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持つべき信念

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「ひいっ! ひいっ!」


情けない声を上げながら、必死に走って辿り着いた西軍の陣地。


恵梨香と吹雪が、真治を待っていたのか、それとも自分達を追い掛けてきたポーンを倒していただけなのか、道の真ん中で立っている。


「とんでもない数連れて来たもんだね少年」


「一割は追って来るかもしれないな。少年! そのまま走れ!」


ポーンの数に驚きながらも笑っている吹雪と、この数を見ながらも冷静な恵梨香。


そんな二人の間を通り抜けた真治はすぐに振り返り、地面を滑りながら追って来たポーン達に目を向けた。


真治はそのまま逃げるつもりだったが、二人が逃げようとしていないのに自分だけというわけにはいかない。


西軍に足を踏み入れて追うのを諦めたポーンがいる中で、後を追って来たポーンは三匹いる。


武器を構えた二人にポーンが襲い掛かる。


「ふふっ。力ずくで女の子を襲おうだなんてダメだよ? まあ、時にはそんな強引さも必要だけどね」


チャクラムをクルクルと指で回して、ポーンの動きに合わせて軽くステップを踏む吹雪。


それはさながら、ダンスでも踊っているかのようで、ポーンの攻撃が全く当たらない。


美女と野獣とでも言うべきか、吹雪にエスコートされたポーンは、踊れば踊るほどチャクラムで切り刻まれて、最後には踊り疲れたように地面に倒れ込んだのだ。


恵梨香を襲った二匹は、当然と言うべきか、あっさりと頭部を叩き潰されて、既に地面に横になっていたのだった。
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