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戦闘行為

system_0064

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少し歩いて、やって来たのは先程戦っていた道よりもさらに細く狭い路地を抜けた先。


そして、そこで怪我をしている東軍の人間と遭遇したのである。


出会い頭の遭遇戦。一瞬何がどうなっているのかわからない様子の怪我人は、真治と奈央の腕の色を見た瞬間、ショートソードを取り出して距離を取った。


「くそっ!  こんなところに!  死んでたまるかよ!」


反射的にトマホークを取り出した奈央だったが、血塗れのその姿を見て真治に視線を向けた。


「……真治くん。あなたが殺りなさい。この人は私達を殺して東軍に戻るつもりだから、殺らないと殺られるよ」


そう言って、真治に譲るように後退したのだ。


「な、何を言って……相手は怪我をしてるのに」


「怪我をしているから、自分は殺されてもいいの?」


日本刀を握り締めたままだった真治は、東軍の怪我人を見るが……傷は深く、いつ倒れてもおかしくないような状態。


「と、東軍に帰ったら治るんですよね。じゃあ早く戻った方が……」


そう言って道を譲ろうとしたが、男はショートソードを振り上げて容赦なく真治に襲い掛かって来たのだ。


「黙れ!  騙されるかよ!  死ねっ!  殺してやる!」


真冬と美優、そして黒井の戦いを間近で見ていた真治にとって、その男の攻撃はそれほど速いものではなかった。


むしろ、日本刀で容易に受け止められるほど無力で、遅い攻撃に感じたのだ。
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