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襲い来る野獣

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建物が邪魔で、真治からは何人がそこにいるのかがわからないが、「俺達」ということは少なくとも二人以上はいるだろう。


「えっ!? 美沙子、何それ……あんた勝手に私を……」


「だって仕方ないじゃない。優が生きてたら、助けたら一発やらせるくらい良いかなとか思ったんだもん」


あまりにも無責任な発言。今の女子高生とはこんなものなのだろうか。


だから、理沙もあんな風に積極的だったのかと真治は思ったが、断じて違うと首を横に振った。


「ま、無事だったらそれで良いじゃねぇか。助けに行く手間が省けたし、今から俺達と楽しもうぜ」


最初からそれが目的で助けると約束したのだろう。


男は優に近付き、手を取ると、連れ去ろうと強引に引っ張ったのだ。


「ちょっと……ふざけないでよ! 誰があんたみたいなやつと!」


掴まれた手を振りほどいた優。


だけど、その言動は男の機嫌を損ねたようで。


「あぁ? 別にテメェの意見は聞いちゃいねぇんだよ」


これはまずい状況だった。今、トラブルがあれば、優だけではなく亜美にも被害が及ぶかもしれないからだ。


騒がれる前に始末するべきだと、バイクの陰から飛び出した真治は、素早く男に駆け寄り、優に伸ばされた手に向かって日本刀を振り下ろした。
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