東京バベルブレイカー～殺戮都市バベル～

狂い始める歯車

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「え、恵梨香さん!?　いますか!?」


部屋の外からでも聞こえるように呼び掛けてみたが、中から恵梨香の返事はない。


その代わりと言ってはなんだが、部屋の中にある、隣の部屋に続くドアが開き、中から狩野が出て来たのだ。


「おっと、明ちゃんは既に侵入してここにいたのか。で、死神は見付けたのかい？」


黒井が尋ねると、狩野は少し言いにくそうに口を開いて、小さく頷いた。


恵梨香がここにいると、いても経ってもいられなくなった真治は狩野に駆け寄り、隣の部屋に入ろうとしたが、腕を広げられて先に進むのを止められた。


「……私達が何とかするから、真治くんは入らない方が良いわ」


それは予想外の言葉だった。


一体、このドアの向こうに何があると言うのか。


恵梨香がそこにいるなら、入らないという選択肢はなかった。


「ど、どういうことですか？　恵梨香さんがいるんですよね？」


まさか死んでるのか。ソウルを0になるまで使われて、そして殺されたのかという考えが脳裏をよぎるが、信じたくはなかった。


「いる、生きてもいる。だけど、見るのはやめた方が良い。多少なりともショックを受けるだろうから」


生きているならそれで良いと、狩野の腕を下げて、恵梨香がいる部屋に入った。