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西の地で

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地面を滑るように後退した真治は、その背後で苦戦する奈央に気付く。


近・中距離武器のトマホークの奈央に対し、接近戦であるショートソードとククリ刀の男女が代わる代わる襲い掛かっていて防戦一方だ。


「奈央さんっ!  手伝います!」


振り返りながら下から掬い上げるように振るった刃が、ククリ刀を持った女性の腕を切断し、その直後トマホークが女性の頭部にめり込んだ。


「ありがと、真治くん。助かったわ」


一対複数の戦闘は、奈央のトマホークは不向きだと言わざるを得ないが、それでも一対一に持ち込めば同レベルの相手には負けない胆力がある。


女性が光の粒に変化すると同時に、すぐさまショートソードの男の首に滑り込ませて、一気に刈り取った。


それでもまだ攻撃の手は緩まない。


横に振った勢いそのままに、周囲を取り囲む人達に向けてトマホークを投げ付ける。


運良くよそ見をしていた男の心臓に突き刺さり、さらに一人倒したのだった。


「さすがですね、奈央さん」


「真治くんだって。さすがは星5レア。強くなるスピードが私達とは段違いね」


褒められて喜んでいいのかどうかは判断に困るところだ。強くなっているということは、それだけ多くの人を殺しているということなのだから。


嬉々として人を殺すわけにはいかない。命の重みを感じながら日本刀を振り、刃に付着した血を飛ばした。
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