東京バベルブレイカー～殺戮都市バベル～

西の地で

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地面を滑るような、低く素早い移動。この場にいる誰もが、真治の動きに目を丸くして一瞬見入ってしまっていた。


総力戦が始まり、既に五人倒している真治の動きはさらに洗練されて、無駄な動きが無くなりつつあったのだ。


侵攻のプロを自称する内藤でさえ、真治の成長速度に驚いている。


ポーンに接近し、目の前にある大木のような脚を目掛けて日本刀を横に振るう。


だが、その早く、鋭い一撃を放った真治は眉をひそめた。


完璧な入りだと思われたその攻撃が、ポーンの体毛を数本切断しただけで動きを止めてしまったのだ。


「嘘だろ!?　なんて硬さだよ！」


ダメージを与えるどころではない。体毛に攻撃を阻まれては倒すことなど出来るはずがないと、感覚的に理解してしまうほどの絶望だった。


そんな真治に、ポーンの目が向けられる。


まるで飛んでいるハエでも払うかのように、左腕を横に振って真治に裏拳気味に手を打ち付けた。


軽く、障害物を排除する程度の感覚だったのだろうが人間にはそれは驚異的な破壊力。


咄嗟に日本刀で防御行動を取ったが、その勢いに完全に負けて吹っ飛ばされ、地面をゴロゴロと転がる結果になってしまったのだ。


そして、その一撃で死ななかったのがポーンの気に触ったのだろうか。


顔をしかめ、血塗れの牙を剥いてその顔を真治に向けた。