ、その辺りが良いか。私の記憶具現化魔法、とくと見よッ」
四度目。
私は自ら命を投げ捨て、巻き戻しボタンを押し、帰ってきた。
殿下の断罪シーンの冒頭へ。
この段階なら私はまだ仮面を付けている。素性を明かしていない。
今しかないんだ。イリーシャを探すには。
イリーシャはどこ!?
イリーシャは殿下が記憶具現化魔法を使った後からその姿を見せていない。
彼女は何故この時、姿を消していたのだろうか。まさかすでにこの段階で私たちに殿下の嘘が暴かれる事を予見していた、とか?
と、思った時。
「い、いた……イリーシャ。あんな所でいったい何を……?」
イリーシャは王宮大ホールの隅、薄暗い廊下が続く人気のない物陰に隠れ、両手を前に出して何かをやっていた。
イリーシャの両手の先が薄らと青白い光を放っている。アレは……魔法!?
彼女はいったい何の魔法を!?
「殿下、失礼ながらこの部分を少しだけ大きく移すように調整できますか?」
今はクロノス様がエルヴィン殿下に記憶具現化魔法の拡大化を依頼しているところだ。
その時、私は遠目でイリーシャを見てハッとさせられた。
「……馬鹿にするな。可能だ」
殿下がそう言った直後。
イリーシャは両手をもぞもぞと動かして何かをした。
まさか、と私は直感しエルヴィン殿下とイリーシャを交互に見る。
そしてイリーシャの両手の先にあるものにようやく気づく。
「そう……だったの? そういう事、だったの!?」
あの魔法。
殿下の記憶具現化魔法は、殿下のではなくイリーシャが使っている魔法なのだ、と。
今ならイリーシャはまだこちらに気づいていない。
それなら……。
私はイリーシャに気づかれないように、少しずつ彼女との距離を詰めていく。
そして――。
「ッ!?」
ガシっとイリーシャの腕を掴んだ。
「なっ、なんですのあなたは!?」
彼女は慌てて魔法を解除したが、もう遅い。
「今の……これまでの殿下の記憶具現化魔法は、イリーシャ、全てあなたの記憶だったのねッ!?」
私は声を大にして、イリーシャへと問いただすのだった。
……戻って、これた。
場面は同じ、三度目のエルヴィン殿下の断罪シーンの冒頭だ。
けれど違うのは今の私の心臓の動機。あんな衝撃的なところを目の当たりにしてしまったのだ。当然と言えば当然だ。
「はっ……はっ……」
荒くなっている呼吸を整える。落ち着け、落ち着け私。大丈夫だ。
ゆっくり息を吸って吐け。もう大丈夫だ。
……少し、落ち着いてきた。
前回のあの場面、私を殺した犯人はクロノス様ではなかった。
前回、バルコニーでクロノス様の胸を突き刺し、私の事も手に掛けようとしていた犯人。それは……。
「グランローズ!? なんだそれは!?」
クロノス様とのやりとりが進行し、エルヴィン殿下の断罪シーンでグランローズの花束について無知なエルヴィン殿下の言葉。
「おいおい、マジか。殿下はそんな常識も知らんのか」
「あの馬鹿殿下が近年、女や賭け事ばかりに遊び呆けているっていうのは本当なんだな。数年前までは神童と持て囃されていたというのに」
「それ以前にこの断罪、見ていてスカっとするな。俺はアメリアさんの事、前々から不憫だなと思っていたし」
「そうそう、それな。俺もあんな馬鹿殿下にはもったいない淑女だと思ってたよ」
そしてそれを聞いた彼らの反応、
そう、彼らだ。
私とクロノス様を殺す犯人は彼ら。
エルヴィン殿下の無知さをヒソヒソ声で嘲笑うように話す彼ら。
彼らはこの王国の剣。そう、つまり王国騎士団である。
私があのバルコニーで見た最後のシーン。あそこでクロノス様の背後に立っていたのはこの王宮に大勢といる王国騎士団のひとりの騎士だったのだ。
この国の騎士は基本的に警備に当たっている時はフルフェイスの鉄仮面で頭を覆っている。なので、その中身を知る事はできなかった。
でも、おそらくきっとあの騎士の中身が私を殺す犯人なのだ。
私はそう考え周囲を見渡す。
そういえばこのシーンもすでに三度目。今更気づいたけれど、やっぱりすでにこの段階からイリーシャの姿は会場内のどこにもない。
イリーシャはエルヴィン殿下が不利になる事を理解して、すぐに行方をくらましていたのね。
本当ならイリーシャの行方を捜す事もしたいけれど、今はまずあの犯人が誰なのかを完全に突き止めなくてはならない。
しかしそうなると、一度目の時、クロノス様が私を殺そうとバルコニーから突き落としたのはいったいどういう事なのだろう。二度目の時はそのクロノス様も殺されてしまいそうだった。
何者かの指示を受けて、クロノス様かもしくは騎士の誰かが私を殺害しようと企んでいる?
いったいどういう指示を出せば必ずそう仕向けられるのかは理解できないが、そう考えると犯人はこの中にいる誰にも可能性がある、という事になる。
そうだ。だからきっと、このまま何もせずあの場面に行きつけばきっと多少展開は違かろうと、結局は私は何者かに殺害されてしまうのだ。
わからない。わからない。
私ひとりじゃこれ以上わからないわッ!
いったい、何をどうすればいいの?
誰が、これから私を殺す犯人なの!?
「此度、エルヴィン殿下はイリーシャ様との婚約も発表されましたね。それについて、この録音記録も併せてお聞きください」
エルヴィン殿下の断罪シーンの後半。ビアンカによる録音魔法の再生の続きだ。この後、エルヴィン殿下とイリーシャの浮気の決定的証拠の録音内容のシーンである。
変わらない。ここまでは何も。
殿下とイリーシャの会話が流され、騒然とする。
断罪は進み、そして。
「更に言わせてもらえば、イリーシャ様はアメリア様を亡き者にしようと画策もされておりました。この紅茶です」
ビアンカが毒入り紅茶を提示するシーン。
そうだ。
私を直接殺害しようと試みているのは、これまででイリーシャしかいない。
そうだ。
私は彼女の狂気をすでに知っていた。
そうだ。そうだ。そうだ!
何を考える事があったのか。何故犯人捜しなどする必要があったのか。犯人など、最初から一人しかいないし、そんな事は決まりきっている。
そう、イリーシャしかいない!
今、姿を消しているイリーシャがなんらかの方法で私を亡き者にしようと画策しているのだ。
その為にこうやって早くから姿を消していたんだ。
そう考えついた時、全てに納得する。
果たしていったいイリーシャがどうやってクロノス様や王国騎士を唆したのかまではわからないが、彼女が全ての真相だとするならこれほどわかりやすい答えはない。
ああ、そうか。だから……。
だから、もう……。
「ア、アメリアお嬢様!? どこへ行かれるのですか!?」
私は駆け出した。ビアンカの静止も聞かずに。
まだエルヴィン殿下の断罪は終わりきっていないが、すでにもう手遅れなのだ。
この段階では。
だから、私の巻き戻しは必ずあのエルヴィン殿下の断罪シーンの開幕にまで、巻き戻してくれていたのだ。
あの段階で私がやらなくてはならない事。
それはイリーシャを探し出す事なのだとようやく理解した。
つまりすでに彼女が行方をくらましてしまった現段階では圧倒的に手遅れなのだ。
私は走る。
王宮の最上階、バルコニーへ。
手遅れなら巻き戻す。
何度だってやり直してやる。
私にはそれしか……ううん、私にはそんな奇跡が起こせるのだから!
そしてこの身を投げる。バルコニーの縁から。
「……イリーシャ。必ずあなたを見つけてみせる」
次の巻き戻しに賭けて――。
●○●○●
「では希望通りやってやろう。……ふむ、その辺りが良いか。私の記憶具現化魔法、とくと見よッ」
四度目。
私は自ら命を投げ捨て、巻き戻しボタンを押し、帰ってきた。
殿下の断罪シーンの冒頭へ。
この段階なら私はまだ仮面を付けている。素性を明かしていない。
今しかないんだ。イリーシャを探すには。
イリーシャはどこ!?
イリーシャは殿下が記憶具現化魔法を使った後からその姿を見せていない。
彼女は何故この時、姿を消していたのだろうか。まさかすでにこの段階で私たちに殿下の嘘が暴かれる事を予見していた、とか?
と、思った時。
「い、いた……イリーシャ。あんな所でいったい何を……?」
イリーシャは王宮大ホールの隅、薄暗い廊下が続く人気のない物陰に隠れ、両手を前に出して何かをやっていた。
イリーシャの両手の先が薄らと青白い光を放っている。アレは……魔法!?
彼女はいったい何の魔法を!?
「殿下、失礼ながらこの部分を少しだけ大きく移すように調整できますか?」
今はクロノス様がエルヴィン殿下に記憶具現化魔法の拡大化を依頼しているところだ。
その時、私は遠目でイリーシャを見てハッとさせられた。
「……馬鹿にするな。可能だ」
殿下がそう言った直後。
イリーシャは両手をもぞもぞと動かして何かをした。
まさか、と私は直感しエルヴィン殿下とイリーシャを交互に見る。
そしてイリーシャの両手の先にあるものにようやく気づく。
「そう……だったの? そういう事、だったの!?」
あの魔法。
殿下の記憶具現化魔法は、殿下のではなくイリーシャが使っている魔法なのだ、と。
今ならイリーシャはまだこちらに気づいていない。
それなら……。
私はイリーシャに気づかれないように、少しずつ彼女との距離を詰めていく。
そして――。
「ッ!?」
ガシっとイリーシャの腕を掴んだ。
「なっ、なんですのあなたは!?」
彼女は慌てて魔法を解除したが、もう遅い。
「今の……これまでの殿下の記憶具現化魔法は、イリーシャ、全てあなたの記憶だったのねッ!?」
私は声を大にして、イリーシャへと問いただすのだった。
あなたにおすすめの小説
『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた
歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。
亡き姉の身代わりとして嫁いだ私ですが、離縁状を置いた翌朝、夫が私の「真実」に気づいたようです』
まさき
恋愛
「サインはもう、いただきました。あとは私がこの屋敷を出るだけです」
五年間の結婚生活。侯爵令嬢エルゼが演じ続けたのは、亡き姉・ロザリーの「身代わり」という配役だった。
夫であるカイル公爵が愛していたのは、かつて雪の中で自分を救ってくれた初恋の少女・ロザリー。
生き写しの妹であるエルゼを娶りながらも、彼は一度も彼女を「エルゼ」と呼ぶことはなかった。
冷淡な視線、姉と比較される日々。
「君はどこまでいっても、ロザリーの代わりにはなれない」
その言葉を最後に、エルゼは静かに離縁状を置き、屋敷を去る決意をする。
しかし、彼女が消えた翌朝。
カイルは、エルゼが大切に遺していった古い小箱を見つける。
そこにあったのは、十五年前のあの日、彼が「命の恩人」に預けたはずの片方のカフスボタン。
そして、幼いエルゼが綴った、あまりにも切ない真実の日記だった。
――「あの日、雪の中で貴方を抱きしめていたのは、お姉様ではなく、私だったのです」
真実を知り、絶望の中でエルゼを追うカイル。
だが、すべてを捨てて「自分」を取り戻したエルゼは、もう二度と、彼の隣で微笑む仮面の妻には戻らない。
これは、名前を奪われた女が自由を掴み、愚かな夫が真実の愛を失うまでの、静かで鮮やかな再生の物語。
「今更、あなたの娘のふりなどできません」〜ずっと支えていた手を、そっと引っ込めただけです〜
まさき
恋愛
父が死んだ日から、私は屋敷の「異物」になった。
継母は新しい夫に夢中で、義姉たちは私を使用人のように扱い、継父は三年経っても私の名前を覚えない。
気づいていなかったのだ、あの人たちは。
私の「静寂の手」がずっと、この家を守り続けていたことを。
ある夜、私は静かに荷物をまとめた。
怒りもなく、涙もなく、別れの言葉すら残さずに。
三ヶ月後、屋敷に原因不明の病が広がり始める。
「リーナを探せ」
今更、ですか。
私はもう、別の場所で別の名前で——ちゃんと生きています。
『愛人を連れて帰ってきた翌朝、名前すら呼ばれなかった私は離縁状を置いて旅に出ます。これからは幸せになります――そう思っていました。』
まさき
恋愛
夫に名前すら呼ばれず、冷たく扱われ続けた私は、ある朝、ついに限界を迎えた。
決定打は、夫が見知らぬ女性を連れて帰ってきたことだった。
――もういい。こんな場所に、私の居場所はない。
離縁状を残し、屋敷を飛び出す。
これからは自由に、幸せに生きるのだと信じて。
旅先で出会う優しい人々。
初めて名前を呼ばれ、笑い、温かい食事を囲む日々。
私は少しずつ、“普通の幸せ”を知っていく。
けれど、そのたびに――背中の痣は、静かに増えていた。
やがて知る、自らの家系にかけられた呪い。
それは「幸せを感じるほど、命を削る」という残酷なものだった。
一方その頃、私を追って旅に出た夫は、焦燥の中で彼女を探し続けていた。
あの冷たさも、あの女性も、すべては――。
けれど、すべてを知ったときには、もう遅くて。
これは、愛されていなかったと信じた私が、
最後にようやく“本当の愛”に気づくまでの物語。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
【完結済】王女に夢中な婚約者様、さようなら 〜自分を取り戻したあとの学園生活は幸せです! 〜
鳴宮野々花
恋愛
王立学園への入学をきっかけに、領地の屋敷から王都のタウンハウスへと引っ越した、ハートリー伯爵家の令嬢ロザリンド。婚約者ルパートとともに始まるはずの学園生活を楽しみにしていた。
けれど現実は、王女殿下のご機嫌を取るための、ルパートからの理不尽な命令の連続。
「かつらと黒縁眼鏡の着用必須」「王女殿下より目立つな」「見目の良い男性、高位貴族の子息らと会話をするな」……。
ルパートから渡された「禁止事項一覧表」に縛られ、ロザリンドは期待とは真逆の、暗黒の学園生活を送ることに。
そんな日々の中での唯一の救いとなったのは、友人となってくれた冷静で聡明な公爵令嬢、ノエリスの存在だった。
学期末、ロザリンドはついにルパートの怒りを買い、婚約破棄を言い渡される。
けれど、深く傷つきながら長期休暇を迎えたロザリンドのもとに届いたのは、兄の友人であり王国騎士団に属する公爵令息クライヴからの婚約の申し出だった。
暗黒の一学期が嘘のように、幸せな長期休暇を過ごしたロザリンド。けれど新学期を迎えると、エメライン王女が接触してきて……。
※10万文字超えそうなので長編に変更します。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
静かなる才女は、すべてを見通す
しばゎんゎん
ファンタジー
突然婚約破棄を言い渡される伯爵家の長女エリシア。
理由は、義妹ミレーユを虐げていたという偽りのものだった。
エリシアの社交界における評価は「地味な令嬢」。
だが実際には、婚約者である侯爵家の長男レオナルトを陰で支え続けていた才女だった。
やがて明らかになる「本当に優れていたのは誰か」という事実。
エリシアを失い崩れてゆく、レオナルト。
無知さと我儘で評判を落とす、ミレーユ。
一方で彼女は、第二王子に見出される。
これは、愚かな選択をした者たちがすべてを失い、静かなる才女が正当に評価される物語。