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狂い始める歯車

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だが、香月はその場から動かない。床に突いている金棒を傾け容易に日本刀の攻撃を防いだのだ。


「俺は……俺はお前らを絶対に許さない!! 人の命を弄んで!! 人の命を利用するお前らはっ!!」


「生意気言ってんじゃないよ! お前のその力はどうやって手に入れたんだい!! 人を殺して得た力じゃないのかい!?」


香月の言葉が真治の心に深く突き刺さる。


「たとえそうだとしても、俺はこんなに卑劣な事をした覚えはない! 必死に生きて、生きる為に戦って、そして得た力だ!! 皆が皆、お前らみたいことをしてると思うなっ!!」


何度も刃を打ち付けるが、それら全てを見切っているかのように金棒で防ぐ。


身体を回転させ、怒りに任せて香月の左側に刃を滑らせる。


勢いの乗った、鋭い一撃。


回転の勢いと腕の振りが乗った斬撃は、その攻撃を危険だと判断した、香月が伸ばした手に触れた。



「くっ……痛いねぇ!! でも、この程度で粋がるんじゃないよ!」



日本刀が香月の手を僅かに斬ったが、微かにダメージを与えるに留まり、動きを止めたのだ。


生身だというのに、素手で刃を止めるというのか。


「な、何!? 受け止めた!?」


「驚いたかい!? どうせ今まで、一撃入れれば倒せる相手ばかりと戦って来たんだろ!! そんな雑魚が調子に乗るんじゃないよ!」


ダメージが殆ど通らないという、思ってもみなかった事態を前に、危険を感じて真治は後方に飛び退いた。
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