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狂い始める歯車

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「ちょっと! 何よその言い方! あんただってあの子に助けられた事があるでしょ!?」


どうやら仲間がいなくなったという話のようで、真治には関係のない話だと小さくため息をついた。


どこでもこんなやり取りはあって、新崎や奈央もこんな話をしていたのかと考えた真治は、少し寂しさを感じた。


二人はもういないのだから。


「冷静になれよ。考えてみたらおかしいだろ。あの日、どうして俺達は殺されたのに、あの子だけが殺されずに南軍から戻って来ることが出来たのか。きっと何か取り引きがあったんだよ」


「バカじゃないの!? 取り引きがあったなら、どうして瀕死になったのよ! あんた、あの子のことになるとムキになってさ!  そんなに好きなら探しに行けば良いじゃない!どうせ私はキープでしょ! 理沙のおまけなんでしょ!?」


その言葉を聞いた瞬間、真治の心臓がドクンと激しい音を立てた。


どこかで見たことがあると思っていたが、理沙という名前を聞いて思い出したようだ。


この人達は南軍で出会った、理沙と一緒にいた人達だと。


理沙の話がもっと聞けるかと、窓に近付こうとしたが。


壁に立て掛けられていたスコップに身体が当たり、それが壁を擦るように音を立てながら地面に倒れたのだ。
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