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西の地で

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「同じ南軍だからって、殺されないと思っちゃダメなんですよね。だったら俺は、自分の命を守る為に戦う!」


そう言いながら今度は日本刀を軽く横に振り、レジ袋を持つ手を切断。


落下する前に受け止めて、一歩後退の後男達にその切っ先を向けた。


真治の行動に焦ったのは男達である。


「う、うおおおおっ!?  な、なんだこれ!  なんで腕が!  いつの間に!」


「お、おい、こいつ星5レア持ちだぜ!  なんでこんなやつをカモにしようとしたんだよ!」


「じょ、冗談じゃねぇ……何をしたのか見えなかったのに勝てるわけがねぇって」


さっきとは一転、口々に弱音を吐き始めてゆっくりと後退し始めた。


「あ、す、すみません。やりすぎました」


「お、お前、すみませんじゃねぇよ!  何も弁当ひとつで腕を斬り落とすことはねぇだろ!  ちょっとした冗談なのにふざけんなよ!  は、早く逃げろって!  こんな頭のおかしいやつに構ってられるかよ!」


そして、腕を切断された男がそう言いながら逃げ出し、それに続くように他の三人も一目散に逃げ出したのだ。


口々に真治の悪口を言い、去って行く男達を見て苦々しい表情を浮かべる。


「先に手を出したのはそっちなのに。それに……やらなきゃ殺るつもりだったんだろうし」


同じ南軍の人間なのに、皆仲間というわけではない。


今の男達のように弱者だと思ったら同じ軍でも、全力で略奪しようとするやつらもいるんだということを思い知らされた。
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