上 下
470 / 682
襲い来る野獣

system_0470

しおりを挟む
返り血に塗れたその頭部には見覚えのある顔が。


真治と一緒にこの街に来た、鬼頭竜二の顔があったのだ。


いや、これは鬼頭の顔があると言うよりも、鬼頭がポーンになっているように思える。


半分ポーン、半分鬼頭の頭部は、そう思わせるには十分なインパクトだった。


「は、はは……あの時死んだ鬼頭がポーンになってるなんて……なんなんだよ! これ!!」


この街のことを少しはわかったような気がしていたが、真治は全然わかっていなかったと知る。


どのような条件で人がポーンになるのかはわからない。


だが、目の前のポーンは間違いなく鬼頭竜二で、もしかすると今まで戦ったポーンは元は人間だったのかもしれないと感じさせられる。


「グルルルルル! グァウッ!!」


全長約3メートル。


以前より遥かに凶悪で、デタラメな強さを得た鬼頭が真治の前に立ちはだかる。


真治がこの街に来て、常に馬鹿にされていたとかんじた男。


苦手意識しか持つことが出来なかったその男が、再び真治の前に現れたのだ。


「こ、来いよ鬼頭!! あの時の俺とは違うってことを教えてやる!」


グッと日本刀を握り締めて、街に来たばかりの時に感じていた恐怖を振り払うように吠えた。
しおりを挟む

処理中です...