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西の地で

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「クソガキが! 調子に乗ってんじゃねぇぞ! あのおっぱいを……羨ましいじゃねぇか!」


「星5レアだか知らねぇが、賞金額が少ないってことは雑魚だろ! この人数に勝てると思ってんのかよ!」


武器を取り出した真治に対し、口々に罵声を浴びせる人の群れ。


確かに、この街に来てまだ一日しか経っていないし、この街のことは何も知らない。


ポーンも一人では倒せないどころか、何人かで協力して追い払うのがやっとの状態だが、一つの想いが真治に覚悟を決めさせていた。


ここで殺られれば仲間に、奈央に危害が及ぶかもしれない。


だとすれば、自分はそれを守る為に戦うと。


「テメェ! さてはそのおっぱい目当てで近付いたな!? 上手くやったじゃねぇかよ! 俺と代われよ馬鹿野……郎?」


指差して、わけのわからない文句を言っていた男は、気付いた時には身体が上下に分断されていた。


光の粒に変化した時、同時にその周囲にいた五人ほどの人間も同じように死んだのだ。


光の中心に、日本刀を横に振り抜いた真治の姿があったのだが、雪子以外はこの場にいる誰もがその姿を捉えられていないようだった。


「ここで死ぬわけにはいかない! 俺から奪うつもりなら、何としてでも守ってみせる!」


光が四散し、周囲の人達が目を向けるより早くに真治は日本刀を握り締めて大きく踏み込んだ。
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