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襲い来る野獣

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初めて沼沢と戦った時のことを真治は思い出していた。自分の力量と相手の力量を見誤れば一瞬で殺される。


男達が混乱して武器を振り上げようとしたが、それより早く一番前にいた男の首を、振り上げている途中の腕と共に切り落とした。


さらに移動し、もう一人の男の頭部に日本刀を振り下ろす。


二人の傷口から血が噴き出して、地面に崩れ落ちるの姿を、返り血を浴びながら真治は見ていた。


そして、残る二人に視線を向けた時……その背後に感じる異様な雰囲気に気付いた。


「な、なんだこいつどこから出て来た! こ、こんなやつに勝てるわけがねえっ!!」


「え!? な、何してんのよ! 俺達に任せろって言ったでしょ!? ま、待ってよ!」


真治に恐怖したのか、背中を向けて、転がるようにして二人は逃げ出したのだ。


だが、何かがおかしい。


不気味な気配が徐々に大きくなっている……いや、こちらに向かって移動して来ている。


「!? まずい! 優! 亜美とどこかに隠れてろ!」


日本刀を構えて影の行動に備えたが、逃げた二人は間に合わない。




「グルルルルル! ガウッ!」




黒い影が吠え、男の上半身に喰らい付いた。


ボリボリと音を立て、男の上半身を食うポーンの姿が……不気味な気配の正体が明らかになったのだ。
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