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襲い来る野獣

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射そこねた矢が、真治から逸れて取り囲む人達に直撃し、光の粒へと変わる。


敵も味方もお構いなしのようで、一番の目的は真治を殺すことのようだ。


戦闘に巻き込まれただけの人達にも被害があるようで、怪我をした人達がビルの中に避難する姿も見える。


「こんな事をしてないで出て来いよ! 池田!! 明美ぃぃっ!!」


矢を弾きながら、無関係な人達まで巻き込んでこんな事をする二人に怒号を浴びせたが、その声は届いているのかどうか。


矢がひとしきり降り注いで、なお真治は無傷。


被害に遭ったのは、周囲にいた人達だけ。


「ば、化け物かよ……あの攻撃を無傷だと!? 池田さんを殺したっていう噂は本当だったのかよ!」


「い、池田さんはまだかよ! こんなやつに勝てねぇよ! なんで池田さんが勝てねぇやつに俺達が勝てるかよ!」


津堂の動きと比べれば、山なりに飛んで来る矢など大した速度ではない。


「た、戦わなかったら、池田さんにソウルが0になるまで殺されるぞ!! 相手が化け物でも……一回死ぬくらいで済むならそっちの方がマシだろ!!」


真治を取り囲む人達の中から、そんな声が聞こえる。


池田はまだそんな恐怖政治で人を支配しているのだろうか。


明美はどうしてそんなやつと一緒にいるのか、真治には全く理解が出来なかった。


「う、うわああああああっ!!」


半ばヤケになって襲い掛かる人達。


「悪いけど、俺は傷付けずにこの場を切り抜けられるほど器用じゃないぞ! 掛かって来るなら死ぬと思えよ!」
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