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踊り場の大鏡

二十四人目

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「な、なに!?  なんか暑いんだけど!  てか開かない!  なんで!?  何がどうなってるの!?」


前村の半狂乱の声が聞こえる。


小屋は真っ赤な炎に包まれていて、見るからに火を消すのは不可能だと思えたから。


サラは、何も出来ずにただそれを見ることしか出来なかった。


「熱い!  熱いよ熱い!  ねぇ、どうなってんのこれ!  助けてよ!  サラ!  熱いよ!  死んじゃうよ!  ねぇ、サラ!  サラーーーーーーーッ!」


前村の声が悲鳴へと変わる。


何がどうなって、こんなことになってしまったのか、サラにわかるはずがなかった。


ただ、ポケットの中のスマホを取り出して、震える手で消防署に連絡するのがやっとだった。


『はい、119番消防です。火事ですか?  救急ですか?』


「と、友達が入ってる小屋が燃えてるんです……助けてください。助けてください!」


『落ち着いてください。場所はどこですか、わかりますか?』


こんな状況で、よくパニックにならずに消防に連絡出来たものだと思えたが、どうやらそこまでだったようだ。


その先からは要領を得ず、燃え上がる小屋と聞こえる前村の悲鳴がサラを混乱させて。


「え……な、何がどうなってるの。サラちゃん」


さらに現れた、カーブミラーに映っていたセーラー服のアエリとは違う、地味な私服を着たアエリが、サラをますます混乱させた。


その隣にいたカガには気付いていない様子で。
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