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トイレの花子さん

二個目

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キィィィィ……。


金属が軋む音が空間に響いて、少女達は小さな個室の中でゆっくりと目を開けた。


なぜこんな場所にいるかもわからないといった様子で、ここがトイレの個室だと気付いて一人、また一人と個室から出て来た。


「なに……これ。なんで私、トイレにいるの」


最初に声を出したのはミラ。


面倒見の良い、クラスのまとめ役だ。


「いやいや、あんただけじゃないから。私にコハナ、メグミまでいるし。後は……なんだ、ブスもいる」


「あ?  ブスって誰のことだよアイラ!  調子に乗ってるとぶっ殺すよ!」


「自覚してるから反応したんだろ。お前のことだよ、ブース!」


ブスと呼ばれたショウコは、アイラを睨み付けて言葉を返すが、アイラも負けじと応戦する。


また始まったと、他の三人は呆れたようにため息をついたが、それよりも気になるのはなぜこんな場所にいるのかということだ。


片側に三個、その対面に二個の個室がある女子トイレで、それぞれの個室から出たところで突然の口論になったのだから。


「ひ、ひっ!  な、なにこれ、なにこれ!」


そんな中で声を上げたのはメグミ。


五人の真ん中にある床を見て悲鳴を上げた。


その声に、他の四人も足元を見るが……次の瞬間、全員が一斉に悲鳴に近い声を上げたのだ。


「う、うわわわわっ!  な、なんだよこれ!  勘弁してよ!」


「ひ、ひ、ひ、人が、人が!」


五人の真ん中、足元にあったのは……枯れ木のように干からびた、女の子のミイラのようなものだった。


白いシャツに赤いスカート。


名も知らぬ女の子の死体が、五人の前にあったのだ。
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