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持つべき信念
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しおりを挟む「ダメです、ダメですよ雪子さん! 恨みで人を殺してしまえば、また恨みを生んでしまいます。俺達はこの人達の作戦にやられただけなんですよ。憎しみで人と戦っちゃダメなんです」
その言葉が正しいのか間違っているのかはわからないが、それでも一つ一つの言葉をしっかりと確かめるように真治は呟いた。
「恨まれたって私は構わないね。二毛が何度来たって、返り討ちに……」
「違う、そうじゃないんです!」
さらに刃を握り締め、真治はその切っ先を上に押し上げた。
手が切れて、血が地面に滴り落ちる。
「二毛は、作戦の責任を取って、城井の代わりに死のうとしているんですよ。自分にとって大事な仲間を殺させたくないって思いじゃないですか」
大切な仲間を守り切れず、目の前で殺された真治には、その気持ちが痛いほどわかったのだろう。
雪子もその気持ちがわからないわけではなかったが、妹を傷付けられたことは割り切れることではなかったのだろう。
「だから……私は大切な妹を!」
眉毛をピクピクと動かし、雪子がそう叫んだ時だった。
「いてて。姉ちゃん、私は大丈夫。少年の言う通りだよ。私が油断しただけだからさ、同じ軍の人間なんだから、無駄に殺し合う事はないよ」
倒れていた吹雪が顔を上げて、苦しそうな笑顔を見せたのだ。
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