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西の地で

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アジトを出て、歩くこと15分。清洲橋を越えて西軍の光の壁に近付いて行くにつれ、不安と期待が入り交じったような妙な感情が大きくなる。


「西軍に侵攻するのは難しいと言われてるの。私達が防衛で路地で待ち構えてたでしょ?  南軍は大通りの他に何本も路地があるけど、西軍の入口は大通りと路地が交互に敷かれてると言えばわかるかな?」


「つまり、大通りを外して侵攻してくる人達を路地で待ち構えている可能性が高いってことですか?」


大通りが1本に対して何本も路地があれば、大通りから一番遠い路地は必然的に待ち構える敵も、そこを通る敵軍も少なくなるという理屈だが、交互にあるとなると話は変わってくる。


その時々によって違うだろうが、どこを通っても敵がいると侵攻する方は考えるだろう。


「開けてみるまでわからない……出たとこ勝負ってことね。当然西軍も同じだけど、向こうは自軍で待ち構えているわけだから、こちらは分が悪いわ」


総力戦開始まで10分。


PBMに表示されているカウントダウンを見ながら、真治も奈央も落ち着かない様子で光の壁の前をうろついていた。


視界に映るだけでも軽く300人は超えているだろう。


周囲の人達はそれを見て、侵攻初心者なのだと察していたようで、その中の一人の人物がそんな二人を見かねたのか声を掛けた。
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