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怒りの咆哮

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どうやら二人は真治を認めたようだ。


あの時とは比べ物にならないくらい強くなっているとは言え、二人に認めてもらえるかどうか不安だった真治は胸を撫で下ろした。


「あー! 悔しい! 一歩も動けなかったなんて! どさくさに紛れてイタズラしたかったのに!」


「もしも本気で戦ってたら、きっと死んだ事にも気付かなかったかも。一体何をしたらこんなに強くなるの?」


二人で悔しがっているが、こんなことをしている余裕はあるのだろうか。


「あ、あのー……そろそろ行きませんか? いつまでもここにいても、仕方ないですし」


武器を手から離し、道を指差して二人に尋ねる。


「この余裕! 可愛い真治くんはもういないのね! 美優、私達も負けてられないわ」


「そうだね。もっともっと強くならないと」


戦えと言ったのは二人だというのにこの言われよう。


不機嫌そうに歩き始めた二人の後に、真治も続いた。


これでやっと、亜美と優の所に行けると。


それにしても10日かである。


真治にとっては、ほんの数時間前の出来事にしか思えないが、二人はしっかり食べてるのかと心配になる。


こんな事になるなら、いらないと言っても金を渡しておくべきだったかと後悔していた。



デパートに向かう二人を見送り、真治は亜美と優がいるビルへと走った。
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