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厳しい優しさ
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しおりを挟む少し歩いて、大通りよりも細い道に入る。片側一車線の道。
大通りほどの激戦ではないが、多くの人がここに入ったというのが、死体はないが、血痕がそこら中にあることから死闘があったと推測出来る。
「キングを探してるんだよな……というか、南軍のキングなんてどこにいるんだ?」
自分が知らないだけで、他の人は知っているのかと不安になる。
そもそも、キングが何なのか、いや、誰なのか。人か物かさえもわからないというのは守りようがなくて悩んでしまう。
だが、考えていても仕方がない。今は敵を見付けて、殺して強くなる。
強くなければこの街で生きることすら出来ないのだから。
その部分は恵梨香の言う通りだと感じざるを得なかった。
敵の大切な人や守りたい人、それが誰なのか、目の前の敵も誰かの大切な人なのかとか考え出したら戦う事なんて出来ない。
たとえこちらがそう考えていても、敵は真治に対してそんな風には思ってくれないのだから。
戦いの時には感情を捨てるべきなのか。
そうしなければ、殺されるのは真治なのだと、悩めば悩むほど深みにハマっていくようだった。
ビルの階上、路地、障害物の陰などを警戒しながら進む。
しかし、敵どころか味方の姿もない。
ここにはもう誰もいないのか、それとも隠れているだけかと、考えながら周囲を見回した時だった。
ドンッ! という、何かの物音が聞こえた。
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