上 下
345 / 682
持つべき信念

system_0345

しおりを挟む
「嘘だろ!?」


一発目を回避しても、二発目がある。


一つの武器での波状攻撃は予想が出来ず、慌てて鎖分銅を払い除けようと日本刀を振るった。


ガキンと音を立てて、真治目掛けて遅い掛かる分銅の進路を変える事が出来た……と、思われたが。


日本刀を打ち付けたのは鎖の部分。そこが支点となり、鎖が日本刀に巻き付いたのだった。


叩き付けられた鎖分銅の勢いと、振った日本刀の勢いが相まって、刃が折れてしまいそうなほどの締め付けが生じる。


「くっ! ぬ、抜けない!」


「反応したことは褒めてやるけどな、お前の考えなんてお見通しなんだよクソガキが!」


鎖が絡まった状態で、沼沢は無理に鎖を引こうとしない。


日本刀を奪う為にそれを引けば、鎖が後方に行っている間に、再び日本刀を取り出すと考えているのか。


今、真治が日本刀から手を放せば、わずかに速度が落ちたその隙に、鎖を振って攻撃して来るかもしれない。


どちらにしてもどちらかが不利になり、ギャンブル要素の高いその行動を、どちらも取ろうとは思わなかったようだ。


生き残るには思考するしかない。僅かな時間で、相手よりも早く、死と隣り合わせのこの状況から生き延びる手段を考えるしかない。


圧倒的に不利なのは真治の方だ。このままの状況を維持して、動かなければ反対側の鎖分銅を振られて殺される。


近距離での睨み合い。どこから襲って来るかもわからない鎖分銅の驚異を感じなから、真治は一か八か、沼沢へと身体を預けるように飛び込んだ。
しおりを挟む

処理中です...