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戦闘行為

system_0052

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「ぐっ!  い、痛え……」


攻撃を防いだと思ったが、完全には防げなかったようで、左肩に平行に四本。


制服が破れ、皮膚が切り裂かれて血が流れていたのだ。


今の一撃でわかったことが二つある。


一つは、明らかに真治と真冬とではレベル差がありすぎる。しかもそこに美優までいるのだから勝てるはずがない。


そしてもう一つは、引き付けているというのに奈央も明美も逃げていないということだ。


この場から離れていてくれれば、真治もこんな戦闘からは逃げ出してしまうのにと思ったが、これではそうもいかない。


痛む左肩に顔を歪めつつも、両手で日本刀を握り締めて真冬に向けた。


「ああん。その顔たまらない。男の子はさ、戦いの中で男になって、漢になって行くのよ。それがこんな近くで見られるんだよ。ああ……その顔が恐怖に歪むと思うと興奮しちゃう」


呼吸を荒くし、顔を赤くし始める真冬。


だが、真治の目はそんな真冬の身体を見ていた。


(思考しろ!  絶対に勝てない相手から身を守るには、予測するしかない。観察しろ、勝てなくても、俺の方が弱くても!)


身体をくねらせて、火照っているような真冬が微かに、ほんの僅かだがつま先に重心を移動させて、膝から下に力が込められたように感じた瞬間。


真治は思い切り後方に飛び退いた。
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