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踊り場の大鏡

十五人目

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「えっ!  アエリちゃんが押したからサラさんが交通事故に遭って骨折!?  本当にそんなこと……なんて、アエリちゃんがするはずないよね」


なぜ教室から逃げ出すことになったのか、それをカガに話すと、バカバカしいと首を横に振って笑って見せた。


その表情がアエリの心を包んでくれるようで、責めるだけのクラスメイトとは違い、理解者を得たような嬉しさも感じる。


「で、でもね。その前に私がサラちゃんに『今日骨折するよ』って言ったから、そう思われたんだと思う。余計なこと言っちゃったよね」


アエリにしてみれば、怪我をしてほしくない一心で伝えたことが、逆に自分の首を絞めることになったのだからたまったものではない。


無実の罪を着せられて、クラスメイトから糾弾されたのだから。


「ちょ、ちょっと待って?  アエリちゃんは、サラさんが骨折することを知ってたの?  なんでそんなことを知ってたの?」


カガにそう尋ねられ、「あっ」と小さく上げて手で口を塞いだ。


大鏡の中の自分が言ったなんて、誰が信じてくれるというのだろう。


だけどカガには伝えても良いのかもしれない。


飽くまでも友達が予言した……ということにして。


「わ、私の友達が占ったんだよ。そしたらね、サラちゃんが骨を折るって……今日も言われたことがあるけど……これはいいや」
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