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厳しい優しさ

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「少年Bだけに教えて、少年に教えないわけにもいかないか。良いだろう。私は、少年Bが貴史に勝利した後、一つの事を教えた」


俺の腕を掴んだままベンチから立ち上がり、左手で人差し指を立てた死神。


「自軍の人間との決闘は、敵軍の人間とは違い、賞金は減額になる。しかも、同じ人間とは三日に一度しか決闘出来ない。そんな制限はあるが、勝利時に獲得出来るソウルに変わりはない。自分と同じレアリティの人間に勝てばプラス1、一つランクが上の人間に勝てばさらにプラス1というようにな」


決闘のことは何も知らない真治は、聞く度に「へぇ」と小さく声を上げた。


いや、決闘だけではなく、人を殺して得られるソウルもそんな計算になっていたとは。


星5レアの真治からすれば、恩恵は全くないのだが。


「つまり、星2の三笠が、星3の貴史に勝ったって事は……ソウルを2つ手に入れたって事ですか?」


「その通りだ。だが、あの怪我を治そうにも、通常回復では切断された腕や脚は生えてこない。だから私は少年Bを殺した。死んでも星2であのレベルなら、即座に復活出来るからな」


想像以上に手荒な方法に、真治は顔を引き攣らせたが、考えてみれば合理的な方法と言える。


真治自身も、最初に恵梨香に殺されたが、あの場で通常回復をしていても別の誰かに殺されていたかもしれないから。


何が得か、的確に判断出来るのだろう。
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