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厳しい優しさ

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「辛辣ぅぅぅ。でも間違っちゃいねぇよ貴史。雑魚はどれだけ頑張っても雑魚だから俺達の役に立ってもらわなきゃな。ヒャハハハッ!」


「こいつも童貞みたいな顔してて弱そうだよねぇ。すました顔しちゃってさ……って、あれ? 貴史、なんで右腕がないの?」


真治達を馬鹿にしている途中で、その違和感に気付いた仲間が貴史と呼ばれたリーダー格の男の腕を指差す。


「は? 腕がどうしたって? 腕ならここに……ね、ねぇ!?」


やっと気付いたのか、三笠の服を掴んでいた腕が落下した音で初めて切断されたことに気付いたようだ。


「な、なんだ!? 何がどうなって……あ、ああっ! まずい、まずいよ貴史くん! こいつ……星5レアだ! 勝てる相手じゃない! 逃げよう!」


グループの中の一人がそう言うと、全員の表情が一変した。


先程まで馬鹿にしていたのが、今は恐怖に顔を引き攣らせてこの場から逃げようとしている。


「じょ、冗談じゃねぇぞ! 星5レアなんて相手にしてられるかよ!」


そして、貴史も逃げようとしたが、真治はそれよりも素早く日本刀を振るった。


今度は左脚が切断されて、バランスを崩して地面に倒れ込んだ。


「ぎゃああああああああっ! お、俺の脚がああああああっ!」


「お前は……こんな姿の三笠を馬鹿にしたんだ! 必死に生きている人間を馬鹿にしたんだよ! 謝れよ! 謝りもせずに逃げる気なのかよ!」
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