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西の地で

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「追い掛けるのは良いんですけど、当然待ち構えられている可能性もありますよね? 逃げたと見せかけて、自分達が有利に戦える場所に誘導しているって」


「そりゃあもちろん。だがタカピー。今のやつらに勝てないと思ったかね?」


その問いは、自分を重ね合わせて考えてみると簡単に答えが出た。防衛とは自軍で行うから自動回復や通信が出来ると言ったメリットがあるから、初心者や弱い人が多く参加している。


もちろん中にはとんでもなく強いやつもいるが、集団で戦うということは強くはないということ。強ければ強いほど、共に行動する人数は減って行くだろうから。


「思いません。気を抜かなければ負ける気がしません」


「熱い答えじゃないか。じゃあ戦闘はタカピーに任せて、俺はおぐりんを守りながらついて行くとしよう。お先にどうぞ」


先を譲るように、うやうやしく頭を下げた内藤に、真治はどんな反応をすれば良いかがわからなかった。


十中八九罠があるとわかっているから先に行かせたのか、それともこの程度の敵ならば真治でも十分に対処出来ると考えたのか。


どちらにしても断る理由はない。強くなる為に来たのだから、待ち構えられているなら好都合ではないか。


「行きます。後ろは任せました」


日本刀を握り締め、辺りから怒号と罵声が聞こえる中、真治は路地へと歩を進めた。
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