上 下
497 / 682
襲い来る野獣

system_0497

しおりを挟む
何が本当で、何が嘘なのかわからないままでやって来た清澄公園。


この場所には何かと縁がある。


夜が明けて雨が上がり、人が集まって来たのか、多くの人が行き交っている。


明美が指定した位置が詳しくはわからないが、どこにいけば良いのだろうか。


奈央いるなら、サーチ機能を使えばわかるはずだと、取り出したPBM。


サーチしてみると確かに反応があり、明美の言っていることの全てが嘘ではないことが、ますます真治を混乱させた。


「あの建物か。さて、どんな罠が待ち構えているのか……」


それは、清澄庭園にある大正記念館。


反応はあるものの、奈央もそこにいるのか、それともPBMだけなのか。


確認をする為には、通信するしかない。


「えっと……明美さん。大正記念館の近くに来ましたけど……本当にそこにいるんですか?」


そう尋ねて、しばらく待っていると、PBMから明美の声が。




『……来たの? 来たのね? わかった。じゃあ……もう死んで良いから!』




その声が聞こえたと同時に、清澄公園の周辺に集まった人の中に潜んでいたのだろう。


約三分の一の人間が武器を取り出し、真治に向かって走り出したのだ。
しおりを挟む

処理中です...