SF短編集

青太

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宇宙人の転校生

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ぼくが小学2年生のとき、宇宙人の転校生がやってきた。

彼ははじめ人間そっくりに擬態していて、ぼくも、クラスの誰も、彼が宇宙人だなんて全く気が付かなかった。

ところがある日、体育の授業終わりにうっかり擬態が解けてしまい、そのとき偶然体育倉庫にいたぼくと、本来の姿の彼とが鉢合わせてしまった。

そして彼は、自分が宇宙人であることをぼくにだけこっそり明かした。

その頃のぼくはオカルト系の本にハマっていたから、怖がるよりもむしろ興奮した。それ以来、ぼくらは仲良くなった。

そしてぼくらは中学3年生になった。
彼はいまだに地球にいて、ぼくらはいまだに友達だ。

「おまえさぁ、宇宙人とか怖くねえの?」

時々彼は不思議そうに聞くが、「別に」とぼくは毎回答える。

「長いこと一緒にいると、相手の正体とかどうでもよくなるんだよ」

「ふーん、そういうもん?」と、まだ不思議そうに首を捻る彼。

意外とそういうもんだ。それに、性格の悪い人間より、性格の良い宇宙人のほうが、ぼくはずっと好きだ。

「ヒロキ、いつ宇宙帰んの」と聞くと、「父さんのこっちでの仕事が終わったら。多分、オレの中学卒業に合わせてかなぁ」と、彼。

そういうところも普通の転校生みたいで、なんだか可笑しい。

(彼の住む星にも、手紙は届くだろうか。)

彼の正体よりも、ぼくはそのことばかりが気になっていた。



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