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怒りの咆哮

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大切な人を守る為に強くなる、強くなって大切な人を守ると振るい続けた日本刀。


人の為に戦ったんだと思い込んでいた真治だったが、過去を思い返してみると、結局は最後は怒りで戦ってたことが多いような気がする。


結果的に人を守れただけで、黒井が鬼神と形容したのはあながち間違っていない気がする。


「まだまだ強くなんてないですよ。何も守れないし、本当に強いやつには遠く及ばないです」


フウッと溜め息を吐いて俯いた時だった。



「だから諦める? そんな簡単じゃないよね? 生きるってさ」



部屋の外で話を聞いていたであろう黒井が、呆れたと言わんばかりにそう言って首を横に振った。


「く、黒井さん。まあ……そうですよね。諦めるなんて出来ないですよね」


「そういうことだね。奈央ちゃん、弁当食べて元気になってきたんじゃない? この街は栄養の吸収が異常に早いからこういう時良いよね」


ベッドまで歩いて、顔色が良くなった奈央に微笑み掛けた黒井。


「黒井も、助けてくれてありがとう。フフッ。私の周りの人達は、皆私を置いて行っちゃうよね。二人には嫉妬しちゃうな」


決して奈央は、戦いたいとは思っていないはずだ。


だが、置いて行くという言葉の中にはそれだけではない、死んだ新崎や離れた明美も含まれているのだろう。
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