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狂い始める歯車

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「え! やだ! 亜美はお兄ちゃんと一緒にいたい!」



ソファに座り、二人にわかるように話をして、ようやく理解出来たと思ったが、亜美が足をバタつかせて反発する。


「随分好かれてるねぇ。まあ、こんな優しいお兄ちゃんだから、好きになるわな」


ニカッと亜美に笑顔を向けて、真治の頭をぐしゃぐしゃに撫で回す名鳥。


「うん! 亜美はねぇ、お兄ちゃん大好き。お姉ちゃんも、お兄ちゃんが大好きなんだよ!」


「わっ! バ、バカ! 私の事は言わなくて良いの!」


慌てて亜美の口を優が塞くが、それを見た、この部屋にいた全員が一斉に真治に視線を向けたのだ。


「ふふーん。それはそれは。私が見込んだ通り、なかなかモテるのね」


隣に座っている真冬がグリグリと肘で真治を突くが、モテるのとは違うのではないかと本人は感じていた。


「でも……話はわかったよ。真治が私達を捨てたわけじゃないってことも、保護してくれる人を探してくれたってことも。名鳥さんなら安心だろうし、亜美ちゃんは説得するから。行ってきなよ」


亜美の口を押さえながら上目遣いで見て、そう言った優に、これで東軍での心配事はなくなったと、真治は安堵の吐息を漏らした。
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