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新たな脅威

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沼沢が味方になるかもしれないというのは、奈央がいるならその可能性もあるだろう。


里奈の話から、沼沢は決して悪い人間ではないということはわかったから。


真治な奈央を守るか、沼沢が奈央を守るかという違いだけで、味方になると言うならどちらかなんてことに拘わる必要がなくなる。


淡い恋心か憧れかと思っていた奈央への感情は、吹雪や恵梨香と行動していて、その正体に気付いた気がしていた。


恐らくそれは、優しくしてくれる姉が出来たようで嬉しかっただけなのだろう。


「私はどっちでも良いんだがな。まあ、行くと言うなら早く行くぞ。長居すると腰が重くなるからな」


ヘルメットを拾い上げ、髪を掻き上げてそれを被ろうとする。


「ちょっと待ちなよ。恵梨香ちゃん、その格好で動き回るつもり? 『死神』の名前が一人歩きしてて、警戒されるんだからさ、違う服を着た方が良いよ?」


黒いライダースーツにドクロのヘルメット。


確かにこの姿を見ただけで西軍の人達が「死神」と認識していたくらいだ。


別の服にした方がいきなり戦いにならずに済むかもしれない。


「む? そうか? 別にこれでも良いのだが。雪子がそう言うならば、適当な店に入って見繕うとするかな」


恵梨香はもうここを出る気満々で、今からどこに行くのかもわからないが、真治はそれについて行くしかなかった。
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