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怒りの咆哮

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「無駄に戦おうとするのは、自分の力を過信しているバカか、必死に強くなろうとしている弱者くらいよ。ハイレアリティの人間同士が戦えば、回復で無駄にソウルを消費することになるから、理由もなく戦う意味がないの」


たとえ相手を殺してもソウルを一個しか入手出来ないとなると、確かに戦う意味はないよな。


「まあ、キングを破壊しに来たって言うなら話は別だけどね。仲間を助けに来たのなら、私達が邪魔する理由がないもの」


美優が言ったその言葉が、真治には少し引っ掛かった。


死神と呼ばれるほどの人物を助けようとしている。


解き放たれれば、東軍の人間にとってもメリットはないはずなのに。


「だから……俺達を見逃してくれるって言うんですか? 同じ東軍の津堂を倒そうとしているのに」


「真治くんは私達に邪魔してほしいの? 私達にはあなた達と戦う理由がないって言ってるの。そうね……津堂を殺してくれるなら、協力をしてあげてもいいわ」


狩野から思いも寄らない提案が飛び出し、真治と黒井は目を見開いて狩野を見た。


津堂を倒すのを手伝ってくれと、同じ東軍の味方であるはずの狩野が言うとは何事だろうか。


手伝ってくれるというのが本当ならありがたいが……と、真治が返事をする前に、黒井が狩野に歩み寄って口を開いた。
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