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襲い来る野獣

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「人は……一人。ビルの上から見ている人はいない。よし、通り過ぎたら飛び出すか」


ブツブツと独り言を呟きながら、今、自分が置かれている状況を確認し、先を行く二人を追い掛ける。


光の壁の方に向かおうとしている男が、目の前を通り過ぎるのを待つ。


グッと足に力を込めて飛び出し、路地に入るまでの時間、僅か1秒足らず。


日本刀のレベルはまだまだ低く、さらにレベルが上がれば身体能力はもっと上がるだろう。


だが、いくら身体能力が高くなったとしても、あっさりと背後を取ったあの男を超えられるとはとても思えないと、真治は不安になっていた。


あの身体能力を得るには、どれだけレベルを上げれば良いのか。もしかすると、持っている武器の性能で全てが決まってしまうかもしれない。


真治や吹雪は垂直方向へのジャンプが苦手だが、恵梨香は得意だというように、武器の特性に違いがあるのだろうか。


だとすれば自分の日本刀にも何かしらの特性があるに違いないと真治は考えた。


それを活かすことが出来れば、勝てないにしても、食い下がることは出来るかもしれないと。


そんなこと考えて、路地に置かれたバイクの陰に身を隠した真治は、先行く優と亜美の様子を窺った。
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